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セカイメガネNo.33

ウーマノミクス、なベトナム

2015/04/22

「Masako、ベトナムで人を雇うなら女にしろ」と外資系広告会社ECDから言われたとき私はのけぞった。なんだそれ?しかし着任して1カ月でそれを痛感する。

ベトナムの女性はよく働く。結婚は20代半ばと早く(離婚も早いが)妻であり母であり、大都市だと会社の営業職として、地方だと農業の中心となり街に行商に向かう働く最前線が女性だ。大きい声で話し、よく笑うし、よくケンカしている。着任して間もないころわめき合っている女子たち(ホントです)を見て何が起きているか分からなかったのだが、事情を聞き出すと仕事のやり方について争っていたもよう。しかし彼女たちのすごいところは翌日になるとケロッとして会社の食堂でドライフルーツをつまみながら姑に関する不満をぶちぶち共有していたりする。これは日本じゃあり得ませんよねー。

そして一家の稼ぎ頭である。財布を握っているのは女性だし、家の登記も女性名義でなされることが多い。ある日、男性化粧品のCMを見ていて「どう見ても女性ウケしかしない男でしょ。これ見て買う男性なんているの?」とつぶやいたところ、みんなキョトンとしている。なぜなら旦那さんのものも全部奥さんが選んで買うからそれでいいんだと。数年前カンヌでグランプリを取った男性用デオドラント・オールドスパイスが、ターゲットを男性から香りを嗅ぐ対象の女性に変えて「あなたの男は白馬に乗った王子様じゃないけど王子様気分にするには、オールドスパイスを」といったキャンペーンを展開しブラボーと世界中で騒がれていた。でもベトナムではとっくの昔にやっていたわけだ。面白い。実に面白い。男性視線を意識するのは、エアコンと車のCMだけな気がしています。今や。

女性がここまで強く働き者になった一因に、ベトナム戦争で男性が亡くなり女性が頑張ったからというのがある。これもホントだが、調べてみるとベトナム民話では悪い化け物を退治する主人公が女の子のお話が多い。桃太郎じゃなくて桃花子。そんな話を子どもの時から聞かされてたら強くならざるを得ませんよ。あるいはそれが共産主義ということなのか。「女性の日」が1年に2回もある国、ベトナム。着任1年、私は汗まみれになりながら毎日何かを学んでいる。

(監修:電通イージス・ネットワーク事業局)

ハノイ女性博物館より
ハノイ女性博物館より(訳)村を守り、村をコントロールしよう