電通スマプラ #10

ハロウィーンに見る、

ブームとスマホの不可分なカンケイ

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    小林 達仁
    株式会社電通デジタル コミュニケーションプランナー

はじめまして、電通スマプラの小林達仁です。

もう先月になりますが、今年のハロウィーンブームはすさまじいものがありましたね。
当日、私も様子を見に渋谷に行ってみたのですが、まるでサッカー日本代表戦のような盛り上がりでした。実際、経済効果も過去最高の1100億円が見込まれ、昨年の1005億から100億近い増加、そして今年2月のバレンタインの1080億円を超えるなど(※1)、話題だけでなく、実際に人が動いていたことも特徴的だったと思います。

では、なぜこの2〜3年でハロウィーンブームがこうも勢いづいたのでしょうか。私はそれを読み解くキーがスマートフォンにあると思っています。それでは、早速このイベントブームに見るスマートフォンの存在意義について考察してみます。

■スマホが押し上げたハロウィーンブーム

まず、日本におけるハロウィーン文化は、1997年にディズニーリゾートや川崎のハロウィーンパレードが先駆けてイベントを始めたところから、新たな展開を見せ始めました。この時から子どもが仮装をしてお菓子をもらい回るという元々の形を離れ、大人もコスプレをして楽しむという日本流の文化も同時に始まりました。しかし、ハロウィーンという存在は徐々に浸透していくものの、そういった特別なテーマパークやイベント以外に「文化」として広く定着することはなく、コスプレ好きな人たちが各自で楽しむ特別な日、という段階で止まってしまっていました。

そんな状況を大きく変え、現在のブームまで押し上げたのが、2010年発売のiPhone 4をはじめとするインナーカメラ搭載スマートフォンです。

インカメラを利用して構図を確認しつつ自分を撮影できるスマートフォンとSNSの相性は抜群で、今まで以上に「自撮り」(セルフィー)文化が広まりました。さらに、スマホ時代の風潮として、無意識のうちに常にSNSへの投稿ネタを探すようになりました。それらの影響も受け、ハロウィーンは、フォトジェニックなコスプレセルフィーと共に、SNSのシェアを通じてどんどん伝播していきました。

ただ、ここで大事なのは、自撮り写真を家に帰ってパソコンに取り込んでからアップするのではなく、スマートフォンによって、その場で即シェアされていることです。その投稿者の熱が失われないうちに伝達されることによって、その熱が他人のキモチを動かす原動力になっています。

つまりは、一人一人から発信されるクオリティーの高いコスプレセルフィーという写真表現が、ハロウィーンのリアルタイム広告となっているのです。

■リアルタイムで“イマ”を追い続けたいSNS時代の若者たち

さらに、もう一つ、このハロウィーンブームにおいて押さえておかなければいけないポイントがあります。それはSNS時代に生きる若者の「刻々と変わる“イマ”に乗り続けたい」という特性です。彼らは、テレビや雑誌の流行情報に加えてSNSのタイムラインに頻出する情報も、一つの流行のものさしとしてチェックしています。その状況下、大勢で盛り上がれるイベントは、友人と撮った画像が複数同時にアップされることも多く、タイムラインがそれらで占領される現象もよく発生します。

ハロウィーンの場合も、タイムラインの面積を占めることはもちろんのこと、コスプレセルフィーや当日の様子は目を引くことも相まって、タイムライン上に今のハロウィーンはこうなんだというブーム感を残せたように感じます。特に今年は、10月25、26日にハロウィーン前哨戦とも呼ぶべき土日があったことも非常に効果的でした。この日の熱は例のごとくスマートフォンによって即時共有され、それを見ていた潜在層が、「私もやりたい」「やっぱり乗り遅れるわけにはいかない」「楽しさ必至の不可避イベント」と感じたことで、31日の本番が最高に盛り上がったのではないでしょうか。

■スマホは「リアルタイム行動誘発装置」

このスマートフォンによる熱共有が実際の行動を誘引するという現象は、ハロウィーンに限ったことではありません。同様にイベントとして既にブームを迎えている音楽フェスにも同じことが言えます。

スマートフォンがない時代には、フェスの空気感や臨場感などの楽しむポイントをその場にいない人とは瞬時に共有することができず、いったん家に帰ってからパソコンで投稿したり、後日、口コミで共有したりするしかありませんでした。そうすると、フェスが楽しい!という熱よりもコアな音楽ファン同士による「あのアーティストがどうだった」という、なかなかエントリー層には共感しにくい感想が多くなります。その結果、フェスには音楽コアファンだけのもののような雰囲気が漂う、という課題がありました。

しかし、わざわざ遠くに足を運んで野外で音楽を聴く非日常感や、好きなアーティストに数多く出会えるフェスには、SNSですぐシェアをしたくなる要素が非常にたくさん詰まっています。スマートフォンによって、フェスのフォトジェニックさや会場のリア充感がリアルタイムに共有されるようになったことが、行ってみたいという人を増やし続け、結果として現在のブームを加速させているのです。

従って、ハロウィーンと音楽フェスの事例からわかること、それは、スマートフォンは単なる熱の共有装置ではなく、リアルタイムに人のキモチを動かし行動に移させる「リアルタイム行動誘発装置」として機能しているということです。特にイベントのような、大勢で非日常感を味わえるものであれば、この性質はとてもワークするものになっています。

■スマホ時代のイベントプランニング、2つのポイント

これらを踏まえ、今後イベントをプランニングする際に、今まで以上に必要になってくるポイントが2つあります。

まず1つ目は、熱共有から行動まで踏み切るまでの“フォトジェニックさ”と“熱量”をどう生むのか、最初から設計に組み込んでおくことです。今までイベントはいかにマスやウェブのメディアに取り上げられ、拡散させるかという視点が基本でしたが、これからはどれだけイベント参加者一人一人にスマートフォンで写真を撮ってもらい、SNSのシェアで推してもらえるかが大事になってきます。つまり、いかに彼らが自分で“広告”したくなるかを想定することが重要です。

2つ目は、スマートフォンによって行動誘発された後の動線設計を充実させることです。フェスであれば、当日チケットを即座に買えるアプリや、次週以降のスケジュールがまとまっていて情報を得られるアプリ、あるいはフェスには行けないけどグッズだけは欲しい!というファンのための公式グッズ販売アプリなどなど、入り口を準備しておくだけで、その後の動きが大きく異なってくるのではないでしょうか。

■ブームはスマホのシェア量と「質」がキーになる

いかがでしたでしょうか。
スマートフォンによって、イベントブームの熱が広がり、その勢いが加速していくことは実証されつつあります。もはや、スマートフォンで投稿された同じネタの画像が、タイムライン上に多数現れる様子は、テレビ番組で取り上げられるのと同じレベルで人を動かすパワーを秘めています。今後は、どれだけシェアされたかという量だけでなく、どんなシェアがされているのかという「質」を高めることを意識すれば、イベントとそのブーム、そしてスマートフォン自身のポテンシャルがもっともっと見えてくるのではないかと思っています。


※1 情報ソース:日本記念日協会
 

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プロフィール

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    小林 達仁
    株式会社電通デジタル コミュニケーションプランナー

    2011年電通入社。映画、通販、地図業界の営業を3年経て、ストラテジック・プランナーへと転向。IT業界や繊維、飲料、玩具、通販などさまざまな業界のコミュニケーション戦略を担当。フェス・キャンプ・山登りなど、アウトドアな世界に没入中。

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