ブランド・グロースハック―ビジネスの成長を約束する「マーケティング×IT」新手法− #01

ブランド・グロースハック—データドリブン時代の、ブランドの新しい育て方

  • Profile tanizawa
    谷澤 正文
    株式会社電通デジタル データアナリティクス事業部長/マーケティングディレクター

これから数回にわたり、データドリブン時代の新しいブランドの育て方として電通が提唱する「ブランド・グロースハック」という手法を、実践経験に触れながらご紹介していきます。この「ブランド・グロースハック」という考え方は、ビジネスの成長を「顧客の発見・育成」視点で支援し、様々なデータとテクノロジーを駆使して顧客を「見つけ」、新ブランド体験で顧客を「育て」、かつ施策の投資配分を「整え」ながら顧客を増やし、ブランドとの関係を強化するクリエーティブなマーケティング・プロセスです。

今回は第1回ですので、なぜそのようなブランドの育成方法が可能なのか、その背景と概要をご紹介します。

Ⅰ 効率化だけではない、マーケティングのIT革命

ビッグデータの時代と言われ始めた2012年ごろから、マーケティングに高度なITシステムを導入する企業が増えています。業務効率の向上やデジタル施策の最適化が主な目的です。しかし、実はあまり知られていないのですが、導入のメリットは、単に効率の観点だけでは捉え切れません。真のメリットは、様々なデータとアイデアとテクノロジーを駆使して「顧客を理解」し、様々な「部署と連携」し、新しいブランド体験を創るクリエーティブなマーケティング活動ができることなのです。

Ⅱ データを使って「小さく始めて、大きく育てる」ブランド創り

例えば、自社のCRM(顧客関係マネジメント、ここでは既存顧客情報を管理するデータベースのこと)のデータ分析結果から次のターゲットを探し、比較的低予算で実施できるデジタル施策でテストトライアルをし、効果があればターゲットと合致したテレビCMを出稿して大きく打って出ることもできます。(具体的な事例をご紹介する前に、まずは下の図で顧客獲得からCRMまでのフローをまとめました。)

クライアントの、ある金融機関で契約の伸びが鈍化したことがありました。これまでメーンターゲットとしてきた顧客層(以下、Aタイプとします)は、ボリュームゾーンではありましたが最近増加率が低くなっていたのです。そこでクライアントの顧客データ(CRMデータ)を分析した結果、ボリュームゾーンではなかったものの、最近の増加率が高い顧客層(以下、Bタイプとします)がいることがわかりました。

そこでまず、本当にBタイプの顧客が今後も増えそうか、安価なデジタル施策でテストトライアルを行いました。自社サイトにBタイプ向けのコンテンツを載せて契約率の変化を測ったのです。結果、契約率が増加したことから、このタイプの顧客は今後のターゲットになり得ると判断し、それまでAタイプの顧客向けだったテレビCMを、Bタイプの顧客向けに変え、大幅に顧客を増やすことに成功しました。この施策を図にすると以下のようになります。

このように、ウェブ調査をして新しいターゲットを探さなくても、自社にあるCRMデータを有効活用し、デジタル施策のテストトライアルをすることで、テレビCMの企画を考えることまでできるのです。マーケティングのIT化は、単に効率の追求だけでなく、顧客を理解し、他部署と連携し、成果を上げる、クリエーティブなマーケティング活動を可能にしてくれます。

Ⅲ 「見つける」「育てる」「整える」でデータを駆使した新しいブランド育成方法

次回以降も“Data, idea, technology and story”を高度に駆使して(=ハックして)、マーケティング活動をクリエーティブにし、優良顧客を発見・育成し、ブランドを大きく成長(=グロース)させていく「ブランド・グロースハック」の仕事をご紹介していきます。キーワードは「見つける」「育てる」「整える」です。

「電通ブランド・グロースハック」3つのコアサービス

①見つける:優良顧客を様々なデータ分析手法で探す
ウェブアンケート調査、グループインタビューなど従来の調査手法だけではなく、顧客をより理解し、優良顧客候補を発見するデータ分析手法が沢山あります。先ほどの事例ではCRMデータから次の顧客の芽を探しましたが、その他にも購買データ、顧客データ、SNSデータ、マスとデジタルの統合データなどの実行動データを多角的/複合的、時系列的に扱い、従来のアンケート調査だけでは見つからなかった優良顧客を探すことができます。

②育てる:新しいブランド体験で、見込顧客を新規顧客に、既存顧客を優良顧客に
マーケティングのIT化により、CRM担当、デジタル担当、テレビCM担当などマーケティングの各担当が連携して、新しいブランド体験の提供が可能になります。マス、デジタル、店頭、CRMに関する様々なデータやテクノロジーを積極的に連携させることにより、テストトライアルをしながら顧客を育てていきます。

③整える:投資の最適配分、KPIの設定、PDCAの運用
マーケティングの各担当が連携して活動するためには、当然それぞれの活動に必要な投資の最適配分や、売上への貢献活動の見える化が必要になります。様々なマーケティングの活動データを一カ所に集めることができれば、マス広告とデジタル広告予算の最適配分やKPIの設定が可能になり、マーケティング活動の全てをPDCAのプラットフォーム上で運用することができます。

次回から「見つける」「育てる」「整える」の具体的内容を紹介していきます。

第2回は「様々なデータで、顧客探索をハックする」です。お楽しみに!

プロフィール

  • Profile tanizawa
    谷澤 正文
    株式会社電通デジタル データアナリティクス事業部長/マーケティングディレクター

    2002年電通入社。以来、さまざまなクライアントの社長プロジェクト、CMOプロジェクトに参画し、広告領域にとどまらず、経営・事業戦略やブランドのコンサルティング、最先端のデータベースマーケティングから、統合キャンペーンプランニングまで、戦略から実施の両輪をこなすコンサルタント&グロースハッカー。商学修士。
    プランニングモットーは「緻密に計算し、大胆に実行!」。

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