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電通スマプラNo.12

スマホ就活の話を聞きに

Wantedlyに遊びに行ってみた。

(Wantedly×電通スマプラ)

2015/02/24

みなさんこんにちは。電通スマプラの歓崎浩司です。スマートフォンの普及であらゆる領域の構造が変化する中、今回は「就職活動」にスポットを当ててみようと思います。今、就活にスマートフォンがどのような変化をもたらしているのか。ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリー社に遊びに行って、21世紀の働き方をリードするキーパーソン、仲暁子CEOに話を聞いてみました。

仲暁子氏

仕事でフロー状態になれる人を増やしたい。

 

歓崎:Wantedlyが立ち上がって、今年で4年目ですね。

仲:最初はシゴトに限定せず、ビジョンを持った人が仲間を集められるサービスから始めたんです。その中で思いついたのが今のWantedlyです。自分が使いたいものを作りました(笑)。

歓崎:優秀な人材を、仲さん自身が集めたかったのですね。

仲:そうなんです。Wantedlyのサービスコンセプトは「『はたらく』を面白く」です。「仕事でフロー状態になれる人を増やしたい」ということです。そんなビジョンに共感する人を集めたかったし、世の中に増やしたかった。

歓崎:フロー状態というのは、仕事に夢中になれる、ということですか?

仲:仕事に熱中していて時を忘れちゃう感覚です。そういう人を増やしたらおもしろいかな、と。仕事って本来はそういうものじゃないですか。でもフロー状態の人は少ないな、と社会人になって思ったんですね。

 

一定周期でPVの集め方が変わる。

 

歓崎:Wantedlyのローンチには、今だ、というきっかけはあったのですか?

仲:ウェブマーケティングの潮目を読みました。これまで一定周期で世の中の情報の伝達方法とPVの集め方が変わってきたと思うんです。 90年代後半に検索エンジンのヤフーが上場し、人力でディレクトリを作っていたので、PVを集めるにはヤフーの編集チームと仲良くなるのが一番でした。 2回目の変化、グーグルの時代です。SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)やSEM(Search Engine Marketing:検索マーケティング)をちゃんとやっている人がPVを制す時代になりました。 さらにその後にSNSが突然現れました。ソーシャルって全然違うじゃないですか。SEOをどんなにやってもPVは集まらないですし。その瞬間にゼロリセットスタートになって、大企業の中の新規事業部とスタートアップ企業の戦いになりました。 当時25歳くらいでしたが、これを逃したら次は三十何歳だと思って、それなら今Wantedlyを始めようと思ったんです。私は新卒でゴールドマン・サックスに入社しましたが、当時はFacebook Japanに転職していました。Facebookで働いた半年の経験があってよかったなと思います。Wantedlyにかなり生かされていますね。

歓崎:仲さん自身は SNSをいつから使っていたのですか?

仲:大学4年生の時にピースボートで世界一周した時、外国の友達がみんなFacebookをやっていて始めました。当時日本の人は全然使っていなくて。まず、私が作った漫画投稿サイトの広告をFacebookに出稿してみたんですよ。今では考えられないぐらい低コストでした。自分のお金を10万円くらい投下して、5000人くらい取れる、というふうに結構活用していましたね。

仲暁子氏

歓崎:すごいですね。子どもの頃からそんなにバイタリティーあふれる性格だったのですか?

仲:帰国子女だったので「人と違ってもオッケー!」っていうマインドだったんですよね。小学生の時にランドセル買ってもらっていないとか(笑)。おもちゃも買ってもらえなくて「だったら自分でつくろう!」って。それでものづくりに没頭したり、漫画を書いたりしていましたね。

歓崎:クリエーティビティーや起業家精神がもう子どもの頃からあふれ出ていたんですね。

仲:今思うとそうかもしれませんね(笑)。

中途と新卒ではマインドセットが全然違う

 

歓崎:「『はたらく』を面白く」というのがWantedlyのコンセプトですが、仲さんは今の就活をどう見ていますか?

仲:まず、中途採用者と新卒採用者ではマインドセットが全然違うんですよ。中途は働くことのリアリティーが嫌というほど分かっているので、優秀な人ほどWantedlyを使いたがると思いますね。 優秀な人は既にいろんな人に声をかけられているので、自分から転職サイトにエントリーする理由がない。でも好奇心が旺盛なので興味のあるプロジェクトや会社に「遊びに行く」となると、「行ってやるか」となると思うんですね。

歓崎:新卒はいかがですか?

