スポリューション #07

スポーツ×ハンディキャッパー

2020年東京パラリンピックで

世界を変える!(後編)

  •       2
    遠藤 謙
    アソシエイトリサーチャー 
  • 後藤 啓介
    株式会社電通 第3CRプランニング局 プランナー
スポーツコンテンツをメディア枠と捉えるだけではなく、ソリューションとしても捉えることで、新しいビジネスチャンスを生み出す ことにトライしているソリューションユニット「SPOLUTION(スポリューション)」チーム。そのチームメンバーたちが、それぞれの視点から、これか らのスポーツ関連のビジネスチャンスについて、リレーコラム形式でご紹介します。

「スポリューション」チームメンバーの後藤啓介です。

前回に引き続き、日本を代表する義足デザイナー・遠藤謙氏を迎えての対談です。今回は、いよいよ本題の2020年東京パラリンピックの話に入ります。2020年には、パラリンピックがオリンピックを超えるかも!?

後藤:では、スポーツ義足について。 2020年のパラリンピックの話をメーンに聞いていきたいのですが、まず、今のスポーツ義足の技術革新がどのように進んでいるか、教えてもらえますか。

遠藤:素材の進化が大きいです。カーボンファイバーやカーボン複合材が使われるようになりました。これらがバネとなるわけです。人間の走る動作は、足をバネのように使うんですね。理想は、スポーツ義足を着けることにより、人間の足より軽いバネで、人間の動作をより少ない力で再現させることです。トランポリンに乗ると高く跳べるじゃないですか。あれとまったく同じことです。

スポーツ義足の開発イメージ
 

少し話が飛びますが、今のオリンピック100m世界記録は、ご存じウサイン・ボルト選手の9秒58。一方、パラリンピックの(義足の)世界記録は10秒57。約1秒の差があります。では、この10秒57はオリンピックではいつの世界記録だったかっていうと、なんと100年前なんです。つまり、人類は1秒間縮めることに100年間を費やしました。でも、パラリンピックの選手は、1秒間を縮めることを1年間でやってのけました。イノベーションという意味では、いま大きな革新が起こっていると言えます。

後藤:なるほど!この流れなら2020年、パラリンピック選手の記録がオリンピック選手を超えられるかもしれない、と。

遠藤:もちろんあると思いますし、僕はそういう義足を作ることを目標にやっています。

後藤:おー、すごい!では、2020年パラリンピック、そして、その先に目指していることを教えてもらえますか?

遠藤:まず問題意識として、研究者を見てみると、論文を出すとか、長期的な視点で研究している人が多い。もちろんそれ自体が悪いわけではないんですが、それが世の中にプロダクトアウトするというストラテジーをなかなか組めていないのは問題だと思うんですね。
僕の中では、それを打破するひとつのきっかけがパラリンピック。パラリンピックが最先端技術を作る場であり、それをみんなにお披露目する場となる。その先に、その技術を使って、途上国の安価な義足や、高齢者の歩行をサポートするもの、あるいはエンターテインメント性を持った健常者が使えるデバイスに落とし込んでいく流れをつくりたいと考えています。そう、F1を想像してもらうと分かりやすいかな。

パラリンピックで最先端技術が人間をどこまで速くできるかっていう挑戦をしながらも、どうやったらその技術でみんなに動く喜びを与えられるか、に挑戦したいと思っています。
あと一つ、昔から義足のデザインをやっていて感じるのは、障がい者という見方です。心のどこかでかわいそうだなと思ってしまう。僕も正直そういうことがあります。やっぱり、そこを変えたい。

両足義足のオスカー・ピストリウス選手がロンドンオリンピックに出場したとき、かっこいい!って思った人も多くいたと思うんです。2020年にはもっともっと多くのヒーローが出てきて、障がい者への見方というのを変えていきたい。パラリンピックだけの話じゃなくて、社会全体において障がい者に対する偏見をなくすきっかけにもしていきたいと思っています。

後藤: ありがとうございました。これからも遠藤さんの活動をサポートしていきたいと思っています。今後もよろしくお願いします。

遠藤:こちらこそ、よろしくお願いします。

★「スポリューション」チームとは?

スポーツコンテンツを、「メディア物件」として捉えるだけではなく、事業課題や、プロジェクト課題を解決するための「ソリューション」として捉え、企画する電通社内ユニットです。
チー ム内には、スポーツプランニングの実績が豊富な、戦略プランナー、プロモーションプランナー、コピーライター、アートディレクター、テクノロジスト、コンサルタント、プロデューサーなど、多種多様な人材をそろえており、ソリューションディレクター制によって、「表現のアイデア」だけでなく、「解決策のアイ デ ア」を、ワンストップでご提供いたします。

プロフィール

  •       2
    遠藤 謙
    アソシエイトリサーチャー 

    ソニーコンピュータサイエンス研究所 アソシエイトリサーチャー 
    マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボバイオメカニクスグループで、人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事。
    MIT D-Labで講師に就任し、途上国向けの義肢装具に関する講義を担当した。2012年にはMITが出版する科学雑誌「Technology Review」が選ぶ35歳以下のイノベータ35人(TR35)にも選出されている。
    ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究に携わるほか、途上国向けの義肢装具の開発、普及を目的としたD-Legの代表、途上国向けものづくりビジネスのワークショップやコンテストを主催するSee-Dの代表も務める。また今年5月にはオリンピアン為末大氏らと株式会社Xiborgを設立、代表取締役に就任する。

  • 後藤 啓介
    株式会社電通 第3CRプランニング局 プランナー

    2000年電通入社。テレビ局、MCP局を経てNaked Communications に出向。現在3CRP局(兼MDC局)。ストラテジーからコミュニケーション全体の設計、プロモーションやメディアのプランニング&エグゼキュージョンまでをワンストップで担うソリューションリーダーを目指している。また、「スポリューション」チームメンバーとして、 スポーツの新たなマーケティングコミュニケーションの可能性を模索する一方、自身もサッカー(電通サッカー部)、カポエイラ(インストラクター)、トレイルラン(50マイルレース突破)、そしてトライアスロン(今年アイアンマン初挑戦)とスポーツにどっぷりつかっている。

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