10代女子のリアル #03

女子高生から見た「オトナ」って?

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    阿佐見 綾香
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 未来創造グループ

イマドキ女子のトレンドを研究する原宿可愛研、3回目の連載テーマは、イマドキ女子高生にとっての「オトナ像」。

彼女たちの目に今、大人たちはどんなふうに映っているのでしょうか。また自分自身は、どんな大人になりたいという理想を持っているのか、そのキモチに迫ります!

そつなく極度に空気読むSNS世代を理解してほしい

 
 
「例えば今、私が『学校楽しくない』って言ったとするじゃないですか。そこで大人に『自分も楽しくなかったから気にすることないよ』なんて簡単に言われると、全然わかってないって思っちゃう」(高校1年生)
 
 
 

大人は分かってくれない。
いつの時代でも若者たちが一度は抱いたことがある、じれったい感情だと思います。環境は激しく変化していくものなので、ズレが起こること自体は当たり前のこと。今回はまず、イマドキ女子高生ならではの、そのじれったい感情に注目してみたいと思います。

 
 
「今と昔ではSNSがあるのとないのとで全然違います!」(高校1年生)
 
 
 

イマドキ女子高生(15歳~18歳) は1996~1999年生まれ。
日本でのSNS流行の先駆け「mixi」の誕生が2004年で、「Facebook」と「Twitter」が日本に上陸した2008年当時、彼女たちは小学4年生~6年生でした。そして「LINE」が開始する2011年には中学1~3年生。
つまり、彼女たちはわずか10歳ほどの頃からSNSで「1対大勢」のコミュニケーションが当たり前という環境にさらされてきたわけです。

 
 
「ちょっと雑誌に載ったりすると、『ブスなのによく出れるね』って書かれたりする」(高校1年生)
 
 
 

発展途上の10代たちが扱うSNS上のコミュニケーションでは、大人の世界ではなかなか起こり得ないような問題も多いのです。目立ったことするだけで、すぐたたかれる。ちょっとでも変なことをすると、すぐ噂が共有される。だから、やりたいことをするにも慎重にならざるを得ない。

更に、2007年に「KY」(空気読めない)という言葉が流行語大賞にノミネートされたのは、彼女たちが小学3年生~5年生になる頃のこと。彼女たちにとっては小学校から「空気読め」という風潮が当たり前だったのです。

 
 
「イタイって思われないように気をつけてる」(高校1年生)
「調子乗ってる人は分かる。自分はそうはなりたくない」(高校2年生)
 
 
 

目立たず出る杭にならず、SNSの投稿内容は、「空気読む」ということを彼女たちなりに解釈して、極度に他人の目を気にせざるを得ないのが、イマドキの特徴。
彼女たちは「投稿内容に気を使っている」こと、そのこと自体にも感づかれないように、投稿内容が不自然にならないように気を配ります。いわば、「そつなく極度に空気読む」世代なのです。

学校用のアカウント(本アカ)と趣味などのアカウント(別アカ)を使い分けることも珍しくありません。

 
 
「学校の友達には見てほしいような、見てほしくないようなフクザツな気持ちです。色々言われるくらいだったら何も知られない方がまし」(高校1年生)
 
 
 

昔から日本人には美徳としてきた「察する」文化がありますが、少し前の時代までは、若さの勢いで自分の思いを主張したり、ときには暴走したりすることも若者らしさのひとつでした。
でも、今は“人からどう思われるか”ということを無視することが難しい。

 
 
「SNSのある今の方が、確実に生きにくくなってると思う」(高校1年生)
 
 
 

だから大人に「そんなの」「自分なら気にしない」と身もふたもなく言われることにはストレスを感じてしまう。SNSがどんなもので、それらが10代にどう影響を与えているのかにちゃんと興味を持って、良くも悪くも周りを気にしながら生きなくてはいけない難しさを分かってほしいという思いがあるようです。

 
 
「大人の人に何を言われても。LINEがどういうものなのか全部分かった上で話をして欲しいと思ってしまいます」(高校1年生)
 
 

 

将来の相談ができるオトナ像とは?

空気を読む彼女たちですが、自分の意志がないわけではありません。
むしろ自分が将来やりたいことについては、ハッキリとは決まらないまでも、あれこれと思い描いています。

 
 
「パティシエになるのが夢です!」(高校2年生)
「モデルになりたい!」(高校2年生)
「商品開発の仕事に就きたい」(高校1年生)
 
 
 

女性の就業率が年々増加していますが、原宿可愛研の調査でも「将来フルタイムで働きたい」と思っている女子が7割を超え、専業主婦志望はわずか2%という結果になりました。

将来の夢は何ですか?
 

