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シンブン!今だからできること。今しかできないこと。No.24

地方創生に挑む地方新聞社(3)
富山もようプロジェクト

2015/06/19

~地方紙は今、読者との絆を財産に、新機軸の取り組みにチャレンジしている~
今、地方新聞社は、地元での強いネットワークを生かし、新たな事業を創出、地域活性化に大きく寄与する取り組みを展開しています。各社は従来の枠を超え、新領域で次々と地方創生につながる成功事例を生み出しています。本コラム「地方創生に挑む地方新聞社」では、そんな取り組みの中からユニークな事例をピックアップし、6週連続でお届けします!


地方創生に挑む地方新聞社(3)

 

北日本新聞社

富山もようプロジェクト

“富山の魅力”で包み新聞に活字以外の価値を生み出す

2014年8月2日から4日連続で、北日本新聞社の購読者に全面色鮮やかな模様でラッピングされた朝刊が届けられた。1日目のモチーフは、富山県の豊かな自然の象徴「立山連峰」、2日目は富山湾の宝石といわれる「シロエビ」、続いて美しい「水流」、そして富山で盛んな「ガラス工芸」。
これらはテキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏が、富山の魅力を題材にデザインした。コンセプトは「富山を誰かに贈るとしたらこんなもようで包んでみたい」。この企画は、北日本新聞社130周年記念「富山もよう」プロジェクトの始まりだった。北陸新幹線開業を前に、富山の魅力を再発見してもらい、観光客誘致や地域活性化への意識を盛り上げていくのが狙いだ。

立山連峰をモチーフにしたラッピング紙面
立山連峰をモチーフにしたラッピング紙面

同社取締役営業局長の駒澤信雄氏は「4日間連続ラッピングは新聞史上初だろう。読者からは新聞が届くのが楽しみだったなど喜びの声が多数寄せられた。新聞は文字を届けるものだがこのラッピングに文字はない。それでもわれわれの感謝の気持ちや感動、喜びを届けることができた。新聞に活字以外の新しい価値を生むことができた画期的なことだ」と振り返る。

駒澤 信雄氏
駒澤 信雄氏

さらに、北陸新幹線が開業した3月14日には、桜と新幹線がデザインされた富山もようでラッピングした特別版を発行。朝刊の購読者に配布した他、駅やイベント会場など街頭でも配った。

富山もようはラッピングだけでなく、街の中へと広がりつつある。富山第一ホテルでは、タペストリーにして入り口ホールに飾っている。副総支配人の大割克之氏は「おもてなしの一つとして、タペストリーでお客さまをお迎えしている。プロジェクトに地元ホテルとして参加できて光栄だ」と語る。

大割 克之氏
大割 克之氏

今後について駒澤氏は「多くの読者から、ラッピング紙面でエコバッグやしおり、壁掛けなどを作ったという声が届いている。お客さまの生活の彩りとなれるように継続していきたい」。富山もようを活用した商品も検討中、富山の魅力発信源としての可能性を広げつつある。