インサイトメモ #39

若者のメディア行動の最新動向

~メディア・コミュニケーションでみる

若者まるわかりクラスター分析より~③

  •   pr2
    兵澤 諒
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 研究員

近年、インターネットやスマートフォン(以下、スマホ)の普及に伴い、コミュニケーションが複雑化している。特にその現象が顕著に表れている若者を捉えるため、電通若者研究部(通称:ワカモン)と共同で開発したクラスターを紹介したい。

前回(第1回第2回)までは情報の検索および発信・共有を行っているクラスター6つを紹介した。最終回となる今回は、情報の検索はするが発信をあまりしない3つのクラスターと、情報の検索も発信もほとんどしないクラスターのメディア・コミュニケーション行動について紹介しよう。

〜情報Share×情報Searchのポジションマッピング〜

 

情報の検索はするが、発信はあまりしないグループの最初はクラスター②「正解さがしさん」。彼らは「人にどう思われているか」をとても気にするタイプである。またさまざまなメディアから情報を得ているので、情報過多で疲れている一面も見られる。ちなみに女性比が最多のクラスターで、特に10代女性が多い。

クラスター②「正解さがしさん」

 

 とにかくテレビ大好き。朝から深夜までテレビはONで"ながら見"をしている
 雑誌とラジオの利用も多く、一日の多くをメディアに割いている

彼らは日常的に多くのメディアに接しており、特にテレビの接触時間は155分(一日当たり、以下同)と全クラスターの中で最も長く、録画再生視聴も137分と全クラスターで最長となっている(テレビの全体平均:128分、録画再生の全体平均:112分)。このクラスターは積極的に多くのメディアを活用することで情報をインプットし、常に話題についていけるようにしている。しかし、自分が良いと思ったものでも周りから同意されない場合の不安感から、周囲への発信はあまりしない。

 

次にクラスター⑦「ガチオタ」。パソコンでのネット依存度が非常に高いタイプ。人付き合いに関して否定的で、群れるのを嫌い、自分の興味領域(アニメ、マンガ、ゲーム)以外にはほとんど興味を持たない。パソコンを通じて動画サイトや興味領域の情報は検索するにもかかわらず、発信はあまりしていない。男性が最多のクラスターで、特に20代男性が多い。

クラスター⑦「ガチオタ」
 

 とにかくデスクトップPCの前にいる時間が長い
 アニメ・マンガ・ゲーム好き
 WikipediaやAll Aboutなど情報共有サイトを活用

彼らはデスクトップパソコンの前にいる時間が232分とかなり長い(全体平均:105分)。ウィキペディアやオールアバウトなどの情報共有サイトをはじめ、さまざまなサイトを活用し、情報を入手している。またユーチューブやニコニコ動画といった動画サイトや2ちゃんねるのような掲示板サイトの利用率が非常に高いのも特徴だ。そして彼らはパソコンネットだけでなくテレビも視聴しており、視聴番組のカテゴリーはアニメがメーンとなっている。

 

最後はクラスター⑧「大衆キャラ」。いわゆる“普通の人”。主にテレビを見て、友達とのコミュニケーションでLINEは使うけれども、ネットリテラシーや情報リテラシーは低いと自覚している。テレビや知り合いからの情報がないとなかなか物事が決められないフォロワータイプで、定番・王道なモノを選びがち。

クラスター⑧「大衆キャラ」
 

 メディアの接触は総じて低いが、テレビの視聴時間は長い
 視聴するテレビ番組はドラマやバラエティーという王道タイプ
 ネット接触率が低く、あまり積極的に利用しない

彼らのメディア接触時間は総じて短い。ただテレビは視聴しており、視聴ジャンルはドラマとバラエティーという王道タイプ(大衆キャラ:142分、全体平均:128分)。インターネットの接触時間がパソコンやスマホ、従来型携帯電話ともに他のクラスターと比べると短い傾向がある。パソコンでのネットの利用時間は全体平均が105分に対し、大衆キャラは59分、スマホ/従来型携帯電話のネット利用時間も全体平均が114分に対し、大衆キャラは81分となっている。

第1回では情報行動が盛んなグループ、第2回では情報行動がそこそこなグループ、そして第3回となる今回では検索はするが発信はしないグループの合計3グループを紹介した。

最後にこれらのグループのどこにも所属しない、情報の検索も発信・共有もしないクラスターにも触れておこう。

彼らはクラスター⑨「ぼっちキャラ」。人間関係そのものが比較的希薄な人物。ほとんどの情報に興味がなく、人との情報交換もない、自己完結タイプ。ソーシャルメディアの利用率も総じて低く、メディアや消費、人間関係全てにおいて“低関心層”と呼ばれるクラスター。

クラスター⑨「ぼっちキャラ」
 

 相対的にはテレビ中心、他メディアは低関与
 大衆的アニメを見ている率が高い

彼らはテレビの視聴時間は平均的である(ぼっちキャラ:129分、全体平均:128分)。しかしその他のメディアにはあまり接触していないクラスターである。ソーシャルメディアの利用者も一部いるものの、利用率は低く、つながっている友達数も少ない。

今回紹介したクラスターは自ら情報発信をしないクラスターだが、発信をしないにもそれぞれ理由がある。「正解さがしさん」は持っている情報量は豊富だが、周囲の目を気にし過ぎて発信できない。「ガチオタ」は自分の世界に入り込んでおり、人付き合いには否定的なので発信しない。「大衆キャラ」はそもそもインターネットを積極的に活用しておらず、情報リテラシーも低いので発信しない。「ぼっちキャラ」はほとんどの情報に興味が薄く、人との関わりも少ないので発信しない。

3回にわたって全10クラスターのメディア・コミュニケーション行動について紹介してきた。それぞれ情報行動が異なり、積極的に情報を発信しているクラスターもあれば、受け手に回って自らは発信しないクラスターもあった。このように一口に若者といってもメディアの使い方はさまざまであるので、彼らの特徴を理解し、それに合わせたコミュニケーション戦略を策定する必要があるだろう。

 
 

<分析概要①>

d-campデータを元に因子分析、クラスター分析を実施。
使用データ:d-camp2012(調査実施期間: 2012/10~2013/07 )
調査エリア:関東1都6県
分析対象 :中学生を除く15歳~29歳男女(1163ss)
調査方法 :アンケート用紙による郵送留置法
調査実施機関:電通マクロミルインサイト


<分析概要②>

6クラスターに対して、グループインタビューを実施。
調査対象者 :6グループ×各6人=計36人(各クラスター3人ずつ×2クラスターの組み合わせで計6人を構成)
対象者条件 :首都圏在住の15~29歳男女、未婚(1グループのみ既婚子なし1人)、SNS利用者
調査時期  :2014年3月26~29日
調査実施機関:電通マクロミルインサイト

 

プロフィール

  •   pr2
    兵澤 諒
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 研究員

    2012年電通入社。入社以来、メディア環境の変化とオーディエンスインサイト(生活者の情報行動)を専門に研究しており、特に若年層のインサイト研究を主に担当。また、当部から毎年刊行している『情報メディア白書』の制作も担当している。

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