ミレニアルズと「未来のスキル」 #01

イケメン読モ・夏川登志郎に、
イケメンなツイキャスの使い方を
教えてもらいました(前編)

  • Natsukawa profile
    夏川 登志郎
  • Web
    能勢 哲司
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 事業開発室
  • 14580463 1225228107497344 1248304897 n
    天野 彬
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 研究員
all
左から、夏川 登志郎氏、天野 彬氏(電通)、能勢 哲司氏(電通)
 

ここに1回目を迎える「ミレニアルズと『未来のスキル』」は、「高度情報社会における“スキル”のいまとこれからのかたちをミレニアルズの実践から探っていく」という趣旨の連載です。では「ミレニアルズ」とは何か? まず、このキーワードについての説明から始めましょう。

「ミレニアルズ」(Millennials)とは、2000年以降に成人あるいは社会人を迎える新世紀世代の人々を指す言葉です。すなわち1980年から2004年生まれまでの、インターネットやSNSが普及した環境で育ったデジタルネイティブであり、以下のような特徴を持つとされています(米国ホワイトハウス経済諮問委員会によるレポート“15 ECONOMIC FACTS ABOUT MILLENNIALS”を参照)。

①テクノロジーへの親和性が高く、その生活への浸透度が非常に高い。

②自らの活動においてコミュニティー、クリエーティビティーの要素を重視する

③デジタル、リアルを問わず、人とつながることの価値を重視する。またそのつながりを、自らのプロモートやプロジェクトの推進にも積極的に活用する。

他の世代に比べると「自分推し」感が強い一方で、他者の多様な価値観を受け入れることができ、仲間とのつながりを大切にする傾向があるとされています。ミレニアルズ自体はアメリカで提唱された世代論のコンセプトですが、多くの識者が指摘するように、先進国間では流通する情報・モノが共通化しライフスタイルや価値観も似通ったものになりつつあり、日本の若者もこうした特性を多分に持っていると考えられます。そして、この「ミレニアルズ」がこれからの仕事や生活の中心になるにつれ、新たな価値観をもって社会のあり方を変容させていくと注目されているのです。

ではこの高度情報社会の仕事や生活はこれからどう変容していくのか? ビジョナリーたちの考えを参照するならば、Cathy Davidson ニューヨーク市立大学教授は「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時にいま存在していない職業につくだろう」と衝撃的な未来予測に言及し、Googleの創業者 兼 CEOであるラリー・ペイジはあるインタビューで「20年後の未来には私たちの大多数が“いまとは異なる仕事”をしていることになるだろう」と発言しています。つまり、いまほど未来に求められるスキルの在りようが不透明な時代はないと考えられるのです。

しかし私たちの仕事が天から降ってくるものではなく、人々の日々の営みの中から生成してくるものだとすれば、今ミレニアルズたちが実践していることにこそ「未来のスキル」を考えるヒントが眠っているのではないでしょうか。本連載では、そんなミレニアルズ世代に特有の活動やそこで培われているスキルにスポットライトを当て、彼ら/彼女らのチャレンジをひもときながら、「未来のスキル」についてヒントを得ていくことを目指します。

この連載を担当する能勢と天野は、様々なスキルを持つ人同士のネットワークを生かした「スキル・ライブラリー」というソリューション提供を行う電通総研Bチームのプロジェクトに参画しており、人々が付加価値を生むためのスキルの在り方というものに強く関心を持っていたことが、今回の連載へと至る背景になっています。いまあるスキルとこれから生まれてくるスキルの両面を解明しながら、実務へとフィードバックしていくことを目指します。

そして、いま触れた「電通総研Bチーム」とは、電通総研内で実はひっそりと活動を続けているクリエーティブシンクタンクで、社内外の特任リサーチャー25人がそれぞれの得意分野を1人1ジャンル常にリサーチしているユニークな組織です。(詳細はまた後日に)

logo
 

連載1回目は、最近ユーザー数が1000万人を突破した、若年層に大人気のスマホ動画配信サービス「ツイキャス」を使いこなし、自らのブランディングやファンとのエンゲージメント構築を成功させている夏川登志郎さんに話をうかがいました。