仲:新卒は、あまり働くことにリアリティーがないですよね。とりあえず大企業から受けよう、みたいな傾向があります。だから想像と少し違うと辞めてしまうことが多いと思うんですね。

歓崎:確かに、就活しながら志望動機がブレてしまう方が多いですよね。

仲:人が仕事に求めるものは3つあると思うんです。まず1つは「意義」。何のためにやっているのかが明確じゃないと不安になる。2つ目に「成長」。熟達やスキルです。3つ目が「オーナーシップ」で、裁量が持てるか、任せてもらえるかどうか。この3つって小さい組織の方がかなえやすかったりするんですね。 Wantedlyはその意義などの部分が明確なサービス設計で、福利厚生や条件は一切書いていない。「何のためにこういう世の中作りたいからやっています」みたいな、意義ドーン!という感じです。 自分の軸が明確な中途の人の方がWantedlyを利用してくれていると思います。それに対して新卒の方はWantedlyを、力を付けるために使っている感じです。2、3年生でインターンに参加するケースが多いかな。

歓崎:Wantedlyだけで乗り切るというよりは、今はハイブリッドになってきて、パソコンやスマートフォンでいろんなサービスを使って就活しますよね。

 

採用における企業の行動様式を変えたい。

 

仲:個人的にはこれから、大企業の行動様式を変えたいと思っています。たとえばWantedlyの立ち上げ当初は、どこの企業も「遊びに来る人」なんか受け入れたくないと言いましたが、今は結構許容してくれるんですよね。大企業はスタートアップの集まりともいえると思うんです。そのチームリクルーティングとして、チームごとにWantedlyを使い求職者にストーリーを伝えて、共感してもらって、採用するみたいなふうに、いずれは日本全体の就活を変えていけたらいい。

歓崎:チームリクルーティングは素晴らしい発想ですね。なかなか難しいとは思いますが、会社ではなくて、チームや人に採用してもらう感覚は今っぽいです。

仲:以前の学生が知りたい情報は年収などでしたが、今は、夢とか意義とか、成長とかを求めているんですよね。なのでそういう情報をちゃんと提供しないとダメで、そこがWantedlyのイノベーションのエンジンになっています。 ルーティンワークとクリエーティブの仕事ってインセンティブが違うんですよね。ルーティンワークで金銭的報酬が上がると生産性が上がるのはデータで分かっているんですよ。でもクリエーティブな仕事は、逆に報酬だけだと、生産性が下がるんですよね。 たとえば「千円あげるから絵を描いて」って言われたら、千円なりの絵を描くことになるじゃないですか。仮にそれが1億円でも、1億円なりの絵を描こうと思っちゃう。逆にただ「絵を描いて」だったら、最大限自分が出せるいい絵を描こうとする。 今の時代はルーティンワークが全部途上国に流れていて、日本人はクリエーティブドリブンでいかないと、仕事が無くなってしまうんですよ。 だから採用の時に企業が提供する情報がお金だけでは、いいものが生まれない。働く意義や共感できるチーム、成長性など金銭以外の報酬をガンガン提供しないとクリエーティビティーを発揮できない。

歓崎:というと、Wantedlyはハイクオリティー層がターゲットなのでしょうか?日本の雇用を広く見るとルーティンワークも多いと思いますが。

仲:そういう意味ではWantedlyはある意味ニッチですね。今の日本には6000万人くらいの労働者がいるんですよね。私たちが狙う層が20%くらいとして、それでも1200万人いる。1200万人を通じて、大企業の行動様式を変えていけたらいいなと思います。

 

スマホで就活はカジュアル化していく。

 

歓崎 :スマートフォンで就活、いわゆるスマホ就活の時代についてもお聞きします。

仲:Wantedlyのスマホアプリは順調ですね。2014年はアップルとグーグルのベストアプリに選ばれました。

歓崎:パソコン版Wantedlyとモバイル版アプリの利用率の違いは把握していますか。

仲:今はモバイル版ユーザーの方が半分以上だと思いますね。

歓崎:パソコンとアプリで使われ方は違いますか。

仲:違うと思います。パソコン版へのアクセスのピークは仕事中なんですよ。これはネガティブ要因じゃないかと思っていて。仕事がダルい時に他の会社のプロジェクト見て、思いを馳せている。

