人もペットもうれしい社会を。 #05

飼いたいけど飼えない、それってどうして?

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    奈木 れい
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

皆さん「ペットを飼いたい」と思った経験はありますか?


誰でもきっと、小さい頃にお父さんやお母さんに対してペットを飼いたいとお願いしたことがあるのではないでしょうか?
本当にお世話ができるのか、どれだけペットを飼うのが大変か、さまざまな理由からペットを飼うことを断念した経験をお待ちの方も多いのではないかと思います。
では大人になった今、ペットを飼いたくても飼えないと感じている人はどれくらいいるのでしょうか?昨年Think Pet Projectが、現在犬を飼っていない人を対象に独自に行った調査の結果、“10人に3人は、今後犬を飼いたいと思っているが現在は何らかの理由で飼っていない”ことが分かりました。
※この結果の中には過去に犬の飼育経験がある方も含まれています。
具体的にどのような理由で飼えないと感じているかというと、以下のような結果となっています。

「現在の住居がペット禁止の住宅だから」を最も多い理由とし、他にも自分の生活リズムや時間の使い方が犬の飼育に適さないと感じている方のとても多いことが分かります。

現在の住宅事情からすると、実はペットの飼育可否はその物件の資産価値に影響を及ぼすといわれており、現在ペットの飼育可物件は大きく増加傾向にあります。特に、2001年から2002年の間に急激に増加し、2007年以降は新築分譲マンションの約9割がペットの飼育が可能となっています。

ペットの飼育場所が室内へと移行している傾向からも、“ペットと快適に過ごすための住居”というのは大きなトピックであり、ペット市場の動向としても非常に変化の著しいカテゴリーです。増加する室内犬のための「滑らない床」「犬と飼い主のゾーンを分ける仕切り」「エントランスに設置された足洗い場」など、各社さまざまな工夫が行われています。このような状況からも、“住居”というインフラの問題は解決へ向かっているように感じる一方で、その次には「旅行に行けないなど、生活が制限されそうだから」という理由が挙げられています。

実はこちらに関しては、既にサービスとして解決策の存在しているものが多数あります。こうした回答から分かるのは、ペット関連サービスがまだまだ認知不足ということです。まだまだ広く知られていないサービスが非常に多く存在しているのです。

旅行という切り口一つとっても、ペットと一緒に泊まることができる宿は増加傾向にあります。“一緒にペットと旅行へ行く”という選択肢も広がっていますし、ペットを置いて旅行へ行くための“ペットホテル事業/サービス”も多様化していますが、今回の調査の中で、「宿泊を伴うペットの預かり可能なペットホテル」を知っていると回答したのが42.6%、「あなたの代わりに散歩をしてくれる散歩代行サービス」を知っていると回答したのが39.3%となり、この結果からも半数以上の方はこういったサービスの存在すら知らないことが分かります。

“自分の大事なペットを置いてどこかに行くのは嫌”ということでない限り、現在は多くのサービスのサポートによって、ペットを飼ったとしても旅行を楽しめる仕組みはどんどん増えています。

ペット関連産業において、サービスや商品は存在しているものの、その存在が明確にオーナーのもとへ届いていないというのは非常に大きな問題で、私たちのプロジェクトはこのようなコミュニケーションの問題も、“ペットを飼うというスタイル”の発信や訴求を通じて解決していければと考えています。

その一方で、犬を飼いたいのに飼えない別の大きな理由として挙げられていた、自らの生活スタイルや時間の使い方との不一致というのは、非常に大きな問題でありながら、こちらはインフラの整備など含め、これからという状況にあるのも事実です。
現代社会は、シニア・若者を問わず単身者世帯の増加というの課題を抱えており、そういった方々のパートナーとなるべきペットとの共生が環境上妨げられているのは、私たち人間にとって大きな機会損失である、と考えます。
もっと現代の生活スタイルに適した仕組みが必要なのです。
“飼いたいけど飼えない”と感じている人たちを、コミュニケーションを通じてできるだけ減らし、人もペットも幸せな共生生活を送れる環境を整えることで“個人”も“社会”ももっと幸せになることができるのではないでしょうか。

プロフィール

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    奈木 れい
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

    2011年電通入社。ペット産業の創造を目的としたプロジェクト「Think Pet Project」のメンバーとして活動中。また、「若者研究部(電通ワカモン)」の研究員として、学生との関係性づくりや開発を推進。プロジェクトマネジメントから、コンセプト・戦略立案、商品開発やスペース開発、そして新規事業開発など、多様な領域での作業に携わる。共書に「若者離れ」(エムディエヌコーポレーション・2016年)。

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