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広報パーソン必見!上場企業479社の広報力No.3

「デジタルメディア対応力」

~広報活用と同時にリスクへの備えを。

2014/06/21

かつては広報部門の主要対象はマスメディアでしたが、昨今では、企業ウェブサイトやソーシャルメディアの普及、さらにはポータルからまとめサイトまで多様な形態のオンラインメディアの登場により、デジタルメディア対応も広報部門にとっては重要な業務となっています。自社ウェブサイトをはじめ、フェイスブック、ツイッターなどの企業アカウントの運用、オンラインメディア、特にソーシャルメディア上での自社に対する好意的な情報の拡散やネガティブ情報のチェックなどが、広報担当には求められてきています。

そこで、日本の上場企業479社を対象に当研究所が行った「第1回企業の広報活動に関する調査」では、広報部門におけるデジタルメディア対応力の現状について把握するために、14の設問を用意しました。その結果をご紹介します。

図表1デジタルメディア対応力に関する調査結果_全体>N=479

進む情報発信面でのデジタルメディア活用

図表1は調査結果について、回答数が多かった順に並べたものです。これを見るとトップ3は「自社ウェブサイトへニュースリリースを掲載している」の88.9%、「月2回以上更新している」の60.3%、「自社ウェブサイトの効果を分析している」の53.0%で、自社ウェブサイトは、企業情報の発信手段として活用され、その効果の分析も比較的広く行われていることが分かりました。また、「ソーシャルメディアを活用した情報発信を行っている」「自社ウェブメディア(商品別サイト、ウェブコミュニティー、アプリ)を運用している」は共に30%以上で、自社ウェブサイト以外のオウンドメディアをコミュニケーション手段として利用している企業も少なくありませんでした。BtoC企業に限ってみると、ソーシャルメディアによる情報発信は半数以上に当たる51.1%が行っており(図表2)、ソーシャルメディアの広報活用が進んでいることが見てとれます。

図表2デジタルメディア対応力に関する調査結果_BtoBとBtoC比較>N=359

運用ガイドラインやKPI設定は途上

一方で「ソーシャルメディアの運用ガイドラインやリスク対応マニュアルが整備されている」企業は23.4%で(図表1)、ソーシャルメディアを情報発信に利用しながら、守りの部分であるガイドラインなどが未整備な企業も存在しています。一般消費者とダイレクトにコミュニケーションをするソーシャルメディアには炎上などのリスクも伴うため、本来であればこうしたリスクへの備えを行っておくことが望ましいといえます。また、「自社ウェブサイトやソーシャルメディアでの独自目標を定めている」は16.7%にとどまり(図表1)、オウンドメディア運用に関するKPI設定の難しさもうかがえます。

デジタルメディアの特性に合わせた情報創造は少数派

情報創造の面では、「デジタルメディアの特性に合わせた広報素材・情報づくりをしている」企業は20.0%でした(図表1)。ソーシャルメディア上での口コミの拡散を狙う場合には、マスメディア向けのオフィシャルなトーンとは異なった、エッジの効いた拡散しやすいコンテンツが効果的です。例えば口コミの情報源となりやすいいわゆるミドルメディア(「J-CASTニュース」や「ロケットニュース24」など)向けには別の切り口を用意するといったケースもありますが、まだ少数派だといえます。

ソーシャルメディア分析の広報活用へ

情報収集面では、「ソーシャルメディア上での自社や業界に関する書きこみ・評判等を分析している」企業は18.2%でしたが(図表1)、消費者の生の声を直接聞けるソーシャルメディアは貴重な情報の宝庫であるため、これらの情報を分析して広報活動へ生かす動きは今後増えていくと予想されます。


企業広報戦略研究所(C.S.I.)

企業広報戦略研究所について
企業広報戦略研究所(Corporate communication Strategic studies Institute : 略称CSI)とは、企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制等について調査・分析・研究を行う電通パブリックリレーションズ内の研究組織です。