オウンドメディアについて私が知っている二、三の事柄 #04

オウンドメディアの多デバイス対応

こんにちは。以前の更新からずいぶん時間がたってしまいましたが、今回はオウンドメディアの多デバイス対応について書いてみたいと思います。

多デバイス対応をされている方、今からやらなきゃと思っている方、いろんな方がいらっしゃると思います。多デバイス対応するかどうかは、そのサイトのターゲットユーザー、性質によって大きく変わってくるものです。例えば完全なBtoB企業のコーポレートサイトで、実際にログから見てもスマホやタブレットのアクセス率が数%にすぎないようであれば、まだ緊急の課題ではないかもしれません。ただそういう企業でも、いずれは課題になってくる話題なので、ぜひ読んでいただければと思います。

まずは二重運用を避ける方法

多デバイス対応を考えるときにまず、そして必ず出てくるのが運用の問題です。つまりスマホ専用ページを作ることによって、パソコン用ページと運用の二重化が出てくることを避けたいという要望です。

これはリソースを考えれば当たり前の話ですので、ここでは運用を二重化させないことを前提に話をいたします。

それに加えて、アクセス数などサイトパワーを考えるとURLは1つの方がベターです。そのような条件を考え合わせると主な方法は「フルレスポンシブ」「コンバーター」となります。

最初にフルレスポンシブです。分かりやすいようにいえば、これは端末を判定するのではなく、画面サイズを判定して最適な画面を出し分ける技術です。画面サイズによって出し分けるので、端末による個別の対応をするわけではありません。1ソースなので運用は二重化しませんし、ランニング費用が余分にかかるわけでもありません。ただ設計作業は通常よりも大変ですし、検証も工数がかかる傾向があります。またたいていの場合、後述するように、パソコンをターゲットデバイスとする場合が多いので、典型的なところでいうと、画像や画像文字、組織図や表組みなどがスマホで見づらくなる例が多いです。

コンバーターはパソコンサイトをスマホサイトに変換するツールです。早急にスマホ対応したい場合には良いと思いますが、スマホサイトのクオリティーがもともとのパソコンサイトのクオリティーに大きく依存します。また毎月のコンバーターの利用費用がかかってきます。またツールによってはURLがパソコンサイトとスマホサイトで変わってしまう場合もあります。

パソコンとスマホ、どちらをターゲットデバイスとするのか?

そして両者に共通する問題なのですが、これらの手法が「ユーザーの使用しているデバイスで最適な体験を提供できているとは限らない」のです。多デバイス対応をするにしても1ソースでの運用を前提とする以上、その1ソースを作るためにターゲットデバイスを設定(想定)することが必要です。そのターゲットデバイスは、今まではパソコンがほとんどだったように思います。つまりパソコンで最適化した設計をすれば、フルレスポンシブにしたとしても、設計思想はどうしてもパソコンに引っ張られてしまうのです。

ターゲットデバイスを何にするかはそのオウンドメディアの守備範囲によります。例えばコーポレートサイトもEコマースも全てを統合したサイトになっている場合は、Eコマースのみに特化したサイトと比較してスマホアクセスのパーセンテージは低くなっているかもしれませんね。その結果、ターゲットデバイスがパソコンとなり、スマホのユーザビリティーがそれに引っ張られることになります。

最近ではそのことを気にし始めた方々が、スマホをターゲットデバイスにしたレスポンシブを実践し始めています。業種でいえば通信などはその一例です。メーカーでも生活用品などスーパーなどの棚の前でスマホを利用してのチェックを受けるような商品は実際にブランドサイトのスマホアクセス比率が70%くらいになっており、スマホファーストで設計する機運となっています。

スマホファーストで設計した場合の問題点としては、要素の少なさから、今まで見ていたパソコンのサイトからすればどうしてもスカスカに感じられてしまう点があると思います。これはまさにウェブデザイナーの腕の見せどころで、余白を上手く生かしたり、罫線を上手く使ったり、パソコンとして機能するデザインにどう着地させるのかを考えながらスマホの設計を進めることが重要となります。

新たな問題

運用の二重化を避けつつ、できるだけユーザーに各デバイスで最適な体験を提供する。そのためにターゲットデバイスをどちらにするかという悩ましい問題がある、ということを今までお話ししてきたのですが、さらに頭を悩ませる問題がここ1年ほど出てきています。それは「大画面スマホへの対応」です。

スマホはどんどん大画面化への道をたどってきています。これ以上の大型化が簡単に進むとは思えませんが、これから数年で大画面スマホのアクセス比率が上昇するのは間違いないでしょう。今までのスマホのユーザー体験をそのまま大画面スマホに当てはめようとすると、問題が起きそうだと考えられます。

スマートフォンの片手操作

スマホで設計する場合、通常片手持ちで親指での操作を想定している場合がほとんどですが、大画面スマホでは親指の届かない範囲が増えます。具体的にいえば、右手でスマホを持っている場合は左側の端まで指が届かなくなることが多くなりますし、ホームボタンを起点に考えると画面上部も届かない範囲が増えることになります。特にナビゲーションやメニューなど、サイト全体で使う共通部分の設計に大きな影響を与えると考えられます。これらは普通に触れるコンテンツエリアではなく、影響の大きな画面上部や左右どちらかのサイドに配されることが多いものだからです。

さらに加えていえば、左利きユーザーが今までよりさらに使いにくくなることが予想されます。やはり多数派の右利きに最適化されたインターフェースが多い中、左利きユーザーは今までも使いにくい局面があったと思うのですが、それでも親指の届く範囲が多かったので何とかなってきたと思います。大画面スマホで右利きユーザーをターゲットとした場合、左利きユーザーに著しく使いにくくならないためにはどうしたらよいのか、今後の課題となってくると思われます。荒唐無稽かもしれませんが、利き手によってインターフェースを選ばせるようなサイトも登場するかもしれませんね(笑)。

それでは次回まで。

プロフィール

  • 福山 一樹
    株式会社電通デジタル

    1999年電通入社。入社後、クリエーティブ部門で広告制作に従事。その後、営業部門で自動車、アパレル、エンタテインメント業界を担当。2009年より現職。エネルギー、運送、通信、製薬・医療器具、食品、金融、エンタテインメント、大学などの業界で数千~数万ページの大規模プロジェクトに従事。
    <共著>
    オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21(ソフトバンク・クリエイティブ/2012)

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