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中国発★映画業界に異変 若手人気作家×SNSで興行記録更新

2014/09/25

    中国で人気小説家の原作・監督による映画が次々と興行収入記録を塗り替えるヒットを記録し、伝統的な映画業界に衝撃を与えている。

    第一財経日報や財経網などによると、この夏、大ヒットを記録したのは、浙江華策影視が製作した恋愛・ファッション映画「小時代3」と、博納影業集団が製作したロードムービー「後会無期」の2作品。小時代3は上映第3週で5億1700万元(約86億2000万円)を稼ぎ出し、観客動員数は4000万人を超えた。来年の春節前に完結編「小時代4」が公開予定だが、1、2も合わせたシリーズ全体で最終的に20億元を超えるとみられている。後会無期も、公開2週で小時代3のペースをしのぐ5億1400万元を売り上げ、最終的には8億元を突破する見込みだ。

    この2作品の成功に共通するのは、郭敬明氏、韓寒氏といった1980年代生まれの人気作家で映画界出身ではない「シロウト監督」により手掛けられていること。さらに、SNSが巧みに駆使されていることだ。郭、韓両氏共に作家として自らSNSで情報発信していく能力に長けており、彼らのミニブログ「微博(ウェイボ)」やチャットアプリ「微信(ウェイシン)」は数千万人の「粉絲」と呼ばれるファンがフォローしている。

    「投資家は最近、オンラインでの影響力を投資見極めの材料にしている」と、メディアコンサルティングの楽正伝媒研発与諮詢では指摘する。出資する作品の監督や主演俳優のSNSにどれだけの数のファンがいるかの事前調査が行われるという。

    さらに「小時代」は、電子商取引最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が3月に開始したメディアコンテンツ専用の投資ファンド「娯楽宝」で、10万人のファンから資金を集めたことも大きく注目されている。娯楽宝は開始から約3カ月間で約46万人が出資し、「小時代」を含む映画9作、モバイルゲーム1作品向けに計1億6000万元以上の資金を調達した。郭敬明ファンが作品に自ら「投資」できる楽しみも、映画を盛り上げる新しい要素になった。

    中国の映画市場は、シネマコンプレックスの拡大などにより年20~30%で成長している。映画市場の発展を支える大きな柱として、今後も異業種からの参入による話題作の登場を期待する声は大きい。