ブランディングって何? #03

マスメディアも、コミュニティ・プラットフォームになっていく

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    小西 圭介
    株式会社電通 マーケティングソリューション局 コンサルティング・ディレクター

前回は、コミュニケーションを通じてイメージ変化を促す「形容詞のブランディング」から、参加や行動変化を促す「動詞のブランディング」が重要になっている、というお話をしました。顔の見える顧客やファンと直接関係を築きながら、一緒に価値を生み出して継続的な関係性や波及効果を拡げていく。これは企業のブランディングだけの話にとどまりません。

視点を変えてみると、現実にマスメディアも、コンテンツの提供から、ユーザーとの共創を生み出す場としてのコミュニティ・プラットフォームにどんどん進化しつつあります。雑誌やラジオ、そしてテレビなどが、ユーザーのリアルなコミュニティを形成し、参加者の活動をコンテンツ化しながら共感性を高めてファン基盤を拡大しようとしていることはご存知でしょう。

コミュニティ・プラットフォーム形成に成功しているメディアは、視聴率や販売部数といった数字だけでは測れない、広告主にとっても魅力となる、人を現実に動かすブランド力を持っています。そこがもっと可視化できれば、メディア価値と収益性を高められると思うのです。

たとえば米国などでは、ドラマや映画などコンテンツの「シリーズ化」が以前から進んでいます。これも単なるコンテンツのマンネリ化ではなく、ファンになった視聴者との継続的な関係を図り、話題や共有の仕組みを「ストック」として拡げていく重要な基盤となるからです。

数千万人規模の番組のファンコミュニティをソーシャルメディア上に形成し、番組コンテンツを切り出しながらユーザーの視聴行動や情報波及を促していくことで、イベントなどビジネス展開を拡げ、さらに国境を超えてブランド構築に成功しているようなケースもあります。

さて、このように「メディア」を超えて「コミュニティ・プラットフォーム」を創り出すにはどのような要素が必要なのでしょうか。「ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」の中では、5つの要素で整理しています(右図)

ひとつはもちろん、参加者を惹きつけ、そして情報波及を生み出すコンテンツ。ただしこれだけでは不充分です。コンテンツとも関連しながら、参加者が関心を共有できるテーマや話題を拡げる対話性(Conversation)、そして参加者同士のつながり、あるいはそのつながりを外部の人にひろげる関係性(Connectivity)も大事な要素です。従来のコミュニティはどうしても閉じた集団になりがちでしたが、ネットワーク化された個人のゆるやかなつながりは、人を介したプラットフォーム拡大の新しい機会をもたらしています。

さらに、参加者と一緒に目標達成や価値の創造を図り、知識やコンテンツなどのフィードバックを生み出していく共創性(Collaboration)は、直接的にブランドの価値を高める重要な鍵となります。最後に、実は一番大事なのが継続性(Continuity)で、コミュニティに人が参加し、モチベーションや関心を維持しつづける「仕組み」や「場」の運営は、場合によってはコンテンツ自体よりも大事な要素であるともいえるでしょう。

あなたの関わっているブランドやメディアが、こうした要素を強めることで、コミュニティ・プラットフォームとしての価値やビジネス機会を拡げられるのでは?という視点で考えてみてはいかがでしょうか。

ダイヤモンド・オンラインで、本トピックと関連してさまざまな事例を紹介した対談記事を掲載しています。よろしければこちらもご覧ください。

プロフィール

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    小西 圭介
    株式会社電通 マーケティングソリューション局 コンサルティング・ディレクター

    1993年入社。2002年米国プロフェット社に出向し、デービッド・アーカー氏らとグローバル企業のブランド戦略構築に携わる。現在はコンサルティング・ディレクターとして、数多くのクライアントのブランド・マーケティング戦略サポートを行うとともに、多数の講演、執筆などで、デジタル時代の新しいブランドおよびマーケティング戦略モデルを提唱している。著書「ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」、訳書に「顧客生涯価値のデータベースマーケティング」(いずれもダイヤモンド社)他。

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