テレビとソーシャルメディアのさらにいい関係 #03

ツイッターは受動的かも

  • Take 02 6559 hirota
    廣田 周作
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター
  • 37
    濱野 智史
    情報社会学者・批評家・日本技芸リサーチャー

廣田: ツイッターの方がリーンバックのメディアということでしょうか?

濱野: はい。リーンバック、つまり背もたれに寄りかかるように、受動的に情報を摂取できるのがツイッターのいいところです。むしろ受動的にツイッターを見ながら、逆に能動的に(プル的に)テレビを見に行くという行動パターンが、もちろん量的にはまだ少ないと思いますけど、だいぶ出てきているんじゃないかなという気がしますね。実際僕がやってきたながら視聴の調査でも、「ツイッターで話題になっていたからチャンネルを替えてみた」というケースが多いですし。だいぶ動線が変わってきている。

廣田: テレビは、むしろ意思を持って見るみたいな感じでしょうか。

濱野: はい。特に「この番組を見よう」とか、「いま盛り上がっているから見よう」という場合は、完全にそういうパターンですよね。逆にそういうところにまで持って行かないと、なかなかテレビは見てもらえなくなっているともいえる。

廣田: 例えば、番組によっても、すごくつぶやかれるものと、全然つぶやかれないものと、番組が終わってからすごく盛り上がるものがあったりするので、同じつぶやくといっても、リアルタイムで突っ込んで盛り上がるというのもあれば、わりと真摯なドキュメンタリーみたいなのをじーっと見ていて、放送終了直後に、わーっと感動コメントが寄せられたり。あとは、わりとベタなものはつぶやかれないですけど、ベタ過ぎるとつぶやかれたりとか、いろいろあるんですけど。

濱野: いろいろありますね。その辺、僕も結構いろいろ考察しているんですけど、全然まだまだ研究・分析されていないところだと思いますね。僕もいろいろとそのあたりは考察しているのですが、テレビをみながらソーシャルメディアでつぶやく人というのは、いくつかの類型に分けられます。中でも比較的多いのは「突っ込み型」です。テレビ見ながら、「何だよ、こいつ」とか「こいつ、寒いだろ」とか突っ込むようなつぶやきのスタイルですね。実際、テレビを見ながらひとりごとを言ってしまう人っていうのはいますけど(自分もかつてはそのタイプでしたが(笑))、まさにそういう感じ。
あと、ドラマとかドキュメンタリーといった物語性の強い番組に没入しながら見ている人は、あまり見ながら書くという感じではない。

廣田: それで言うと、番組が始まる直前に「待機なう」みたいなコメントが集まって、番組放送中は、集中して見られているのであまりコメントがないのですが、終わった後で、また感想・批評系のつぶやきがわーっと流れてくることは良くありますね。

濱野: 視聴後に感想をわーっとつぶやく感じですよね。よかった、よかったと。その感動を共有する、反復する、反芻するためにつぶやくという感じ。チェックイン、チェックアウト的なつぶやきスタイルと言えばいいのかな。
そういう感じの使い方をする人もいれば、あとは単純に暇つぶし的に何か面白いのないかなといって、それそこ、「あ、いま、何、△チャン盛り上がってるの」といったら△チャンへ行く、みたいなタイプの、本当にザッピングの代替物としてのツイッターの使い方もある。

あとはミーハータイプというか、それこそ僕だったら、AKBのメンバーが出てきたら思わず「ぱるるキターーーーー!!!!」とかつぶやいて、ひたすら自分の好みのタレントばっかり追っかけるようなつぶやきのスタイルですね。それはべつにアニメの声優でもいいし、読者モデルでもいいし、そういう情報をやたら追いかけている、追っかけ系の人たちのツイッターの使い方もあります。これは比較的若い人に多く見られます。

廣田: アニメでいうと、実況系のつぶやきが多いですよね(笑)突っ込むでもなく、批評するでもなく、ひたすら実況をしている。

濱野: 実況は多くの人がやるわけじゃないですけど、やっぱりその番組が好き過ぎるオタとかが、ある種の愛情表現の一種としてやるものですよね。メリットもあって、実況すれば周りの人に一応知ってもらえるし(投稿が多すぎてウザがられることもしばしばですが(笑))、実況がきっかけになって、見知らぬ人からフォローされたりしてフォロワー数が増えるみたいなこともありますし。