小学生時代からWikipediaもYahoo知恵袋もあった彼女たちにとって、答えはネットでググって出るのは当たり前。
興味を持ったことはすぐにネットで調べ、実際に放課後に企業の商品開発チームに参加してみたりなど、かなり行動的に過ごしています。

ただ、その活動を周囲の大人から「勉強もせずに遊んでいる」と捉えられることがあるのが悩みの種。

 
 
「もちろん大人は先に生きているわけなので、経験していることが多いのは分かってる。
だけど今は、昔はなかった選択肢もたくさんあるし、正解はひとつではないと思う」(高校1年生)
 
 
 

決して大人の経験や教えを軽視しているわけではありません。けれども、昔と今の違いにちゃんと目を向けて、自分の価値観だけで意見を言わないでほしい。そうでないと「正直、誰に相談したらいいのか分からない」という思いが、彼女たちの抱えるじれったいキモチなのです。

「昔は、無かったから分かんないんだろうなと思うけど。
その場でスマホで調べてくれてもいいじゃん、と思うんですよね」(高校1年生)

イマドキ女子高生の“理想のオトナ”は、上から物を言うのではなく、自分たちと同じ目線までちゃんと下りてきてくれる人。そして自分の経験したことを教えてくれながらも、「今ドキの子ってこういう感じなんだね」ということは、フラットに受けとめられる人。

 
 
「私たちの話に耳を傾けて目線を合わせてくれる大人が信頼できる。自分もそうなりたいと思っています」(高校1年生)
 
 

 

同じ環境下でうまく生きてる同年代の「オトナ女子」が理想像

空気を読まざるを得ない環境にうまく適応していくために「自分のやりたいことを口に出しにくくなっている」その一方で、「自分らしさ」「自分のやりたいこと」をつぶさないくらいの強さを持ちたいという思いもあるようです。

 
 
「自分の意見を押し殺してまで、相手の意見をのみたくない」(高校2年生)
「そんなの気にしないくらい、強くならなきゃいけない」(高校1年生)
 
 
 

そんなときに一番分かり合えるのはやっぱり、同じ環境を生き抜く同年代の女子。

彼女たちが「こんなふうになりたい」と憧れる理想の“オトナ像”とは、自分たちとは違った環境下で育った実際の大人よりも、自分たちと同じ条件下で、うまく生きている同年代の人。
たたかれてもうまくかわしている。SNS見るといつでもキラキラしている。周囲への感謝や謙虚さもきちんと持っている。ときには自分の苦しみもちゃんと理解して、励ましてくれる、そんな人のようです。

 
 
「お母さんに話せなくても、お姉ちゃんに話せるってことはたくさんある」(高校1年生)
「私たち、気にするべきことが多すぎるじゃないですか。1日中何かに追われてる感じだけど。その人は、そうじゃないから、自分にとって励みにもなるんです」(高校1年生)
 
 
 

それは先輩や兄・姉ということもありますが、必ずしも年上とは限りません。
実は85%以上の女子が、クラスに「自分よりも大人だと思う女子がいる」と回答しています。

 
自分はクラスで何番目に「大人」だと思いますか?
 

イマドキ女子は「そつなく極度に空気を読み」ながら、ときに経験豊かな大人の意見を聞きながら、身近な信頼できる同年代と励まし合い共に戦い、今の環境の中でうまく生きる方法を探しているのです。

  原宿可愛研_イラスト/瀧井ハナ子(電通)  
 
イラスト/瀧井ハナ子(電通)
 
 
 
 
 

「10代女子調査」の概要
調査手法:インターネット調査
実施期間:2014年9月17日~10月19日
調査対象:13~20歳の「JOL」会員女子293名
  (中学生44名、高校生199名、大学生の19~20歳50名)
調査実施機関:マイナビJOL編集部

 
 

 

 
 
 

原宿可愛研(ロゴ)

 
原宿可愛研とは?
  2012年12月に「電通ギャルラボ」と、女の子の夢を応援するマイナビのサービス「JOL」が共同で立ち上げた、10代の女子中・高・大学生の“今”を専門に調査するチームです。活動の拠点は原宿ですが、調査対象は原宿だけではなく、全国の女の子たちのリアルな実態を研究しています。
 
<関連プロジェクト>
電通ギャルラボ
ギャルのマインドとパワフルな生き方を生かし、企業だけでなく日本社会の活性化までを目指す、電通の若手女性社員中心の社内横断プランニングチームです。
マイナビJOL
全国6万人の10代女子会員(主に中高生)が登録。「ドリームステーションJOL原宿」は「原宿に行ったら絶対寄る!」と言われるほどの定番の場所になっています。
 
 

プロフィール

  • Asami profile
    阿佐見 綾香
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 未来創造グループ

    原宿可愛研共同創立者。電通ギャルラボ研究員。若年女子研究を専門とする。
    ストラテジック・プランナーとして、企業や商品・サービスのマーケティングや商品開発、リサーチ、企画プランニング、コミュニケーション戦略立案などを担当。
    電通ダイバーシティ・ラボ研究員としても、マーケティングの最新トピックであるLGBTに取り組み、みんなが楽しく暮らせるダイバーシティ社会の形成を目指す。LGBTを中心として広がる消費に関する調査や、「レインボー消費」に関する研究を重ねる。ダイバーシティウェブマガジンcococolor編集部員兼ライター。
    「LOVEのカタチが変わると消費が変わる」が持論で、LOVEマーケティングを専門としている。

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