Dentsu Design Talk #40

高解像度で、モノゴトを見る。(後編)

  • Horie pr
    堀江 貴文
    SNS株式会社
  • Yamamoto pr
    山本 憲資

9月22日に電通ホールで開催された電通デザイントーク第123回は、SNS ファウンダーの堀江貴文氏とSumally(サマリー)の山本憲資氏の対談形式。テーマは「高解像度で、モノゴトを見る」。社会の最先端でサービス開発を行う2人のモノゴトの見方とは?その後編をお届けする。(前回はこちら

雑誌の電子化はどうなる? オールドメディアのこれから

堀江:僕はいまキュレーションマガジン「アンテナ」のアドバイザーもしています。雑誌の売り上げは右肩下がりの状況が続いています。そうすると、ハイブランドの広告の出し先がなくなります。アンテナをそういったブランドの広告の受け皿にしたい。いま数百万ダウンロードまで来て、お陰さまでナショナルクライアントからの広告出稿が急増しています。雑誌的な媒体で、スマホに特化して、ダウンロード数を稼いで、メディアとして成長する流れができつつある。電子雑誌は、よく紙媒体と同じUIにしようとするけど、あれは間違いです。スマホでサクサク見られないといけないし、記事の作り方自体もスマホに特化した形に変えていかないといけない。

山本:雑誌の電子化はまさにその通りだと思いますが、媒体としてのテレビをどう見ますか? 僕はテレビも将来的にはパーソナライズドしたコンテンツを配信していけるんじゃないかと思うんですが。

 

堀江:そこは厳しいんじゃないかな。テレビは大量に出稿して、新しいサービスを認知させることには優れているけれど、ターゲティングには限界がある。年収1000万円以上の男性だけに広告を打てるならいいけど、難しいでしょう。新商品を発売する企業に大量出稿してもらうのが一番いいという話になるんじゃないですか。雑誌の電子化はいまのところ大失敗ですね。既存の雑誌作りにこだわると、どんどんユーザーを無くします。これまでの雑誌の記事は、スマホだと文字数が多すぎるんです。1ページ1200文字も読んでくれるのは奇特な人ですよ。皆、見出しから興味があるものだけを読む。ビジュアルを増やし、文字は極限まで削って記事を構成することが大事なスキルになっていくと思います。雑誌の編集長が聞いたら眉をひそめそうな話だけど、元編集者としてどうですか?

山本:僕自身もそういうニュースの読み方をしますが、その一方で、ゴシップ系の話題ばかりピックアップされる状況は残念に感じています。経済情報に特化した「ニュースピックス」のように、カテゴリを絞ることで、その状況を回避できるかもしれない。もしくは、パーソナライズドを強めていくやり方でもゴシップ偏向を避けられるかもしれません。パーソナライズドは、速報性が求められるニュースでは難しいかもしれませんが。

堀江:ニュースアプリでいえば「グノシー」は、パーソナライズドできてますよ。僕のグノシーは、ちょっとすごいです(笑)。欲しいニュースがマニアックに出てくるから。僕はニュースアプリを使い分けていて、世の中のゴシップをチェックするにはもうLINE NEWSがあればいいと思う。新聞のフォーマットはもう古い。政治面、経済面、国際面、文化面、社会面というカテゴライズは、新聞というメディアが創られた当時、まだニュースが少なかったころのものでしょう。エンタメから始まるLINE NEWSのカテゴリーこそ、今のカテゴリーだと思う。ネットだけ見ていると、社会面のニュースに疎くなりますが、それを悪いことだとも思いません。だって「そんな事件の報道は少しでいいんじゃない?全国ニュースで流すようなネタ?」と思う社会面ニュースってたくさんある。そういう報道を見ると、社会面の事件報道は、担当記者たちが仕事をするために記事を書いているような気もするんですよね。

情報はアウトプットが大事 書くと本質が見えてくる

山本:僕がニュースを見ていて心地いいのは、自分が触れた情報の関連情報が適切に出てくる状態ですね。Sumallyでは、「モノ」に関わる情報で、その精度を追求していきたいんです。

堀江:アマゾンでもぜひやってほしい。僕は漫画が好きでよく買うんですけど、よく何巻まで買ったか分からなくなって、5回に1回くらいは同じものを2冊買ってます。アマゾンは購買履歴の管理をなぜしてくれないんですかね?