夏川さんは1992年生まれ。読者モデルとして活躍しつつ、ソーシャルメディアを使いこなしファンとのやりとりもかかさず、そして自分のデザインスキルを生かして慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)で学びつつアパレルブランド「Liffery.n(リフェリー.ノア)」も主宰するというクリエーティブなミレニアルズ。

まばゆいほどの活躍ぶりだが、いわば普通の読モだった夏川さんが飛躍するきっかけとなったのがツイキャスをはじめとするソーシャルメディア上での活動であり、そこでの実践が数々のチャンスに結び付いたという。そこで彼が得たものと、その実践から私たち自身が学べるTipsについて明らかにしていきましょう。


natsukawa1
 

■読者モデルの活動から、オリジナルブランド立ち上げまで

 

天野:夏川さんの活動はとても多岐にわたっていますよね。その中でもやはりファッションのイメージが強いのですが、自身のブランド「Liffery.n」も立ち上げるなど、まだ若いのに非常に勢いがあります。そもそも、どうして自分のブランドを立ち上げることになったのですか?

夏川:さかのぼると、最初のきっかけは読者モデルの仕事で漫画雑誌の週刊少年チャンピオンとヤングチャンピオンの裏表紙に出たことです。その仕事をセッティングしてくれたある広告会社の人と仲が良かったこともあって、そのページのデザイン自体も「もしかしたら採用されるかもしれないから、やってみたら」と言われてつくってみたんです。そうしたら本当に自分のデザインが採用されました。
元々大学でデザインを学んでいたこともあるのですが、ただ、自分の中ではデザインはスキルというよりもツールという位置づけです。イベントなどでも、フライヤーのデザインを自分で作りますが、デザイン一本だけで何かしていきたいというわけではありません。

能勢:そうなんですね。で、デザインが採用されて?

夏川:はい、そのページが今ブランドを出させてもらっているカラフル・ボードという会社の社長の目にとまり、ブランドをつくることになりました。

■販売から動員まで。「売れない」への処方箋は、読モコミュニティーの活用にあった

 

能勢:ブランドの立ち上げはトントン拍子で進んだのですか?

夏川:いいえ、最初は何からやっていくかもわからず、下手くそなデザインの絵を書いて、服をつくって。でも、世の中にはすでにたくさんのデザイナーがいて、ブランドがいろいろある中で、これでは売れないなと思いました。
売れないなら、自分しかできないことをやろうと思った時、自分の周りには読者モデルや読者モデルになりたい人がたくさんいることに気づきました。そこで彼らを巻き込んで商品の撮影やイベントの開催などをしていくようになりました。イベントでもモデルとして服を着て出てきてもらうだけでなく、音楽やイベント構成のスキルがある人には、BGMや脚本なども任せてイベントの運営をするようになりました。

three
 

天野:なるほど、夏川さんの属するコミュニティーの力を借りつつ、みんなでプロジェクト化していったんですね。また協力する読者モデルの子たちにとっても、そのイベントに出ることで有名になっていくというメリットもあったと。

能勢:イベントも活性化したし、そこでモノが売れるということでWin-Winの関係性が生まれてきたわけですね。

夏川:次第にわかってきたのは、読モがソーシャルメディアを通じて自分たちで呼びかける方が、メディアさんや運営会社さんに集めてもらうよりもイベントの動員・集客がうまくいくということでした。そのパターンで何度もイベントを成功させています。

■カルチャーの発信地、東京の「ファッション団体」事情とは

 

天野:同世代の中で、夏川さんのような立ち位置の人は他にもいるのでしょうか?

