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ブランディングって何?No.1

ブランドはコミュニティだ!

2013/02/07

「ブランド」とは何か?どうやって創るのか? 今日、その答が大きく変化しています。「ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」(ダイヤモンド社)出版にあわせて、生活者が主役の時代の、新しいブランド戦略のコンセプトをやさしく紹介していきます。

はじめまして。戦略コンサルティング室の小西圭介です。
私たちの部署は、普段クライアントの事業やブランドづくりのお手伝いをしているのですが、このたび、「ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」(ダイヤモンド社)という本を出版いたしました。このコラムでは、本書で扱っている新しいコンセプトを、さわりだけでも簡単にご紹介できればと思います。ご興味を持たれましたら、読んでみてください。

「ブランド」は、企業や商品が世の中で継続的に存在し、価値を生み出していく上で欠かせない重要なものですが、長生きするブランドづくりに成功するのはなかなか大変です。なぜなら、時代や環境によって消費者の求めるものが変わっていけば、ブランドの価値の意味するものや、その創られ方自体も変わっていくからです。

世の中にはたくさんの選択肢があり、商品の品質や機能の特徴だけでブランドがユーザーの注目と支持を集めつづけることは難しい。だからブランドの名前やシンボル、広告コミュニケーションなどで、他にないユニークなイメージをつくったり、ユーザーにとってそのブランドを選ぶ意味や価値を提案したりするわけです。

もちろん今では、差別化されたブランドの価値を伝える機会は広告に限らず、お店やサービス、イベントやウェブなどのダイレクトメディア、さらには商品デザインなどの体験プロセスまで含め、直接的な消費者との接点(コンタクトポイント)全体に拡がっています。

注目すべきは、ソーシャルメディアの時代になって、ユーザー自身がブランドの評判や体験を自ら発信・拡散したり、ユーザーどうしがつながることで、新たなブランドの価値を生み出しはじめている点です。昨今の「炎上事件」などを見ても、企業による一方的なブランドコントロールが、なかなか難しくなっていることは多くの人が感じているでしょう。

本書では、今日のブランドが、ユーザーや生活者のコミュニティと直接的な関係を持ち、コラボレーション(共創)によって生み出す価値が大きくなっていることに着目し(右図)、「その場づくり」を行っていくことが、今後の競争力になっていくことを多くの事例とともに解説しています。

「ブランドコミュニティ」というと、フェイスブックなどのオンラインコミュニティや、企業の会員施策などを思い浮かべる方が多いと思います。でもそれはほんの一部に過ぎません。

ここでは、ブランディングというのは、本質的に有形無形のコミュニティ資産を形成する活動である、と再定義をしています。ユーザーやパートナー、地域などの社会的コミュニティ、そしてインナーコミュニティなどを巻き込んで、その力を借りて価値を生み出すシステム(場)をつくることこそが、今日的なブランドの創り方であるというわけです。

個人をつなぐネットワークが世界中で新しい社会インフラになりつつある中、見えないターゲットに向けてイメージをつくるだけではなく、顔の見えるリアルな人やコミュニティと直接関わり、ブランドの価値と活力を共に生み出していくにはどうすればいいか。次回はその方法論としての「動詞」のブランディングについて触れていきたいと思います。