ブランディングって何? #02

「形容詞」のブランディング、「動詞」のブランディング

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    小西 圭介
    株式会社電通 マーケティングソリューション局 コンサルティング・ディレクター

前回は、ブランディングをリアルなコミュニティ形成の活動として捉え直す、というお話をしました。では、その方法論は今までとどう異なるのでしょうか。一言でいうならば、キーワードは「形容詞から動詞へ」、です。

今日のような情報が氾濫する時代に、企業がブランドメッセージやイメージをうまく印象づけ、人々に興味を持ってもらうことはなかなか大変です。あふれる情報処理に忙しい生活者は、自分に関わりのない情報は遮断する傾向が強まっており、ブランドメッセージも自分が共感できる、人と共有したいと思うものでないと、伝わっていきません。今時のマーケティング担当者がもっとも気にするのは、「反応があるか」「話題になっているか」ということでしょう。

一方で、自分が関わりを持つブランド、あるいは関心のあるテーマや出来事などは、ソーシャルメディアなどを通じて広く情報波及が起こるようになりました。また、企業が顧客と直接、継続的な関係を持つコストが大きく低下したことで、興味のあるユーザーやファンが参加して、自らコンテンツを共有したり、一緒に目的を達成していくような活動を、ブランドが支援することが容易になりつつあります。

現代の人にとってモノの所有や消費は、単に生きていくためでなく、人や社会とのつながり、価値観や自分らしさの共有という意味を持ってます。ブランドが人のつながりを生み出し、コミュニティ形成を支援することは、製品を超えたより本質的なブランドの価値、人間にとっての価値を築ける可能性につながるのです。それが情報提供やイメージ形成にとどまらず、参加する人の行動や現実を変えるアクションを求心力として持てれば、より大きなブランドの支持と共感を生み出せるでしょう。

さてここで、私たちは、製品に広告やデザインなどイメージで付加価値をつけて、顧客を惹き付ける従来型のマーケティング手段を、「形容詞」のブランディングと呼ぶことにします。ここでいう形容詞とは、カッコいい、親しみのある、信頼できる、といったブランドのイメージコントロールを、企業が消費者に対して一方的に行うことを指しています。

それに対して、今述べたように、今日ではブランドづくりの中心に、製品ではなく人のコミュニティを置いて考えてみる発想が重要になっています。ユーザーや生活者も価値を生み出す主体であり、場としてのコミュニティを創ることで一緒に価値を生み出していくアクションとダイナミックなプロセスを、われわれは「動詞」のブランディングと呼んでいます。(右図)

ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」では、さまざまな先進ブランド企業の具体例や、その実践的なアプローチについて触れていますので、詳しくはそちらをご覧いただければと思いますが、こうした「コミュニティ・プラットフォーム」としてブランドを捉えることで、短期的なキャンペーン活動を超えた、ユーザーとの関係性に基づく新たな価値とビジネスの可能性を拡げることが可能です。次回はこうした点をご説明していきたいと思います。

ダイヤモンド・オンラインで、本トピックと関連してさまざまな事例を紹介した対談記事を掲載しています。よろしければこちらもご覧ください。

プロフィール

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    小西 圭介
    株式会社電通 マーケティングソリューション局 コンサルティング・ディレクター

    1993年入社。2002年米国プロフェット社に出向し、デービッド・アーカー氏らとグローバル企業のブランド戦略構築に携わる。現在はコンサルティング・ディレクターとして、数多くのクライアントのブランド・マーケティング戦略サポートを行うとともに、多数の講演、執筆などで、デジタル時代の新しいブランドおよびマーケティング戦略モデルを提唱している。著書「ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」、訳書に「顧客生涯価値のデータベースマーケティング」(いずれもダイヤモンド社)他。

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