最先端のディスプレー技術が示す、新たな情報の手触り

変わりゆく映像の存在感 最先端のディスプレー技術が示す、新たな情報の手触り
 

数年前までCEATEC JAPANなどエレクトロニクス分野の展示会で花形といえば、高画質・大画面のテレビであった。一面に陳列された美しい映像は壮観だったが、近年ではその風景も少なくなっている。憧れだった高画質映像は、今や多くの人々が、かばんやポケットに入れて持ち運び、OOH分野では高画質化が進んだデジタルサイネージの映像が街を彩っている。イベント業界ではプロジェクションマッピングやホログラムが一般化するなど、映像が存在する場所、その在り方が拡張している。今後も進化を続けるであろう映像テクノロジー。その最先端を紹介する。

 
   

高画質化の行方

  CEATECで注目だったNHKブース
 
CEATECで注目だったNHKブース

2020年東京オリンピック・パラリンピックを前に、18年にBSなどでの実用放送開始が予定されている8Kスーパーハイビジョン。NHK放送技術研究所が中心となって開発を進めている8K映像がもたらすエクスペリエンスは、映像という概念を超えるものであるように思われる。全身の感覚が刺激されるような圧倒的な臨場感と迫力は、ある意味で現実以上の感動体験をわれわれに与えてくれる。

これらのテクノロジーはハイエンドコンシューマーの個人的な映像体験に加え、映画館や、街中のライブビューイングなど、パブリックな映像体験への貢献に期待したい。4K、8Kといった映像の高画質化テクノロジーは、今後われわれの映像コミュニケーションをより豊かなものにしてくれる。

   

ウエアラブルの方向性

いよいよ映像テクノロジーのウエアラブル化も実用の域に入ってきた。各社がウエアラブルの映像デバイスを発表しているが、その方向性は大きく二つに分かれるようだ。

一つはメガネ型の「グーグルグラス」に代表される情報端末としてのウエアラブル映像デバイス。情報を身に着けるように扱うことで、スマートフォンに目を落とすことなく、情報へのアプローチの時間と距離が短縮されていく。生活のオンラインとオフラインの境界がなくなっていく未来を予感させるテクノロジーだ。またハンズフリーでの情報表示により、両手のふさがる作業をサポートするなど、各社さまざまな利用シーンを想定して開発を進めている。

  自身の体感型MVを視聴する倖田來未さん
 
自身の体感型MVを視聴する倖田來未さん

もう一つは、異次元感覚の映像視聴を目的としたデバイス。映画やゲームなどのエンターテインメントコンテンツの視聴に特化し、これまでの映像体験とは全く違うエクスペリエンスをもたらす。世界的に注目される没入型3Dヘッドアップディスプレー「オキュラスリフト」はバーチャルリアリティーを取り込み、360度体感型ミュージックビデオ(MV)などで活用されている。倖田來未さんの新曲「Dance In The Rain」では、世界初のオキュラスリフト対応のミュージックビデオを制作。
TOKYO DESIGNERS WEEK(10/28~11/3)で話題となった。
動画はこちら↓
http://rhythmzone.net/koda/ditr/

   

空間投影ディスプレーの未来

 
 

SF映画の世界と思われていた空間投影ディスプレーも実用化の段階に突入している。その方法はさまざまなテクノロジーが研究されている段階であるが、店舗のショーウインドー、サイネージ、イベントなど具体的な事例も多く見られるようになった。ここでは日本が生み出した二つのテクノロジーを紹介したい。アスカネットのAI(エアリアルイメージング)プレートは、日本の最先端製造技術が可能にしたテクノロジーで、空中に鮮明な映像を投影することができる。サイネージとして製品の3Dモデルを空中に表示したり、各種センサーと組み合せることで空中で機器の操作をするなど研究試作が行われている。

  空間に浮かぶリンゴの3Dイメージ
 
空間に浮かぶリンゴの3Dイメージ

さらに投影ではなく、実際に空間に3D映像を発生させる研究も進んでいる。日本科学未来館が発表した装置は、プラズマ発光によりスクリーンレスの空間で3Dイメージを見ることができる(世界唯一の技術として、国際特許を取得した)。車載できる小型化にも成功しており、来年度にも実用化される見通しで、これにより防災時の緊急表示装置、屋外でのデジタルサイネージなどへの可能性も広がった。このようなテクノロジーは、映像をハードの制約から解き放ち、純粋に映像だけを空間に存在させることで、より映像と人との関係が自由になる未来を予感させる。
動画はこちら↓
http://jp.diginfo.tv/v/14-0044-jp.php


人は外界の情報の約80%を目から得ているという研究結果があることからも、コミュニケーションにおける映像テクノロジーの重要性は今後も変わることはないだろう。映像は、人に超現実的な驚きをもたらす感動体験から、情報社会やコミュニケーションに変革をもたらすテクノロジーとしての在り方まで、求められる役割は多様である。今後もテクノロジーの変化に、引き続き注目したい。

電通 イベント&スペース・デザイン局 エクスペリエンス・テクノロジー部  

電通エクスペリエンス・テクノロジー部は、デジタルもアナログも、さまざまなテクノロジーを掛け合わせて、今までにない感動体験(エクスペリエンス)を作り出すテクノロジー集団として活動中。実現不可能と思われるアイデアも、テクノロジーによって実現の糸口が見つかるかもしれません。

ご意見・お問い合わせ・ご相談なんでも構いませんので、
et-info@dentsu.co.jp(米山・村上宛)までお気軽にお問い合わせください。

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