東京2020大会
このエンブレムの下に
2015/07/28
2020年東京オリンピックの開幕まで5年となった7月24日、オリンピック・パラリンピックの大会公式エンブレムが発表された。
発表会場の新宿の東京都庁・都民広場には多くの人が詰めかけ、大会組織委の森喜朗会長や舛添要一都知事、遠藤利明大会担当相、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ副会長ら関係者と発表の瞬間を見守った。
都議会議事堂の壁面に設置された幕が取り払われると、巨大なオリンピックとパラリンピックの大会エンブレムが姿を現し、観覧者からどよめきが起きた。
オリンピックエンブレムは「Tokyo」「Team」「Tomorrow」の“T”を、パラリンピックは“平等”を表す「=(イコール)」をイメージしてデザインされたという。二つは、白と黒の部分を反転させると同じマークになる。
森会長は「今日まで実に待ち遠しかった。エンブレムは、大会を目指す世界中のアスリートにとっての目標となり、大会に関わる全ての人を一つにまとめる旗印だ。みんなで最高のオリンピック・パラリンピックを作り上げましょう」と語りかけ、コーツ副会長は「最も大事なことは、活力ある都市の本質と人々の歓迎の気持ちが反映されていることだ。このエンブレムが将来のオリンピックの形に大きな影響を与えると信じている」とあいさつした。
会場には、組織委の室伏広冶スポーツディレクターや成田真由美理事、オリンピック・パラリンピック競技のヤングアスリートらも駆けつけ、全員でエンブレムの発表を祝福した。
発表会後には記者会見が都庁で行われ、エンブレムをデザインした、アートディレクター・佐野研二郎氏が出席した。佐野氏は、1972年東京都出身。多摩美術大卒で現在、デザイン会社の代表を務める。過去に毎日デザイン賞やニューヨークADC賞金賞、カンヌライオンズ金賞など多数の受賞歴がある。
エンブレムの選定にあたり、国内外を代表するデザイナー個人による公募を実施し、104作品の応募があった。永井一正氏(日本グラフィックデザイナー協会特別顧問)を審査委員代表とする審査委員会で入選3作品、うち1点を大会エンブレム候補に選定。IOC、IPC、組織委の承認を経て、佐野氏の作品をエンブレムとして決定した。
組織委の武藤敏郎事務総長はデザインの理念について、「黒」は全ての色を合わせると黒色になるというダイバーシティーの象徴、「大きな丸」は互いの違いを認めあい協調する和の象徴、「赤い丸」は原動力の源になる、人の熱い鼓動を表していると説明した。また、エンブレムの決定により、Tシャツやピンバッジ、公式ライセンスグッズなどを販売予定で、10月初旬に第1弾の商品を用意したいと明かした。
佐野氏は「いつかオリンピックのマークをデザインしたいという夢がかなった。大好きな64年東京オリンピックのエンブレムの要素を継承しつつ、新しい大会への思いを表現した」と語った。