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ジブンと社会をつなぐ教室No.6

「森さん、伝えるって何ですか??」

論理で行き詰まったら、直感に開き直る選択も必要(前編)

2015/01/23

「ジブンと社会をつなぐ教室」を書籍化した「なぜ君たちは就活になるとみんな同じようなことばかりしゃべりだすのか。」の特別対談の一部を紹介。今回は、オンラインの学習サービスを提供しているスクーの森健志郎さんをゲストに迎え「伝える」をテーマに話します。就職活動をした学生時代、リクルートメディアコミュニケーションズへ入った社会人時代に、森さんもコミュニケーションには苦労したと話します。

灰皿を投げられる、から始まった新人時代

自分のコミュニケーションが伝わるゾーンをあぶり出す

保持:森さんは現在、起業家として活躍なさっていますが、新卒の時は普通に就職活動されたと伺いました。

森:2009年に近畿大の経営学部を卒業しまして、リクルートメディアコミュニケーションズに入社しました。最初、半年間は千葉で法人の不動産の営業。SUUMOの広告を地場の不動産に営業するっていう仕事をしていたんですよ。最初に入ったお客さんのところで灰皿投げられて、名刺破られるっていう(笑)。

保持:それはまた壮絶な(笑)。

森:リクルート大嫌いでパソコンも使えないようなおじいちゃんたちに、人柄だけで「リクルート嫌いだけど、おまえは好きだからやってやる」みたいな営業を半年間やって、そのあと本社に戻って、住宅広告の制作をやっていました。

保持:ご自身の就職活動をふり返った時に、「伝える」という意味で苦労した記憶はありますか。

 

森:そうですね。最初苦労したのは、思っている以上に大人としゃべり慣れていなかったこと。同世代だと、こういうこと刺さるんだな、ってなんとなく分かるんですけど、40代とか、50代とか、ポジションも世代も違って育ってきた人に同じことを言っても刺さらないんですね。それをどう変えていくかっていうところが結局分からず、リクルートへの就職ではインターンシップで若い人事の方が目を付けてくれて決まったというのもあって、割とギャップっていうのは解決せずに過ごしちゃったかなって思います。

保持:そんな森さんが新卒入社後は飛び込み営業で灰皿投げられていた(笑)、伝える相手としては一番難しい相手と対峙していたわけですけど、その時代にはどんな工夫をしていたんですか。

森:1年目くらいのときにも「伝える」ってことを解決できなかったんですね。なので、やり方を変える方向ではなくて、どういう人だったら伝わっているのかというところをマトリックスで分析していました。

保持:自分は変えられないと。

森:そのときは変えるまで至らなかったので、自分のコミュニケーションが伝わるゾーンをあぶり出して、そこだけのリストをつくって営業するみたいな。

大来:それはすごい。

森:初めて書いた4象限なんですけど、人生で(笑)。男性、女性、情緒的、論理的っていうマトリックスを書いてプロットして、情緒的な女性社長だったらすごい伝わってるぞとか(笑)。

時には直観に対して開きなおることも重要

保持:その後、24歳にして起業なさったと伺いました。事業アイデアを思いついた翌日にはもう辞表を書いていたそうですね。いろいろ考え込んだりはしなかったんですか。

森:多分、小さい頃からそういう子どもだったと思うんですけど、何かを決めるときは、直感的に決めるか、論理的に決めるかの二択しかないわけですよ。でも学生とか20代そこそこって、少なくとも僕の場合で言うと、論理的に決めきれるほど人として成熟してなかったですね。だから直感的に「ここ面白そうだな」って飛び込んだ方が幸せになれそうだと思ったっていうことです。就活で悩んでいる子に今でも会ったりするんですけど、みんな論理的に決めなきゃ後悔するんじゃないかと思って、必死にできないフレームワークをなぞってる。

保持:受け売りの論理的思考がたくさん入ってきますからね、大学生の頃って。

森:いきなりそこで自己分析とか、フレームワークを教えられるじゃないですか。就職活動のコミュニケーションのときも、志望動機のところでマーケットの競合会社はこうですが、御社はこうで、みたいな論理をフレームワーク立てて説明しようとすると、それが苦手な子とか、初めて就職活動のときにそれをやりだした子は絶対うまく説明できない。仕事で論理的な説明に慣れている相手に刺さるはずはないですよね。論理的に語れることとか、整理することに対する努力とか、逃げちゃいけないと思うんですけど、時には直感で開き直ることも伝える上では重要なのかな。

※対談後編は1/30(金)に更新予定です。

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