Jリーグチェアマン村井満氏

「二つの道があれば選択基準はいつもドキドキ感」

第2回

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    村井 満
    Jリーグチェアマン

活性化のために関係者に求めた「三つの約束」

ホームタウンへの愛着を深め、アート的なプレーが感動や元気を人々に与える。そういったJリーグの社会的な意義や価値とサッカーの魅力をさらに浸透させ、盛り上げていくことが私の使命だと考えています。

チェアマン就任早々に、各クラブの社長、監督、選手代表、レフェリー、マッチコミッショナーといった関係者の方々に、三つの約束をしてもらいました。

一つは、笛が鳴るまで全力でプレーすること。たとえ倒れても笛が鳴るまでプレーをやめない。そして、レフェリーに必要ないクレームを入れてゲームの進行を妨げない。

二つ目は、リスタートを早くする。勝っている試合では、ゴールキックやコーナーキックで動作がゆっくりとなりがちですが、そのような緩慢なプレーはしない。

三つ目は、時間稼ぎになるような選手交代はしない。

いずれも、ピッチ上のクオリティーに関わるものですが、Jリーグをさらに活性化していくための大前提となるものです。その徹底をあらためてお願いしました。

一方、トピックスとしては、今年ディエゴ・フォルランという大物選手がセレッソ大阪に加わりました。ヨーロッパの名門クラブで活躍して、ウルグアイ代表選手として2010年のワールドカップではMVPも取った超大物です。そんな千両役者がピッチで活躍することも、サッカー界全体が盛り上がる大きな要素になるでしょう。

また、Jリーグは現在、36都道府県の51のクラブで構成されていますが、今後はヨーロッパのように、サッカースタジアムの周りにショッピングモールやホテルが整備された複合エンターテインメント環境をつくっていくことも、サッカーの魅力をより高めていく上で大事なことだと思っています。

「Do All Sports」をキーワードにJリーグ百年構想を推進

もちろん、サッカーという一スポーツを活性化させることだけがJリーグの使命ではありあません。掲げている理念には「豊かなスポーツ文化の振興」という言葉があります。決してサッカーだけの振興ではない。あらゆる競技を通じての「スポーツ文化の振興」なのです。

すでにJリーグでは、「スポーツで、もっと、幸せな国へ。」をキャッチフレーズにして、「Jリーグ百年構想」を推し進めています。緑の芝生に覆われた広場やスポーツ施設をつくること、サッカーに限らず、地域に根差したさまざまなスポーツクラブをつくることなど、スポーツ全般の振興を掲げて活動に取り組んできました。

スポーツは「プレーをする」だけでなく、「見る」のも「参加する」のもスポーツですし、居酒屋でサッカーをさかなに飲み会を開くのもスポーツです。スポーツのあらゆる様相を楽しむ「DO! ALL SPORTS」をキーワードに、Jリーグ百年構想をもっともっと広めていきたいと考えています。

スポーツの振興だけでなく、さまざまな社会活動にも取り組んでいます。Jリーグ傘下の各クラブでは、地域の人々の健康増進のためにフィジカルトレーナーがストレッチを指導したり、選手の食事療法を紹介したりしています。子どもたちにはサッカーの指導だけでなく、選手が算数の勉強を教えているケースもあります。そういった地域貢献活動も、豊かなスポーツ文化を育む土台づくりになります。

また、「国際社会における交流及び親善への貢献」も、Jリーグの重要な理念です。今やワールドカップの予選参加国は国連加盟国の数より多くなっています。そんなインターナショナルなスポーツだからこそ、国際人として活躍する人材を育成し輩出することもできる。

このようなJリーグの社会的な役割や本質的な価値を一般の方々にもっと広く伝えていくことは、私たちにとって最も大きな課題の一つだと思います。

第3回へ続く 〕

プロフィール

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    村井 満
    Jリーグチェアマン

    1959年生まれ。早稲田大卒業後、日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)入社。2000年執行役員(人事担当)、04年リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)社長に。11年RGF Hong Kong Limited社長、13年同社会長。その間、08年から13年まで日本プロサッカーリーグ理事(非常勤)を務め、14年1月にJリーグ第5代チェアマンに就任。

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