位置情報ビッグデータで見る人の流れ #02

ブルーボトルコーヒーを位置情報データから見てみた─その2

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    秋元 健
    株式会社電通 CDC 事業開発ディレクター/人の流れラボ研究員

電通「人の流れラボ」研究員の秋元です。「ブルーボトルコーヒー清澄白河店の集客状況を、携帯電話の位置情報ビッグデータを活用して見てみよう」シリーズの2回目となります。
1回目の記事はこちらを参照下さい

ブルーボトルコーヒーを位置情報データから見てみた -その1

なお本シリーズは、「コーヒー3.0」を連載中のNewsPicks編集部さんと共同で作成しております。
NewsPicksさんのブルーボトルコーヒー関連記事は、こちらからご覧ください。

【スライドで見るデータ】ブルーボトルはどこから人を集めたのか?
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【スライドで見るデータ】ブルーボトルはどの年代に響いたのか?
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【スライドで見るデータ】ブルーボトルに人は何曜日に行く?
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【スライドで見るデータ】ブルーボトル人気は本当か?
https://newspicks.com/news/1033380

前回は、オープン当日から約2カ月間の来訪者推移を見ながら、盛り上がりのピークと定着度合いを確認しました。
前回の要約は以下の通りです。

今回は②を深掘りしてみます。
ピーク時間帯(12:00〜15:00台)と閉店間際の時間帯(18:00台)の来訪者を、性年齢別や居住地別に見ていくことで、集客構造の変化をより深く理解したいと思います。

 

熱しやすくて冷めやすい20代女性

 

オープン初日2月6日(金)から2カヶ月後の4月10日(金)までの、毎金曜日の外部来訪者伸び数の推移を、12:00〜15:00台に来訪した女性に絞って見てみましょう。
集計条件につきましては、前回記事をご参照下さい。

まっさきに目に入るのは、20代女性の動きです。

「熱しやすくて冷めやすい」という言葉がそのままあてはまるような動きになっており、ブームの立役者になった後、1カ月もしないうちに急激に落ち込んでいます。
対照的に、50代女性は1週遅れて山が立ち上がり、その後も継続的に来訪が続いています。

この時間帯、男性の来訪は女性に比べると少なかったため、特徴的だった30代男性と50代男性を抜き出しました。
オープン当初に飛びつく最もミーハーな動きを見せたのは20代男性ではなく、意外にも30代男性でした。
またじわりじわりと50代男性の来訪も増えています。

 

20代女性の動きと重なる世田谷区・足立区居住者

 

今度は居住地別に12:00〜15:00台の来訪者を見てみます。
居住地は多岐にわたっているため、来訪者伸び数が多く、特徴的だった市区町村を抜き出しました。

世田谷区・足立区居住者はオープン序盤に来訪が集中します。
一方、市川市・船橋市居住者の来訪は極端に落ち込むことなく続きます。

性年齢別の動きと合わせて考えてみると、オープン当初は世田谷区・足立区に住む20代女性・30代男性を引き込むことに成功し、その後は市川市・船橋市に住む50代女性を引きつけ続けている様子が想像できます。

外部来訪者伸び数は地元江東区民を除いたオープン前との変化量なので、実際には絶対数の多い江東区民や近隣(江戸川区・墨田区)区民が数多く来店していたと思いますが、ブルーボトルコーヒー誕生によって、これまでになかった遠方からの人の流れをつくり出している、といえそうです。

 

「わざわざ来訪」と「ついでに来訪」。「ついでに来訪」は継続する

 

先ほどの動きを地図で確認してみましょう。

ブルーボトルコーヒー清澄白河店がある江東区とは隣接していない世田谷区・足立区ですが、実は田園都市線と半蔵門線、および伊勢崎線と半蔵門線の乗り入れによって、清澄白河駅まで乗り換えなしで行くことができます。

オープン当初は両区に居住するトレンドに敏感な20代女性・30代男性の「わざわざ来訪」が数多く見られ、長蛇の行列につながったものと思われます。

一方、市川市・船橋市は東西線を介して、もう一つの最寄り駅である門前仲町とつながります。
市川市・船橋市居住者から見ると、門前仲町は都心への途中駅となります。
50代女性を中心とした都心に所要のある人が、行き帰りのついでにブルーボトルコーヒーに立ち寄っているものと想像できます。
この「ついでに来訪」は「わざわざ来訪」の大幅な減少とは対照的に、2カ月たっても続いています。

 

閉店間際は隣接区の男性の「(帰宅)ついでに来訪」

 

同様に、閉店間際の18:00台の来訪者属性を見てみましょう。
この時間帯は女性が少なかったので、男性で特徴のあった世代をピックアップしました。
各世代で波はありますが、オープンから1カ月たった3月6日あたりから、幅広い年齢層でじわじわと伸びてきています。
コーヒー好きの男性が、混雑状況が一段落したのを見計らって、閉店間際に来訪している様子が想像できます。

まとまった来訪者伸び数が確認できたのは隣接区ばかりでした。
隣接区でも江戸川区、墨田区は伸びてきていますが、中央区はダウントレンドです。

江戸川区・墨田区居住者で都心に勤務している人とって、清澄白河駅・門前仲町駅は帰宅途中の駅になります。一方、中央区居住者にとっては、自宅最寄り駅を通り越す必要があります。
江戸川区・墨田区居住者の「ついでに来訪」が増え、中央区居住者の「わざわざ来訪」が減っているものと思われます。

 

今回のまとめ

 

位置情報ビッグデータで見る「ブルーボトルコーヒー」、いかがでしたか?
以下、今回のまとめです。

 

仮に集客のてこ入れをする場合、来訪者のモチベーションと生活動線に沿ったコミュニケーション設計が必要になりますが、位置情報ビッグデータが活用できると、設計時の仮説の精度を上げられます。

例えば今回の場合ですと、以下のような仮説を元に、訴求内容と訴求エリアを短時間のうちに設定することができます。

 

最終回の次回は、「ブルーボトルコーヒーのブランディングは狙った通りに受け入れられたのか?」という点について、位置情報ビッグデータやSNSの投稿データから分析してみたいと思います。

 

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お問い合せ先:電通 人の流れラボ
contact@hitononagarelab.jp

プロフィール

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    秋元 健
    株式会社電通 CDC 事業開発ディレクター/人の流れラボ研究員

    大手自動車メーカーのマーケティング子会社を経て2001年に電通に入社。
    以来、多様なクライアントに対してデータドリブンなマーケティングサービスを提供。
    「Samurai Purchase」「DecoMarket」「;Dcloud」の事業開発を経て、
    13年から「人の流れラボ」に参画。
    位置情報ビッグデータなど各種データを組み合わせたソリューションの開発に挑戦している。

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