歓崎:仕事中にネコの動画を見るみたいなことですか(笑)。

仲:ネコの動画の方が健全かもしれないですね。アプリの方のピークタイムは通勤中や寝る前など、隙間時間なんじゃないかという気がします。最初はアプリで就活なんてするの?と思っていましたが、意外とアプリのユーザー数が増えていますね。

歓崎:Wantedlyは企業のビジョンやストーリーを軸にしているという点で、年収などのように理性に訴えかける情報よりも、人の情緒に働きかける情報が中心ですよね。 電通スマプラでは、スマートフォンを人のキモチと直結した指の動きを受けるデバイスと捉えて「キモチ・デバイス」と呼んでいるんですが(連載第1回参照)、まさにWantedlyはスマートフォンで使いやすいサービスになっているのでは?と思いました。

仲:そうかもしれませんね。それから Wantedlyのサービスの一つに、LINEやSNSで求人情報をシェアし企業にエールを送る「応援」という機能があるのですが、多数の方に使っていただき、企業の採用情報が拡散されています。SNSとスマートフォンの相性の良さもあるかもしれないですね。

仲暁子氏

歓崎:これからWantedlyはスマホでどう進化していくのでしょう?

仲:海外対応を検討しています。スマホの方が国境を超えやすいのかもしれない。日本とアメリカとイギリス以外はアンドロイドが多いので、東南アジアを想定してアンドロイドで対応しようと思っています。あとは新卒ルーキーやインターンへの対応強化。特に学生はパソコンよりもスマホを使う時間が長いので、今回新卒用のアプリも出しました。

歓崎:アプリの操作感もそうですし、「応援」とか「遊びに行く」っていう感覚が、僕はスマートフォンのカジュアルな感じにうまくはまっていると思っています。それは狙ってされているのでしょうか。

仲:いかに心理的なハードルを下げるか、全体的に気を使っていますね。例えば人気のエンジニアにとってハードルが低く、怪しまずに来てもらうにはどうすべきか、ずっと考えています。ワンタップでログインできて、ワンタップで遊びに行ける。どれだけ興味があるかでも選べて、ちょっと興味があるだけで遊びに行ける会社もある。見ているうちにうっかり遊びに行くボタンを押しちゃう、みたいな感じかもしれません。

歓崎:うっかりというのは、スマホならではですね。スマホは気持ちが動いたそのとき指も動いちゃう、みたいな特徴がありますね。 話が変わりますが、企業の採用活動がスマートフォンに最適化されてきている気がします。いかがでしょうか?

仲:そうですね。今はスマホ一つで募集を出せます。スマホで写真も撮れて、文も書ける。求職側もすぐに情報を引き出せる。タクシーの中でも見られちゃう。だから企業もリクルーターもお互いにカジュアルになっていると感じています。

 

それぞれのWantedly活用法

 

歓崎:最後にメッセージをお願いします。

仲:では学生さんに向けて。今はデジタルメディアに接している学生の方が、キャリアのチョイスも増えてきていると思います。どの業界に入っても、デジタルに強いというのは強みになる。部署に一人しかいなかったりします。ただそのスキルは本で読んだりするより、実際に働いて得た方がいい。インターンの受け入れ先探しでWantedlyを使っている方は結構多いです。お金ももらえるところがほとんどなので、あなたもぜひ!また2月23日に就活支援アプリ「Wantedlyインターン」もローンチしましたので、合わせてご活用ください!

採用担当の方へ。Wantedlyを使うと新卒・中途を問わず、今までの採用活動とは違う形でいろいろなアプローチができるので、ぜひ一度見てください。

それから、起業したい方。私がうまくやれているのはFacebook社での経験があったから。当時、小さな組織で6人くらいの規模だったのですが、密接にエンジニアリングやFacebookのカルチャーなどを吸収できました。そういう機会があるのは大事だと思います。Wantedlyを通していろんな会社に遊びに行けて雰囲気を経験できるので、もし転職をしなくても、世の中を知るという意味で大変使えるのではと思います。

就活支援アプリ「Wantedlyインターン」とアプリアイコン

https://itunes.apple.com/ja/app/jiu-huo-intanshippu-banwantedly/id951598320
就活支援アプリ「Wantedlyインターン」とアプリアイコン

歓崎浩司氏&仲暁子氏
仲さん、ありがとうございました!

 

 

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