広報パーソン必見!上場企業479社の広報力 #12

広報オクトパスモデル

その8「広報組織力」

  • Dpr pr kuroda akihiko
    黒田 明彦
    株式会社電通パブリックリレーションズ 企業広報戦略研究所 主席研究員

企業の広報活動を「8つの広報力」(図表1)に分解して考える「広報オクトパスモデル分析」の最後は、「広報組織力」。企業広報戦略研究所では「広報組織力」を、経営活動と広報活動を一体的に行うための意思決定の仕組み、会議体、システム整備などの水準と定義している。

8つの広報力

図表1_広報組織力に関する企業の広報活動実態(広報組織力の10設問から主要設問を抜粋)

 

■ 広報組織力は経営・事業との連携状況で決まる

 

戦略的広報活動には、経営中枢と広報部門が組織として近いことが必要不可欠である。その上で、他部門と定期的に情報共有できる仕組みの整備や計画的実施など、内容の充実度が問われる。

具体的に満たすべき要素は、
   ①広報担当役員の存在
   ②広報専門部門の設置
   ③広報と他部門の連携
   ④社の重要な意思決定に広報担当者が同席
   ⑤広報ノウハウが蓄積できるシステム
   ⑥イントラネットの活用
などである。また、日本ではまだ少ないが、
   ⑦トップの広報経験
も、広報組織力に大きな影響を及ぼす要素である。

こうした観点から「第1回企業の広報活動に関する調査」の結果(図表2)を見ると、課題がいくつか浮かび上がる。

 
 
図表2_広報組織力に関する企業の広報活動実態(広報組織力の10設問から主要設問を抜粋)
※回答した上場企業479社が広報組織力関連で当てはまると回答した数をパーセンテージ表示している。

 

まず最初に、組織として基本となる「広報専門の部門がある」(47.8%)と「広報担当の取締役がいる」(32.8%)が、いずれも半数を下回った。これは上場企業として予想外に少ない。

次に、最も回答率が高かった「トップと広報が情報交換する機会がある」(52.4%)にしても、半数を超えた程度だが、これは基本であり、本来ならば大多数の会社が実施しているべきであろう。

そして「現在のトップは広報部門を経験したことがある」(6.3%)は非常に少ない。

最後に、部門間やグループ間の連携などについても、「広報部門が、社内の各事業部門や海外現地法人と定期的に情報交換する仕組み(会議設置)がある」(18.0%)、「グループ会社の広報部門と、定期的に情報交換する機会を設けている」(20.0%)、「広報に関する情報共有のデータベースやイントラネットが整備されている」(27.8%)など、いずれも実施率は2~3割とまだまだ不十分である。

コーポレートコミュニケーション部への進化で、さらに問われる組織力

 

広報部をコーポレートコミュニケーション部と改称する企業が近年増え、それに伴い業務内容も進化している。以前にも増して各事業部との連携・調整が重要なミッションとなっており、社内外のステークホルダーとのハブ機能を担うことが求められている。また、株主、行政、消費者、業界とのコミュニケーション活動の一貫性を保つことも重要な任務となってきている。さらに重要な役割は、経営戦略のコアになるコーポレートメッセージの作成や統一、管理、運用である。

近年、レピュテーションや社会的責任が業績に及ぼす影響が大きくなってきており、コーポレートコミュニケーションの重要性は以前にも増して高まっている。大多数の企業にとって、上の設問にある項目を整備し、広報組織力を強化することが急務といえるだろう。


  企業広報戦略研究所(C.S.I.)

企業広報戦略研究所について

企業広報戦略研究所(Corporate communication Strategic studies Institute : 略称CSI)とは、企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制等について調査・分析・研究を行う電通パブリックリレーションズ内の研究組織です。

プロフィール

  • Dpr pr kuroda akihiko
    黒田 明彦
    株式会社電通パブリックリレーションズ 企業広報戦略研究所 主席研究員

    MBA( 経営管理学修士)。日本PR協会認定PRプランナー。
    1986年入社。イシュー・マネジメント、ファイナンシャル・コミュニケーションなどのアドバイスとコミュニケーション・トレーニングを行う。専門分野は、経営戦略、事業戦略などに関わるステークホルダー関係論、広報組織論。
    多くの企業の広報戦略のアドバイザーを務める。

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