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“共に生きる”

「藝大アーツ・スペシャル2014~障がいとアーツ」開催

2014/12/10

     

    今回で4回目となるイベント「藝大アーツ・スペシャル~障がいとアーツ」(主催=東京藝術大学 協賛=花王、青山メインランド、スタートトゥデイ、ストライダース、トヨタ自動車 後援=日本障がい者スポーツ協会他)が12月6、7の両日、東京・上野の東京藝大で開催された。「共に生きる」をテーマに、音楽や美術、書道などの分野で活躍するアーティストも参加。障がいのある人たちと分け隔てなく楽しめる空間を提示し、現代社会に合った芸術表現の可能性を探求するもの。ワークショップやシンポジウム、コンサートなどが行われ、障がい者、健常者が共にイベントを楽しんだ。
    (写真  ©東京藝術大学 )

    ナマエ氏(左)  
    エム ナマエ氏(左)
       
     

    ワークショップ「めかくしおえかき~もしもの世界で遊んでみよう~」では、視覚障がいの画家・エム ナマエ氏が講師を務めた。参加者はアイマスクを着けての絵描きに挑戦し、視覚がない状態での作業を体験した。ナマエ氏は、目を閉じても自分の名前は誰もが書けることや、普段から絵を描ける人は目をつぶっても描けるなどと説明し「上手にできるかどうかではなく、楽しく描いてみてください」とアドバイスした。ナマエ氏が子どもたちのリクエストで家や動物などを描いてみせると、会場からは歓声が上がった。ナマエ氏は「ある能力が封じられると、今までになかった能力が現れることがある」と話した。

      副学長の松下功演奏藝術センター教授と対談する欠端選手  
     
    副学長の松下功演奏藝術センター教授と対談する欠端選手
     
                                   

    奏楽堂に会場を移して行われた「パラリンピックのアスリートを迎えて」には、ゴールボールの欠端瑛子選手が登壇した。欠端選手は、2012年のロンドン・パラリンピックの金メダリスト。欠端選手は競技の紹介をしながら「最初は怖かったが、実際に挑戦したらその楽しさにはまった。競技が自分を成長させてくれた」と話し、2020年東京大会にもぜひ出場したいと決意を述べた。ミニコンサートでは、筑波大附属視覚特別支援学校の音楽科生徒と藝大生の共演による、モーツァルトの三重唱が披露された。

     
     

    メーンコンサート「聞こえる色、見える音」は、書家・金澤翔子氏による揮毫でスタート。金澤氏が「藝」の文字を力強く書き上げると、会場からは大きな拍手が送られた。続いて、ソプラノ・橋本夏季氏が歌うアリアや、グェン・タン・トゥン氏によるダンバウ(ベトナムの一弦琴)演奏、バイオリニスト・川畠成道氏と藝大フィルハーモニアのコンサートマスター・野口千代光氏が奏でる協奏曲が観客を楽しませた。エンディングは韓国の視覚障がい者による世界で唯一の室内オーケストラ「HEARTS of VISION CHAMBER ORCHESTRA」と藝大フィルハーモニアの合同演奏。障がい者をステージに迎え、生のオーケストラの音を肌で感じてもらう工夫がされた。

    宮田亮平学長は「世の中に“障がいとアーツ”がさらに広がるように当大も尽力する。皆さんの新しい力で、一緒に歴史をつくりましょう」と参加者に語り掛けた。

    ワークショップ「みんなで家をつくろう」の様子   会場には多くのアートが展示された
    ワークショップ「みんなで家をつくろう」の様子
     
    会場には多くのアートが展示された