感染症撲滅を目指して

GHIT Fundが設立一周年

 

グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は6月6日、東京・港区の六本木ヒルズで創立1周年記念イベント「GHIT Fund 1st Anniversary Event “Global Health R&D Showcase”」を開催した。同基金は、アフリカやアジア、中南米などの途上国にまん延する「顧みられない熱帯病」など感染症の制圧を目指して設立されたもので、国内の製薬会社5社(アステラス製薬、第一三共、エーザイ、塩野義製薬、武田薬品工業)と、外務省、厚生労働省、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(BMGF)が官民共同事業体として、新薬の研究開発や製品化を推進している団体だ。

GHITは、同分野で日本発かつ初めての国際団体であることや、日本が戦前・戦後を通じて、世界に先駆けて感染症撲滅に取り組んできた歴史と実績があることから、設立間もない団体にもかかわらず各方面から注目されている。イベントには、政府や企業、シンクタンク、学生、国際機関、メディアなど約350人が参加した。

 
 

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院学長のピーター・ピオット氏は基調講演で「感染症は、一度撲滅しても必ず新たなものが出てくるため世界的な結束が必要だ。日本は戦後、飛躍的に感染症を制圧した公衆衛生のパイオニアであり、日本にGHITが誕生した意義は大きい」と語り「これだけの製薬会社が参加している基金は他にない」と称賛した。ピオット氏はエボラ出血熱の発見者の一人としても知られる。

 

パネルディスカッションでは、武田薬品の長谷川閑史社長、Medicines for Malaria Venture CEOのデビッド・レディー氏、エーザイの内藤晴夫社長、Drugs for Neglected Diseases initiative エグゼクティブディレクターのベルナール・ペクール氏、アステラス製薬の野木森雅郁代会長、BMGF グローバルヘルスプログラム プレジデントのトレバー・マンデル氏が登壇した。

レディー氏は「世界では年間20万人もの胎児がマラリアで亡くなる。現地に治療薬がないことに加え、薬剤耐性が生まれていることも原因だ。新たな感染症との戦いのためにも、日本の製薬会社の技術力が必要」と訴えた。長谷川社長は「研究者たちは、マラリアやエイズの治療薬開発に社会的意義を感じているが、GHITへの参加によって更なるモチベーションアップになっている」と意識の変化を語った。内藤社長は「ケミカルラボラトリーを持っているのは日本の製薬会社の強みだが、どのようにケミカルトライアルをしたらいいのか。感染症がまん延する現地とのつながりがないのが弱みだ」と課題を挙げたのに対し、ペクール氏は「感染症制圧にはスピードアップが重要で日本には技術力やイノベーション力の高さがある。現地とのつながりをわれわれがサポートしていく」と応えた。野木森会長は、「GHITに参加することで、利益にはつながらなくても製薬会社の社会的責任を果たすことの重要性を実感した。この学びは自社の価値になる」と意義を強調した。

感染症撲滅には、デリバリーシステムの改善、教育のレベルアップなど問題は山積みだが、マンデル氏は「現地の人々が受け入れなければ意味がない。薬の使われ方でも地域の習慣を踏まえた活動が必要など課題は多いが、日本の製薬会社の意欲は素晴らしい」と締めた。

GHITサイト:www.ghitfund.org

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