全国の自治体首長による「ソーシャルデザイン推進会議」発足
2014/05/28
現在、日本の各地で「ソーシャルデザイン」(行政や地域社会の多様な人たちが関わり合い自由な発想で社会を良くする活動をデザインすること)の取り組みが行われている。その更なる普及推進を自治体首長が中心となって図るための「ソーシャルデザイン推進会議」発足式が、5月17日、東京・六本木の政策研究大学院大学・想海樓ホールで開催された。
「ソーシャルデザイン推進会議」は、「地域から日本を変える、新しい日本をつくる」という思いを共有する首長(現在57首長)を中核に、全国地域の多様な専門家、実践者、NPO、企業などの知見とノウハウを、開かれた関係性の中で交流・発信し、地域からのソーシャル・イノベーションの創造を目指している。また、当会議の事務局は、NPO法人地域交流センターと電通が共同で開設し、運営を行っている。
発足式には、全国から27人の首長も参加。開会のあいさつでは、発起人会共同座長の三重県松阪市・山中光茂市長が「自治体は、住民やNPOのみならず、企業ともより連携できる可能性がある」と示唆した。
続く基調講演では、徳島県神山町のNPO法人グリーンバレー 大南信也氏が、過疎化の現状を受け入れつつ人口構成を持続可能な形に変えていく創造的な地域づくりを、芸術・文化による地域再生、ワークインレジデンス、人材育成事業を通した移住促進、ITベンチャーのサテライトオフィス移転などの具体的な施策とともに紹介した。
ソーシャルデザイン大会議Part1では、パネルディスカッションで西武信用金庫 髙橋一朗氏、株式会社Good Medicine Japan 田上佑輔氏、アサヒビール 根本ささ奈氏、NPO法人ハットウ・オンパク 野上泰生氏、FabLab Kamakura 渡辺ゆうか氏が登壇。「地域金融」「地域医療ビジネス」「企業メセナ」「観光」「共創社会促進事業」をテーマに、30~40代の若手も含む現場実践者による先進的・刺激的な実績が紹介された。
パネルディスカッションの様子 |
ソーシャルデザイン大会議Part2は、被災地を含む自治体の実践についてのパネルディスカッションが行われ、岩手県大槌町の碇川豊町長、岩手県大船渡市の角田陽介副市長、京都府商工労働観光部(京都府ソーシャル・ビジネスセンター長)長友弘子課長、高崎経済大学地域政策学部教授・大宮登氏、そして発起人会共同座長の千葉県浦安市・松崎秀樹市長と新潟県見附市・久住時男市長が登壇。自治体の運営側から見た、地域のソーシャルデザイン推進に向けた課題や可能性が議論された。
Part1は民間、Part2は自治体の実践と、異なった視点からの示唆が与えられた。
最後は参加した首長全員が一人ずつソーシャルデザイン実践を熱く宣言し、閉幕した。
全国から集まった自治体首長らが登壇 |
終了後、参加首長からは「これまで知らなかった興味深い多くの取り組みを知り、非常に刺激を受けた」「新しい実践についてもっと勉強したい」との感想が寄せられた。同推進会議事務局長の丸尾哲也氏は「ソーシャルデザイン推進会議は自治体首長を中核としつつ、多様な人々が集う『ソーシャルデザイン版のダボス会議』を目指す」と抱負を述べた。
NPO法人地域交流センター
http://www.leadersnetworks.gr.jp/
「ソーシャルデザイン推進会議 発足式」パンフレット
http://jrec.sakura.ne.jp/leadersnetwork/wp-content/uploads/2014/05/socialdesign_pamphlet0519.pdf