インサイトメモ #38

若者のメディア行動の最新動向

~メディア・コミュニケーションでみる

若者まるわかりクラスター分析より~②

  •   pr2
    兵澤 諒
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 研究員

近年、インターネットやスマートフォン(以下、スマホ)の普及に伴い、コミュニケーションが複雑化している。特にその現象が顕著に表れている若者を捉えるため、電通若者研究部(通称:ワカモン)と共同で開発したクラスターを紹介したい。

第1回は情報行動(検索&発信)が盛んなクラスター3つを紹介したが、今回は情報行動をそこそこ行っている3つのクラスターのメディア・コミュニケーション行動について紹介しよう。

〜情報Share×情報Searchのポジションマッピング〜

 

今回のトップバッターはクラスター③「マイペースキャラ」。LINEやツイッターといったソーシャルメディアをよく使っているが、ネット上の友達はリアルな知り合いに限定している。実際の人付き合いも、どんどん広げていくのではなく、“交友関係を狭く、さらにその関係を深くする”傾向が強い。

 

メディアは時事ネタの情報ソースとして利用
他のクラスターと比べるとリアルタイムのテレビ視聴は少ないが、録画再生ではよく見ている
新聞はじっくり読む

 

彼らは、メディアごとに使い方を区別している。例えば新聞の接触時間が他クラスターより長く、テレビはリアルタイムでの視聴より録画で見ている傾向が強い(テレビ視聴時間:98.5分、録画再生:132分<1日当たり、以下同>)。彼らはニュース番組への関心が強いので、ニュース番組はリアルタイムで、その他の見たい番組は録画で見るタイプであると考える。
ソーシャルメディアではLINEの利用率が73%と全クラスターで最も高く(全体平均46%)、友達リストの人数も多め。ツイッター利用率も同程度で高いが、アカウントにはカギをかけて利用しており、“いつメン(いつものメンバー)”でのやりとりがメーンになっている。グループインタビューでも「仲が良い友達は、地元の小中一緒の男女7人。『旅行に行きたいから一緒に行こう』とか、『今、面白い人がいた』とか、本当にくだらないことをツイッターでつぶやく」という発言があり、ソーシャルメディアコミュニケーションがいつメン限定になっている人が多かった。その他にも「人間関係は進学や就職で増えていくが、自分から増やしたいとは思わない」「狭くて深い方向に友達が増えるのは歓迎」といった意見も聞け、今あるコミュニティーで満足している人がほとんどだった。

 

次にクラスター④「超リア充」。クラスに1~2人いる、本当の人気者。自分に自信があり、幸せ自覚度も高い。情報取得源やセンスが確立されていて、ソーシャルメディアや口コミをあまり参考にせずネット上ではシェアもしないが、周りがおのずとフォローしていく、カリスマタイプ。

 

マスにもネットにも強いマルチメディアタイプ
モバイルも積極活用でタブレットの利用率も最多
トレンド誌と情報サイトを駆使して自身で情報収集

 

彼らのメディア行動は、マスメディアにもネットにも強いマルチメディアタイプ(ただし録画再生視聴はあまりしていない)。モバイルネットを積極的に活用しており、タブレットの利用率も最多。また雑誌も頻繁に閲読しており、55.5分と全クラスター中最も長い接触時間となっている(全体平均:23.5分)。口コミなどのオフラインはシェアするが、オンラインでシェアしないタイプ。ただオンラインでシェアはしないにもかかわらず、ソーシャルメディアでの友達数はかなり多い。周囲から注目を浴びやすいクラスターであるからといえよう。

 

最後はクラスター⑤「ネトゲ充」。ネットゲームの世界で充実を感じ、モバイルゲーム好きのインドアな人物。興味がゲームに偏っており、衣食にはあまり関心がない。「リアルな人付き合いよりネットの方が楽」という意識が強く、ネットゲームで他者とつながっている。全体的に受け身でトレンドには低関与。

 

モバイルだけでなく、テレビの視聴時間も長く、「ながら見」や「つぶやき視聴」の様子がうかがえる
雑誌はそれほど読まないが、ガジェット情報誌は好き

 

彼らはその名の通り、モバイルゲームを頻繁にしているので、スマホや従来型携帯からのネットの接触時間が161分と全クラスターの中で一番長い(全体平均:114.5分)。またモバイルだけでなくテレビの視聴時間も147.5分と長く、「ながら見」や「つぶやき視聴」の様子がうかがえる。雑誌の接触時間も多くはないが、ガジェット情報誌はよく読んでいる傾向がある。

ネットメディアに関しては、グリーやモバゲー、ミクシィなどのゲーム系ソーシャルメディアの利用率で他クラスターを圧倒する。ユーチューブやニコニコ動画などの動画サイトの利用率も高い。一部の若者の間ではゲームの実況動画や攻略動画が人気を博しているので、彼らはそれを視聴していると考える。

 

今回ご紹介した3クラスターは情報行動(検索&発信)が同程度な中でもタイプが分かれた。「マイペースキャラ」はいつメンのコミュニティーのために、オンライン/オフライン問わず情報を収集し発信をしている。「超リア充」はさまざまなメディアから情報を仕入れていて、発信はオフラインに限っている。ただオンラインでの発信はしないにもかかわらず、ソーシャルメディアの友達は多い。逆に「ネトゲ充」はオフラインでの発信はほとんどなく、基本的にオンラインでの発信となっているのが特徴だ。

このように一口に若者といってもメディアの使い方はさまざまであるので、彼らの特徴を理解し、それに合わせた戦略を策定する必要があるだろう。

 
 

<分析概要①>

d-campデータを元に因子分析、クラスター分析を実施。
使用データ:d-camp2012(調査実施期間: 2012/10~2013/07 )
調査エリア:関東1都6県
分析対象 :中学生を除く15歳~29歳男女(1163ss)
調査方法 :アンケート用紙による郵送留置法
調査実施機関:電通マクロミルインサイト


<分析概要②>

6クラスターに対して、グループインタビューを実施。
調査対象者 :6グループ×各6人=計36人(各クラスター3人ずつ×2クラスターの組み合わせで計6人を構成)
対象者条件 :首都圏在住の15~29歳男女、未婚(1グループのみ既婚子なし1人)、SNS利用者
調査時期  :2014年3月26~29日
調査実施機関:電通マクロミルインサイト

 

プロフィール

  •   pr2
    兵澤 諒
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 研究員

    2012年電通入社。入社以来、メディア環境の変化とオーディエンスインサイト(生活者の情報行動)を専門に研究しており、特に若年層のインサイト研究を主に担当。また、当部から毎年刊行している『情報メディア白書』の制作も担当している。

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