“社会”からリソースを得る「ソーシャル・ソーシング」の可能性 #09

クラウドファンディング演習実施報告
「伝えるコツセミナーin釜石」

  • 蓮村 俊彰
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター
 
用語解説
【ソーシャル・ソーシング】アイデア、資金、スキルなど社会から必要なリソースを提供してもらうことで、社会の皆と共創していく仕組み。
【クラウドファンディング】インターネットを介して広く個人からお金を集める仕組み。「寄付型」「購入型」「融資型」「投資型」など、さまざまな手法がある。
【ファンドレイズ】ある特定の目的のためにお金を集めること。

 

 

 
 

◆「伝えるコツ」セミナーとは

このたび、電通が社会貢献活動として11年間、NPOや社会企業家向けに開催している「伝えるコツ」セミナーに参加してきました。 各団体が広報活動として自らの活動内容を伝え理解してもらう際のコツを、オリジナルテキストを用いて、電通のクリエーティブスタッフを中心とした講師が伝授するワークショップです。これまで全国津々浦々で100回以上開催し、参加者は4200人に上ります(2014年3月現在)。 今回の「伝えるコツ in 釜石」では、地元の中間支援組織「@リアスNPOサポートセンター」「いわて連携復興センター」と事前に相談し、広報活動において共感や協力を集める実践的なテーマとして「クラウドファンディング」を取り上げることとなり、私も講師の一人として参加させていただきました。

伝えるコツ オリジナルテキスト
オリジナルテキスト。2015年度に向けて改訂中。 改訂版にはクラウドファンディングの内容も盛り込まれます
 

◆「伝えるコツ」のエッセンス

セミナーではまず、クラウドファンディングにも共通する「伝えるコツ」の基本的な考え方を、電通第1CRプランニング局のシニア・クリエーティブ・ディレクター横尾嘉信さんが解説しました。自身の経験を踏まえ、たくさんのエピソードを交えて伝えるコツのエッセンスを紹介していました。

中でも「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」というゴーギャンの代表作の題名を引用し、自分たちの団体はなぜ存在するのか、自分たちは何者なのか、何を目指しているのかといった根源的な要素を明確にし、仲間と共有し、周囲に対してぶれずに発信することが、伝えるコツの最も大切な一歩であることを解説したパートは、クラウドファンディングでも大変重要です。

 

□ なぜ、クラウドファンディングで資金を集める必要があるのか
□ そもそも資金集めをしているアナタは何者なのか
□ 資金が集まったらどうしたいのか

 

これらの最も根源的な問いのうち、一つでも欠けている場合、決して資金が集まることはないでしょう。 成功しているほとんどのクラウドファンディングでも、起案者は個人の実名で顔写真を掲出していること、ファンドにつながる個人のバックグラウンドやストーリーを掲載していること、資金の使途を明確に掲載していることが共通点として挙げられ、信用と共感の双方を得ています。

 

◆ クラウドファンディング、ためしに企画してみようワークショップ

今回のセミナーでは「伝えるコツ」シリーズ初の試みとなる「クラウドファンディング演習」(ワークショップ)を実施しました。 まず被災地支援ファンディングが多く掲載されているクラウドファンディングサービス「READYFOR」の事例を幾つか見ながら、セミナー前半で得た「伝えるコツ」という視点からの分析を行いました。その後、「クラウドファンディングのテンプレート」を配布し、自身の団体でファンディングを実施する場合、どのようなプロジェクトになるか、実際に考えてもらいました。 最初は個人で考えてもらい、その後参加団体ごとにまとまって大判の紙に記入していただきました。

多種多様なファンディング企画が出そろいました
多種多様なファンディング企画が出そろいました
 

記入いただいた大判用紙を使用し、参加団体ごとにファンディング企画をプレゼンテーション、受講者同士で投票とディスカッションを行い、最後に横尾さんから1件1件講評をしてもらいました。

テンプレートを用いた演習はあくまでシンプルにした簡易シミュレーションなので、実際は正確な損益数字の設定や画像・映像の準備、ファンドを拡大するための切り口チームビルディング法務的な確認事項リスクの認識と備えが必要であることを、最後のまとめで電通報の今までの連載をスクリーンに映写しつつ説明しました。

 

◆ 社会の公器としてぜひ活用を

受講した皆さまからは、ワークショップが有意義だったとの感想を多数いただきました。 クラウドファンディングはあくまで手段で、社会貢献活動の支援以外にも、商品開発や映画製作など、様々な方面で活用されています。一部報道では、米国におけるクラウドファンディング市場規模は2014年に1兆円を超えたと推定されているそうです。 ぜひ、日本でも社会の公器としてクラウドファンディングが広がっていけば、うれしく思います。

プロフィール

  • 蓮村 俊彰
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター

    学生時代にカメラマン業で法人化(起業)。約40カ国を取材。その後、社会的影響力のある組織でソーシャルビジネスを興したく電通に入社。電通主導のビジネスの新規開発に取り組む傍ら、空港民営化などのPFIコンセッション入札事業構想アドバイザリ業務などのPRE/PFIコンサルティング、新規商業施設開発事業構想コンサルなどに従事。
    事業開発例として、2013年日本初のクラウドファンディングによるマスメディア放送「LISTENERS’POWER PROGRAM」事業を構想、立ち上げに参画。2016年日本初のFinTech産業拠点The FinTech Center of Tokyo 「FINOLAB」の事業を構想、 設立に参画、現在も運営チームとして日々活動中。

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