廣田: 同じ趣味を持っている人たち(○○クラスタと言ったりしますが)が見ているだろうという想定のもとにつぶやくと、その人たちへのメッセージにもなっているということですかね。
そういう意味では、もともとテレビも、同じ時間を共有するという観点では最強メディアだと思うんですが、さらにネットが「共有しやすさ」を補完して、人と人とのつながりをより可視化できるようになったところが一つありますね。

濱野: そうですね。いまのところ「ながら視聴」の類型として、「突っ込み型」「没入型」「暇つぶし・ザッピング型」「ミーハー型」の四つを挙げたんですが、さらに二つぐらい挙げられます。その一つが、ニュースなどをひたすらチェックして、自分の知りたい情報をひたすら検索するというタイプです。ニュースや情報バラエティ、もしくはヒストリーチャンネルのような情報量がとにかく多い番組を見て、何か知らないものが出てきたら、ひたすらウィキペディアで検索して知的好奇心を満たす。こういう「情報検索型」のながら視聴というのも、わりと見られる類型です。

さらに「世論マッピング系」というべき類型もあります。たとえばニュースを見ていたら、意見が絶対分かれるようなタイプのセンシティブな問題ってありますよね。そういうとき、自分はこの問題はこういうふうに感じるけど、世の中の人ってどう思っているんだろうと、世間における自分の立ち位置を知りたいと感じることってありますよね。いままでだったら、朝日新聞はこう言っている、読売はこう言っている、保守はこう言っている、でも自分はこれこれこういう考えだ、という具合に、論壇的なものさしで世間に対するマッピングをしていたわけです。

でもいまの若い人たちというのは、もちろん朝日新聞と読売新聞を並べて読むというようなことはやっていないので、かわりにツイッターとかでやるんですよね。いわゆる両論併記的なというか、世論はいまどっち側に偏っているんだろうみたいなことは、変な話、ツイッターで検索すれば可視化されるわけです。「あ、俺が思ったようなこと、こういうことを言っているし、そうじゃない人もいるのか。ふーん」と思う、みたいな、こういうある種のかつてであれば新聞とか論壇誌といった知的な権威において調整されていた問題も、ツイッターで一人ひとりが批評的に判断できるようになっている。もちろんネットなんて偏った意見ばかりで、そんなところでバランス取ろうとしても無駄だと嘲笑する向きもあるでしょうけど、とりあえずやろうと思えばやれるわけです。

廣田: 最近、「にっぽんのミンイ」(フジテレビ・毎週月〜水24:35〜24:40、毎週木24:35〜24:45)という深夜の番組があるんですけれども、そこでまさにソーシャルから意見を集約しています。あと、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京・毎週月〜金23:00〜)でも、視聴者に意見を聞いて、それを集約して、また返すみたいな、いわゆるソーシャル・リスニングをやっている番組が増えてきている気もします。

次回へ続く 〕

プロフィール

  • Take 02 6559 hirota
    廣田 周作
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

    2009年に電通入社。企業のソーシャルメディアの戦略的活用コンサルティングから、デジタル領域における戦略策定、キャンペーン実施、デジタルプロモーション企画、効果検証を担当。社内横断組織「電通ソーシャルメディアラボ」「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」などに所属。著書に『SHARED VISION』(宣伝会議)。

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    濱野 智史
    情報社会学者・批評家・日本技芸リサーチャー

    1980年生まれ。慶應義塾大大学院政策・メディア研究科修士課程修了、国際大グローバル・コミュニケーション・センター研究員を経て、現在はウェブ関連サービス会社の日本技芸でリサーチャーを務める。2011年から朝日新聞論壇時評委員、千葉商科大非常勤講師を兼務。専門は情報社会論・メディア論。ウェブサービス、ネットコミュニティーの社会学的分析や、一般ユーザーの実態調査(フィールドワーク)を手掛けている。主著に『アーキテクチャの生態系』(08年、第25回テレコム社会科学賞・奨励賞)、『日本的ソーシャルメディアの未来』(佐々木博氏との共著。11年)、『希望論』(宇野常寛氏との共著。12年)など。

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