「マガフェス'14」“超刊号”9誌同一判型で同時発売

~「らしさ」を前面に、さらなる活性化を

 


雑誌界初のチャレンジングな企画として実施中の「マガフェス’14」。記者会見では、時代を先導する雑誌の「元気」を印象付けたが(下記参照)、9誌の「超刊号」を、今後の雑誌界の活性化にどう結び付けていくのか。マガフェスを立案・推進してきた日本雑誌協会の石﨑孟理事長と、同協会雑誌価値再生委員会の横川裕史委員長に、今回の企画の背景や意義、今後の展望についてインタビューした。 

 
 


―今回の「マガフェス’14」の意義をどのようにお考えですか。
石﨑: ご承知の通り、雑誌を取り巻く環境は厳しいのですが、厳しい時代だからこそ果敢に取り組めることがあるはずだと考えてきました。特に今年は「雑誌復興の元年」にしたいという思いも強かった。その思いに、参加各社がそれぞれの得意分野をぶつけてきてくれました。結果的に雑誌界の「元気」をアピールできたことには大きな意味があると思います。

―マガフェスを企画した経緯をあらためて伺いたいのですが。
横川: 一昨年、石﨑理事長のリードで「雑誌価値再生特別委員会」が創設され、徹底した議論や読者リサーチをしながら提言をまとめました。提言内容を一言で言えば「時代の申し子である雑誌は、もう一度読者に顔を向けるべきだ」ということです。雑誌作りの原点回帰ですね。雑誌協会としてその「場づくり」を具体化させたのが、今回のマガフェスというわけです。

―呼び掛けに応じた9誌のラインアップの印象はいかがですか。
横川: 雑誌には、それぞれの出版社の伝統やノウハウが息づくDNAがあります。今回の企画は、その原点に立ち返ろうという呼び掛けでもあったわけですが、その意味では各社とも「らしさ」を前面に出したラインアップになったという印象です。しかも、その「らしさ」を、9誌同時発売という業界初の新しい試みの中で形にしました。
石﨑: 9誌が同じサイズで、しかも合同の新聞広告が出て、書店でも9誌がそろって並ぶ。そうなると編集者は、雑誌のジャンルが違っていても、出来栄えについていやが応でも他誌を意識します。自分たちが本当に読者のために作っていたかを再認識する、またとない機会になるわけです。

―雑誌編集者の奮起を促す意味もあったということですね。
石﨑: その通りです。書籍の売り上げも大事ですが、あえて言えば、出版界は雑誌で成り立っているところがあります。雑誌の点数や部数が増えることが、出版社だけでなく、書店や取次会社も含めた出版業界全体の底上げにもつながるのです。


横川: 書店に日々の売り上げをもたらすのは雑誌ですし、その売り上げがあるから書店は書籍のストックを持つこともできる。結果として、雑誌を買いにきたお客さんに書籍を買ってもらう機会が増える。また、取次会社にとっても、定期刊行物の扱いが増えるということは、その雑誌と一緒に書籍を搬送できますから、効率化のメリットが増大します。その分、安く書籍を提供できるわけです。

―出版界や出版文化を支える雑誌をさらに活性化させるために、マガフェスの成果を今後どのようにつなげていくお考えですか。
石﨑: もちろん一過性のイベントとして終わらせるつもりはありません。今回は店頭プロモーション展開時の収まりの良さもあって、3×3の9誌でしたが、来年は4×4の16誌に増えてもいいと思います。いや、ぜひそうなってほしい。せっかく「次のステップ」に向けたトライをしたわけですから、「超刊号」が1誌でも2誌でも定期刊になり、雑誌界が活性化する場にできたらと思っています。
横川: 「超刊号」の「ちょう」に込めた思いとしては、「挑戦」の「ちょう」もありますからね。今回のマガフェスでは、プロモーションの在り方などでも新たな試みをしています。「マガフェス」特設サイト(magafes.jp)では、電子版の“立ち読み”ができる。各社の超刊号を同じB5判変形にそろえたのは、その電子版を10インチタブレットで見たときに、紙媒体とほぼ同じ大きさで見られるようにすることも一つの目的です。従来は、電子版を作っても、タブレットでは縮小されたり、文字組みが可動式になり紙媒体のレイアウトとはまったく異なってしまうケースが多かったと思います。やはり、「らしさ」を追求した紙媒体のレイアウトは、そのままの形で読んでもらえるのが理想ですからね。
石﨑: デジタル化の時代とはいえ、情報の信頼性も含め、やはり紙媒体ならではの良さがある。作り手が紙媒体で大切にしてきたことをデジタルにどう生かすか。そこを突き詰めることが、雑誌価値の再構築にもなります。
横川: 今回の電子版の試みはあくまで実験的なもので、われわれが業界人として大事にしたいのはやはり書店です。マガフェスなどのイベントで雑誌界の「ざわつき感」を広く世間に伝えることが、読者に書店に足を運んでもらうことにもつながる。そして、より多くの人に「書店って面白い」と感じてほしい。
石﨑: そのために、協会として一石を投じたのがマガフェス’14 だと業界内外の方々にご理解いただけると、われわれもこの1年苦労してきたかいがあります。


