加速する動画の「オムニ視聴」 #04

テレビ+インターネット
~若者たちのメディア併用行動

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    立木 学之
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 主任研究員(2015年末時点)

前回までは「動画視聴に関するWEB調査」と「通勤・通学時における動画視聴調査」の結果から、若年層の動画視聴状況について分析を行った。結果、全体的には自宅での動画視聴が主流だが、通勤・通学時に動画視聴機会拡大のポテンシャルがあることが判明した。 今回は、テレビのリアルタイム視聴やタイムシフト視聴という要素を追加しながら、テレビ視聴とインターネット利用の併存という別角度から若年層のメディア視聴行動の深掘りを試みる。


◆ リアルタイム中心の若年視聴層は7人に1人

まず若年層の自宅内におけるメディア行動を「テレビ視聴中心のパターン」と「インターネット中心のパターン」に分類し、さらにその中でも、それぞれ「リアルタイム視聴中心パターン」と「タイムシフト視聴中心のパターン」、「パソコン中心パターン」と「モバイル中心パターン」に細分化した。これらの分類を踏まえ、「リアルタイム視聴」「タイムシフト視聴」「パソコン」「モバイル」という4つの自宅内メディアの接触時間を分析した結果、図表1にあるような7 クラスターに分割されることがわかった。

図表1

図表1の左側は、これらの4メディアの接触時間でみた場合のマインドシェアを表現しており、右側は各メディアの併存パターンの各ボリュームを示している。
すべてに対して高関与(テレビも録画機もパソコンもモバイルにも触れていて、高度にそれらを駆使する視聴行動を取る人)は3.7%と少数派である一方、それ以外の層としては、青線の箱の中にいる【テレビとネットが共存ないし競合している層】が33.7%、赤い箱の中にいる【テレビ視聴はするがリアルタイムからタイムシフトまで行う幅広い層】が34.4%存在していることがわかる。

さらにブレークダウンすると、テレビ視聴はするがタイムシフト中心の視聴態度を取る「タイムシフト」(紫の層)が20.3%存在し、テレビ視聴はするがリアルタイム中心の視聴態度を取る「リアルタイム+パソコンとリアルタイム+モバイル」の合計(エメラルドグリーンの2つの層)が14.1%に留まっている。

要は、すでに若年層の7人に1人しかリアルタイム中心の視聴行動を取らないということを指し示しており、若年層の視聴環境において、テレビはリアルタイムで視聴するものという認識が成立しにくくなっている。では、同じ若年層の中でもこの4つのメディアやデバイスの時間配分の併存状況がどのような要因でパターン化されるのかを次の項で分析してみよう。

 

◆ 可処分時間がメディア併用行動に大きな影響

 

各クラスター別に、男女比、平均年齢、未既婚、職業、在宅起床時間のデータを一覧にしたのが図表2だ。

図表2

 

これらのデータから各クラスター別の特徴を解説する。

①「リアルタイム+パソコン」のクラスターイメージ(構成比:5.2%)
20代未婚男性。職業は「無職」が最も多いことからも在宅時間が長いことがわかる。テレビのリアルタイム視聴時間とパソコンの利用時間が突出して長く、時間量としてはパソコンの方が1日で43分長い。

②「リアルタイム+モバイル」のクラスターイメージ(構成比:8.9%)
20代の未婚女性と既婚女性で多くを占める。注目クラスターの中では、最もテレビのリアルタイム視聴時間が長く、275分である。

③「タイムシフト」のクラスターイメ-ジ(構成比:20.3%)
5クラスターの中では最も構成比が大きい。また、在宅起床時間が最少で、1日8.35時間しか家にいない。逆に言えば、外出時間が長い層。家にいる時間が短いため、やむなくリアルタイム視聴を減らし、タイムシフト視聴している様子が見えてくる。

④「パソコン」のクラスターイメージ(構成比:10.4%)
20代未婚男性で、無職が最も多い。①と同様にパソコンの接触時間が多い。①と④をみると、無職である消費者はパソコンを活用する傾向が強いことがわかる。

⑤「モバイル」のクラスターイメージ(構成比:9.2%)
20代未婚女性と女子高校生。圧倒的なモバイル接触時間を誇る。在宅起床時間が短く、リアルタイム視聴やタイムシフト視聴、パソコンという自宅内行動はモバイルと比較すると全般的に接触時間も短くなる傾向にある。

 

◆ 社会変化がもたらすメディアへの影響

最後に、第2次安倍内閣が掲げた新成長戦略の「女性の社会進出」がメディアに与える影響の一端を紹介したい。 1日当たりのテレビ視聴時間は、未既婚では未婚の方が、職業ではフルタイムの方が、最終学歴では高学歴の方が短くなる傾向にある(図表3)。

図表3

 

女性の社会進出が促進するという社会変化が起きると、テレビだけでなくメディア環境に影響を与えることは必至だ。今後の政府の社会政策いかんによっては、テレビの視聴環境や視聴態度に何らかの影響を与えることは確実で、メディアやコンテンツにかかわるプレイヤーは、そういった社会変化に対応したコンテンツ提供のあり方が求められる。

【若年層におけるテレビ視聴量とネット利用量の併存パターンを規定する要因に関する調査 概要】
・調査方法:インターネット調査 
・調査地域:1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
・調査対象:男女15〜29歳(中学生除く) 4,514人
・調査時期:2014年8月13日〜17日
・調査会社:株式会社ビデオリサーチ

プロフィール

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    立木 学之
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 主任研究員(2015年末時点)

    入社以来、世代研究や男性消費トレンド研究のほか話題注目商品プロジェクトなどを担当。営業局にて大手自動車会社を担当した後、電通総研にて中国市場とインド市場のインサイト開発に従事。2012年1月より「電通日本の広告費」「世界の広告費」「情報メディア白書」の制作をはじめ、各種オーディエンスインサイト構築を手がける。2016年からインターネット広告のセールスを手掛けるセクションへ異動。

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