シンブン!今だからできること。今しかできないこと。 #13

東北復興のために新聞ができること(3)

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    北出 康博
    株式会社電通 MCプランニング局 メディア・ソリューション室 エリア・ソリューション部長

 ゆっくり急ぐ 

~つなぎ、つたえ、つづけていきたいこと~
東北復興サポートネットワークの活動

 

東北復興サポートネットワークの活動を開始して、この7月末でちょうどまる3年となります。東日本大震災の年から被災地に通い活動してきましたが、あっという間の3年でした。お世話になりました関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。

この3年、政権も代わり、さまざまな国際問題が噴出したり、大きな変化がありました。復旧・復興をはじめ被災地での変化もさまざまありましたが、その中の一つとして被災地とも大きく関わるビッグニュースだったのが、2020年の東京五輪の開催決定でした。

今年6月には、組織委員会の森喜朗会長が被災地を回り、各知事に「五輪はオールジャパン態勢で挑みたい」と発言するなど、被災地も含め国全体として取り組んでいくことを明言していました。一方、各知事からは「聖火リレーの開催」「事前合宿の開催」「サッカー予選開催」などのイベント誘致を望む声が発せられています。

そうしたイベントを被災地で開催することの意義は大変大きく、実現してほしいのですが、被災者一人一人の視点で考えると、そう単純ではないとも感じます。イベントは最終的な事象であり、その根底にしっかりと被災者と向き合った部分がないといけない。私たちも携わる人間として、しっかり意識していきたいと思います。

今年の4月26日、ソチ冬季五輪フィギュアスケートで日本男子初の金メダルを獲得した羽生結弦選手のパレードが、出身地の仙台市で盛大に実施されました。約9万2000人(主催者発表)というすごい数の方々が、晴れ渡った空の下で「感動をありがとう!」と大きな声援を羽生選手に送っていました。そのパレード前に、村井宮城県知事が羽生選手に県民栄誉賞を授与したのですが、その際に彼が「どうか被災地のことを忘れないでいただきたい」とあいさつしたそうです。3.11当日あの時間に仙台のスケートリンクにいて実際に被災した彼からの声は本当に心にしみますし、大切なことは何なのか、考えさせられます。私の知り合いで石巻で被災された50代の男性は「まだ19歳の羽生選手の姿を見て、もっと大人がしっかりしなくちゃと思う。彼自身は“自分は何もできない、精いっぱい演技を見せるだけだ”と言っていたが、そんなことはない。彼の姿を見て一体何人の被災者が勇気づけられたことか。大人が一人一人自分に何ができるのかしっかり問い直して一歩ずつ進まないと、彼にも申し訳ない」と目を潤ませながらおっしゃっていました。

  羽生結弦選手「金メダルおめでとう」パレード  
 
羽生結弦選手「金メダルおめでとう」パレード
宮城県公式ウェブサイトより
 

 

少し視点が変わりますが、皆さんもよくご存じの作家の乙武洋匡さんが東京五輪についてこんな意見を出されていました。「パラリンピックをなくしたいと思っています。障がいのあるアスリートが活躍できる舞台をなくすべきというのではなく、オリンピックとパラリンピックを一つの大会として開催できたらいいと」。彼の発言の趣旨は、例えば柔道やレスリングなどで体重別に階級が分けられているのが、体重差というハンディをなくすための工夫だとすれば、身体障がいや視覚障がいなどの身体機能ごとに階級を分けて実施すればいい、ということのようです。もちろんこれを実現するのは容易ではないと思いますが、ダイバーシティー(多様性)への対応も含め、さまざまな障壁を越える挑戦をしていくことがとても重要で、これは、被災地との心からの関係づくりにも共通することだと思います。そうしたトライの積み重ねがあって初めて、日本という国が一つとなって新しいステージに入っていけるのでしょう。

2020年東京五輪、そして翌2021年の東日本大震災後10年の節目を一つの大切な機と捉え、皆が手を取り合って壁を時には乗り越え、時にはぶち壊し、新しい道を築いていけるよう、その気持ちをもってこれからも活動していきたいと思います。

(MCP局エリア・ソリューション部 東北復興サポートネットワーク(※)仙台駐在 北出康博)

※東北復興サポートネットワーク:2011年3月11日の東日本大震災を受けて、電通の本業を通じて現地でどのような復興支援が行えるのか社内で検討し、同年8月に活動を開始した社内横断的バーチャルプロジェクトチーム。現在、MCプランニング局エリア・ソリューション部を基幹部署として、ラジオテレビ&エンタテインメント局や第15営業局のメンバーを加えた計6名で構成し、社内や電通東日本の関係各署とも協業しながら、主に岩手・宮城・福島の3県で活動中。活動開始から2年半余りの中で、地元自治体や中央省庁の復興関連事業、地元メディアと協働した復興イベント、地元民間企業の復興支援等々、活動実績は多岐にわたる。

プロフィール

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    新聞メディアにとって、今は大きな変革の時です。そんな今だからこそ、新聞広告は様々なチャレンジが可能となり、広告クリエーティブの幅もグンと拡がっています。このコラムでは、電通新聞局員が、新聞メディアの「今だからできること。今しかできないこと。」をテーマに連載していきます。みなさんに「今、新聞広告が面白い!」と思って頂けるような、新聞広告の最前線をお届けします!

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    北出 康博
    株式会社電通 MCプランニング局 メディア・ソリューション室 エリア・ソリューション部長

    1991年電通に入社。新聞局で新聞社担当、マーケティング担当等を経て、東北復興サポートネットワークの立ち上げから担当し、2011年8月より東北駐在を開始。2014年から現職となるが、引き続き東北復興支援活動中。早稲田大学、青山学院大学、専修大学、駒澤大学、宮城大学等にて講師多数実施。共著に「実践マーケティング・コミュニケーションズ」(第4章メディア、2005年)等多数。京都市出身。

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