 

日本雑誌協会 理事長(マガジンハウス社長)
石﨑 孟
(いしざき・つとむ)
1969年平凡出版(現マガジンハウス)入社。『アンアン』『クロワッサン』『ポパイ』『ブルータス』の各編集部を経て、87年書籍出版局長、95年企画制作局長を歴任。2000年取締役書籍出版局長、02年社長。

 

 

日本雑誌協会雑誌価値再生委員長(講談社雑誌販売局長)
横川 裕史
(よこかわ・ひろふみ)
1983 年講談社入社。『wit h 』『VOCE』編集長など女性誌編集畑を歩む。第二編集局長、広告局次長・広告業務推進部長、新事業企画部長、中国事業室委員を歴任。2012年雑誌販売局長。


 

※各誌編集長のコメントは、4月11日の記者会見時のもの

  mer +(メルプラス)

学研ホールディングス
編集長 正田省二
今、女性たちが求めているのは「憧れ」よりも「共感」です。『mer+』は「普通の女性」を主役にすることで、読者が求める「共感」を提供する「いちばん身近なライフスタイル」誌です。

 

Rillia(リリア)
講談社
編集長 秋吉敦司
「ウチから輝くかわいい暮らし」がコンセプトの、新しいライフスタイル誌です。全ての30代女性にハッピーで輝く毎日を送ってほしいという願いを、満杯にして詰め込みました。


 

Sprout(スプラウト)
光文社
編集長 大給近憲
頑張らなければ健康になれないという従来の考えを覆したいという思いを込めてつくりました。本誌が「おいしくて楽しくてカラダにいい」新しい生活のSprout(=芽)となることを願っています。


 

On y va(オニヴァ)
集英社
編集長 野村英里
ターゲットは55歳以上の女性。彼女たちは、パワフルかつ女子らしく、「自分の本当にやりたいこと」に取り組む人生の第二幕を歩んでいます。『On y va』はそんな彼女たちへエールを送ります。


 

Gift LEON for Kids(ギフト レオン フォー キッズ)
主婦と生活社
編集長 前田陽一郎
子どもに愛のこもったギフトを贈りたいとき、必ず役立つギフトカタログ。プロのセレクトした名品ぞろい。ぜひ、「宝探し」のような気分を楽しんでほしいと思っています。

 

 

おもタメ.
小学館
編集長 松井聡
親と子、両方のニーズを一度にかなえる「おもしろくて、タメになる」学習雑誌です。今回のテーマを「すし」に絞ることで内容が濃い一冊になりました。親子で一緒に楽しんでいただける自信作です。


 

LaLa Begin(ララビギン)
世界文化社
編集長 波多和久
「かわいいだけじゃ納得いかない」という価値観を持つ女性のための「男性誌発の女性誌」。ブラックドレスから焼肉のタレまで硬軟織り交ぜたセレクトで、本当に価値あるものだけを紹介しています。

 

 

子どもと一緒に海外旅行!』
ダイヤモンド社
編集長 数藤健
「子どもと一緒に海外旅行に行きたい」というニーズに応えるため、創刊35周年の『地球の歩き方』が培ってきたノウハウや、子連れ旅行体験者の体験談を余すところなくつぎ込んだ渾身の一冊です。

 

 

おいしいものは日本中から取り寄せる
文藝春秋
編集長 西川清史
各界の名士お気に入りの「お取り寄せ食品」64品を紹介。お取り寄せ情報誌は数あれど、64人もの著名人が登場するのは本誌だけ。太鼓判を押せる出来栄えです。

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