“社会”からリソースを得る「ソーシャル・ソーシング」の可能性 #02

社会と共創するためのフレームワーク(1)

  • 蓮村 俊彰
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

日本初のクラウドファンディングでマスメディアの番組を作るプログラムJ-WAVE LISTENERS’ POWER PROGRAMは2014年元日に第1弾のオンエアを無事に実現し、2014年3月からは第2弾を実施しています。第1弾では頂いた多数の番組アイデアを選考し特番を作りましたが、第2弾はできるだけたくさんの企画を採用していくレギュラープログラムになりました。

J-WAVE LISTENERS’ POWER PROGRAMは番組企画アイデア募集中です。

 

第2弾では、所定の審査基準をクリアした企画は関係者のブラッシュアップを経て、全てクラウドファンディングプラットフォーム「READY FOR」での資金調達に挑戦します。発起人はあくまで企画者自身。成功すればJ-WAVEが番組の制作・放送を行うというスキームです。これにより個人が自らの意図でマスメディア番組を企画し、周囲の賛同・援助を得ることで放送を実現する仕組みが出来上がりました。

このような仕組みを誰もが有効に活用できるよう、「ソーシャル・ソーシング」を実施する際に役立つフレームワークをつくりました。今回のコラムではそのうちの1つをご紹介します。


電通ファンドレイズパワー分析“3C×2フレーム”
ソーシャル・ソーシングで調達が難しいものの一つが「お金」だと思います。お金を集める行為を「ファンドレイズ」といいます。
『3C×2フレーム』はファンドレイズをプランニングする際、現状どの程度のファンドレイズ力があるかを分析するためのフレームです。

電通ファンドレイズパワー分析3C×2フレーム
 

フレームの構成軸はContents、Context、Communityです。頭文字のCが3つ。さらにそれぞれのCには2つの要素があるので×2になり、それをそのまま名前にしました。
このツールを活用することで、実施前に自身のファンディングプランの実力をある程度分析でき、ファンディング戦略を立案する助けになります。

 
 

ファンドのContents力

】ファンド自体のコンテンツ力:魅力的な企画/製品か。資金支援者へのお礼や対価はインセンティブとして機能するか。
例):新製品開発ファンドの場合、その新製品自体の魅力度が該当する。

】プロモーター/呼びかけ人のコンテンツ力:知名度、人気度、共感性、影響力、カリスマ性などで測ることができる。
例):呼び掛けを行っている人間が有名人で好印象だとファンドは成功しやすい。

 
 
 
 

ファンドのContext力

】ソーシャル文脈、社会的大義:ソーシャルな文脈を押さえているか。つまり現代社会を反映した“大義”があるか。もしくは反社会・反公共性を含まないか。
例):東日本大震災復興支援ファンド等が近年最も「大義」により資金を調達したファンディングであると言える。

】パーソナル文脈、TGTの共感性:個々の生活者の志向に合致する“共感性”があるか。TGT(ターゲット)の背景・文脈を押さえているか。
例):野球好きやサッカー愛好家を捉えた「球場改修ファンド」や「スタジアム建造ファンド」が好例。

 
 
 
 

ファンドのCommunity力

】関連コミュニティーの規模や影響力:ファンディング目的自体の“関連コミュニティー”が既にあるか。その規模、影響力、忠誠度はどの程度か。
例):アイドル活動支援ファンドなら、そのアイドルのファンクラブが「関連コミュニティー」にあたる。

】非関連コミュニティーの規模や影響力:ファンディング目的とは関係ない“非関連コミュニティー”、主にプロモーター(呼び掛け人)の所属コミュニティーの力。
例):発起人の友人・知人関係。支援や協力をお願いできる人脈の質と量。プロモーターが著名人であればその人脈が含まれる。

 

 

これらの要素がそれぞれバランス良くそろっているとファンドレイズ力が強いということが出来ると思います。

J-WAVE LISTENERS’ POWER PROGRAM第1弾の『復興途上の三宅島を伝える番組を皆で作ろう!』ファンディングは下記のように分析できます。

各枠にそれなりにバランス良く好要素が入っていることが分かります。実際はこのような机上のプランニングだけでは測れない、さまざまな要因が成否を分けることになります。しかしそれでも人事を尽くす際、幾ばくか助けになるフレームだと思います。

おかげさまで復興途上の三宅島を伝える番組のファンドは成立しました。
 

このようなフレームの活用により、広く社会に開放されたマスメディア放送『LISTENERS’ POWER PROGRAM』の仕組みに多くの方が参画し、この試みが社会に根付き広がっていくことを願っています。

次回以降のコラムではもう一つ考えたファンドレイズのフレームワークをご紹介します。

 

プロフィール

  • 蓮村 俊彰
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

    学生時代にカメラマン業で法人化(起業)。約40カ国を取材。その後、社会的影響力のある組織でソーシャルビジネスを興したく電通に入社。電通主導のビジネスの新規開発に取り組む傍ら、空港民営化などのPFIコンセッション入札事業構想アドバイザリ業務などのPRE/PFIコンサルティング、新規商業施設開発事業構想コンサルなどに従事。
    事業開発例として、2013年日本初のクラウドファンディングによるマスメディア放送「LISTENERS’POWER PROGRAM」事業を構想、立ち上げに参画。2016年日本初のFinTech産業拠点The FinTech Center of Tokyo 「FINOLAB」の事業を構想、 設立に参画、現在も運営チームとして日々活動中。

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