Ciao, Milano Expo!

万博直前の街をレポート―②
〜「アンブロシウスの食堂」〜

 

ミラノ万博のテーマは「地球に食料を、生命にエネルギーを」。史上初の食をテーマにした万博にちなんで、会期中さまざまな食への取り組みが見られる予定だ。そんな中、ミラノにあるレオナルド・ダビンチの壁画「最後の晩餐」にも見られるパンやぶどう酒を分け合うカトリック精神を反映したプロジェクトが、万博との連動で実施される。 現在イタリアでは、毎週全食材の約25%が捨てられる一方で、貧しい人たちのために無料で食事を提供する食堂に足を運ぶ人たちが年々増えているという。そうした状況を背景に提案されたのが、万博の会場内で残った食材を使って、有名シェフたちが貧しい人たちにまかないを提供するプロジェクト「Refettorio Ambrosiano」。アンブロシウスの食堂という意味で、ミラノの守護聖人アンブロシウスにちなんでいる。

初めの3カ月はフランス料理界の巨匠アラン・デュカス氏ら、40人の世界的に名を知られるシェフが交代で、賞味期限内でありながら通常破棄されてしまう食材で腕を振るう。もちろん、安全衛生面は保証の上だ。現在使われていない1930年代の劇場(写真)をミラノ工科大学の学生たちが改築、複数の現代アーティストたちが装飾を手掛ける。ガエタノ・ペッシェ氏、アルド・チビック氏、ファビオ・ノベンブレ氏ら、イタリアを代表するデザイナーがこのイベントのために手掛けた12個のテーブルも食堂に置かれる。会期中、ローマ法王の訪問も予定されている。万博が終了後も、当面プロジェクトは継続される。

その他、女性が持つ食にまつわる知識や風習、さらには他者へのおもてなしの心が食と文化の新たな関係性を築く原動力になるとして、女性の視点で食を見直すプロジェクト「Women for Expo」がスタートしている。昨年12月に万博予定地などで開催された会合では、世界の女性がフードロス(まだ食べられる食料の廃棄問題)に立ち向かい、農業での女性の役割の強化を目指す「Women for Expo Alliance」が立ち上げられた。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事らも参加し、女性の社会的役割や、ミラノ万博が女性の農業・食・ビジネス分野での新しい生き方について話し合う機会となることについて、ディスカッションを行った。会期中は、地域、文化、年齢にかかわらず全ての女性を対象に、それぞれの“人生のレシピ”を共有するイベントが開催される予定だ。

万博の公式スパークリングワインとして選ばれたのは、ミラノ近郊のフランチャコルタ。イタリア館では、パビリオン内に「Vino a Taste of Italy」と題したワインパビリオンが設置される。国際ワイン見本市「VINITALY」と協力し、奥深いイタリアのワインを通じて人と土地との関係を見つめるというもので、パビリオン内の“la Biblioteca del Vino” (ワインの図書館)と名付けられたスペースには、イタリア全土のワインが並べられる。イタリアでは、ワイン産地として有名なランゲ・ロエロ・モンフェラート地域がユネスコ世界遺産に登録されたばかり。プロのソムリエによるワインのテイスティングや、テラスではイベントも行われ、5000年にわたるワインの歴史、イタリアワインにまつわるさまざまなことを、五感で体験し学べるそうだ。

ファッションブランドも万博を機会にフードに手を伸ばしている。プラダはミラノで1824年創業のミラノの老舗「パスティッチェリア・マルケージ」を買収。目抜き通りであるモンテナポレオーネ通りに新しくカフェを開く予定だ。ちなみにプラダは5月にプラダ財団美術館のオープンも予定している。 また、日本企業や日本人シェフも、次々にミラノに飲食店をオープン。万博が終わる頃には、何百というお店が新たに生まれていそうな勢いだ。

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