山本:物は売っていても、情報を売っているという意識は少ないのかもしれないですね。コミックアプリ「週刊Dモーニング」は読まれます?あのアプリはすごくよくできていると思います。

堀江:でも「バカボンド」が読めないじゃないですか。井上雄彦さんは、「自分の漫画は紙で読んでほしい」ということを言っているみたいですね。だからこの間、井上さんを説得する方法を考えたんです。雑誌って、めくるときにページが曲がるから絵がゆがむでしょ。井上さんはそのゆがみまで考えて描いているのか?たぶんそこまでは考えていないと思う。だから、「タブレットなら曲がらないから、オリジナル原稿のままで読んでもらえます。こっちの方が、よりリアルに近くないですか?」というのはどうでしょう。

 

山本:(笑)。こだわりもあるかもしれませんが、漫画家だけでなく小説家でも、部数を出す作家にこそ、早く電子化してほしいと思います。

堀江:秋元康さんのように、長く活躍している人ほど実は柔軟ですよね。新しいツールを使いこなすことは大事だと思います。ただ、問題点もあるんですよね。時間がなくなります。面白い情報は湯水のように出てくるから。いま僕の待ち時間は、全部情報収集の時間になってます。好きだから喜んで読んでますけど、少し交通整理も必要かな。

山本:僕も似たような状況ですが、最近では意識して古くからあるものを見るようにしています。新しいものと並行して、ずっと受け入れられ続けるとは何なのかを探すのが面白いんです。

堀江:僕はもう、新しいもので完全に精いっぱいですね。それで、ひとつ大事なことを言います。情報はアウトプットが大事です。ツイッターでコメントをつけてシェアしたり、さらに深堀りしたい時はブログやメルマガにまとまった文章を書く。すると理解が進むんです。それを繰り返していくと、やがて物事の本質が見えてきます。ただし、僕のインプットの量は半端ないですよ。毎日「行」だと思ってやっていますから(笑)。いまちょうど、アウトプットのためのコンテンツ管理ツールも作ってます。スマホからぱっと編集できるブログのようなものがなかったから、自分で作ることにしたんです。ブログのシステムって、10年間変わってないんです。衝撃でしょう? カメラロールから写真を選ぶなんてことは、パーソナルアシスタントが自動でやって、人間は思考のコアな部分だけに集中すればいい。そういう時代が2、3年内にやって来ますよ。

こちらアドタイでも対談を読めます!

企画プロデュース:電通人事局・金原亜紀

プロフィール

  • Horie pr
    堀江 貴文
    SNS株式会社

    1972年、福岡県生まれ。SNS株式会社ファウンダー。現在は自身が手掛けるロケットエンジン開発を中心に、スマホアプリ「TERIYAKI」「焼肉部」「755」のプロデュースを手掛けるなど幅広い活躍をみせる。HORIEMON.COMの人気コーナー「WITH」では『テクノロジーが世界を変える』をテーマに、各界のイノベーター達に堀江自らがインタビュワーとなり取材したものを連載中。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の読者は1万数千人の規模に。2014年8月には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文サロン」をスタートした。近著に『ゼロ』『刑務所わず。』など 。

  • Yamamoto pr
    山本 憲資

    1981年、兵庫県生まれ。Sumally Founder & CEO.一橋大学商学部でゲーム理論を専攻した後、電通に入社。その後、コンデナスト・ジャパン社に転職し、雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。退社後Sumallyを立ち上げ、2011年9月にローンチ。 約50万人の登録ユーザーを獲得、さらなる成長を目指して日々奮闘中。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