夏川:東京には「ファッション団体」というものがあって、10代~20代前半のそういう分野に関心のある子が集まっています。自分も10代のときはそこで活動していたし、きゃりーぱみゅぱみゅさんやその周辺の人々(マネジメント含め)も元々はそういったコミュニティから出てきました。ファッションを通じて自分のことを表現したい人々、そしてプレーヤーとファンの中間くらいに位置する人々がたくさんいるんです。

natsukawa1
 

天野:面白いですね。あまり接点のなかった世界の話なのでとても新鮮ですが、そういったところから新しいカルチャーの芽が育っているなんて。

夏川:なので、そういったところに属する読者モデルのネットワークというものがあって、その子たちに協力してやってもらっています。読者モデルは、事務所などに所属していない分、仕事を頼みやすくてやりたい仕事を自由にできるというメリットがあるんです。だから、ぼくのファッションブランドのイベントなどに参加してもらったりもしています。
そして、イベントに協力してくれるモデルの人たちには、他の仕事を紹介することもあります。モデルとして人気になれば大手の事務所に行くこともあるでしょうから、登竜門的な感じでぼくのイベントなりネットワークがあればいいと思っています。また、イベントの参加者は読者モデルになりたいという子が多いので、その子たちを新しくスカウトしていくこともあります。イベントのプロデューサーであるぼくが読者モデルという同じ立場なので、信頼されやすいところはあると思います。

■電通人もつけてみた!これが夏川デザインのイヤーカフだ

 

能勢:最近とあるタイアップ案件も動いているとか。どういったことをしているんですか?

夏川: Fatima Designというブランドとコラボして、アクセサリーのデザイン、販売を始めました。Fatima Designさんは、通常は芸能人とコラボした商品の企画、製造、販売をされているのですが、ぼくのブランドがリアルのネットワークでファンとの強い関係づくりをしているところに注目してくださって。

天野:つまり、芸能人≦夏川さんというブランドキャラクターについての判断があったということですね。最近アメリカでも、ハリウッドスターよりYouTuberのほうが好きという人が増えているという調査結果が公表されていましたが、若い人の憧れに関する重要な示唆が含まれていると感じます。

夏川:これまでモデルといえば、背が高くて顔がきれいで、そういう人が着るから服もかっこよく見えました。でも、実際に着るのは普通の人だから、雑誌のモデルよりもウェブで一般の人がアップしているコーディネートのほうが参考にされる。それは、そっちの方が自分たちに近く、そしていま何が着られているのかというトレンドを表しているからだと思うんです。だからこそ注目されるのではないでしょうか。
ちなみに、いま僕がつけているこのイヤーカフがまさにそのコラボ商品なんです。

能勢:へぇ!かっこいいですね、ちょっと見せてください。これは耳に通してつけるんですか?(つけてみる)

夏川:もうちょっと上の方、軟骨を通っているみたいにつけるとかっこいいですよ。

nose1
nose2
 

能勢:このデザインも全部夏川さんが?

夏川:はい。これは、ピアスのように穴をあけなくてもつけられるので、校則でピアスを禁止されている高校生を中心に人気なんですよ。普段はオンラインで販売していますが、今度開催されるイベントで直接販売することも決まっています。

天野:ちなみに、Fatima Designさんとはどういう経緯でお話があったのですか?

夏川:先ほどもお話に出た広告会社の方を通して連絡がありました。ブランド以外にも、ぼくのTwitterでの活動などにも興味を持ってもらって声をかけてきていただいたようです。「モデルだけじゃなくて、デザインもできて、広告塔にもなってもらえるんだよね」ということで、話が進みました。

天野:まさに、先ほどの若い人の憧れ感の変化に関するトレンドの話ですね。では、そのトレンドにもかかわりますが、夏川さんのソーシャルメディアの活用法についてうかがっていきましょう。


ここまで夏川さんの多彩な活動について、彼のソーシャルメディア上での活動も絡めてひも解いてきました。後編では、ここまで活動の幅を広げる上でどのようにツイキャスやその他のソーシャルメディアが寄与したのか、具体的な使い方についてもフォーカスしながら迫っていきます。

※後編は8/19(水)に公開予定です。

プロフィール

  • Natsukawa profile
    夏川 登志郎

    1992年生まれ。現在は慶應義塾大学院に在学中。読者モデルとしても活躍しながら、ソーシャルメディアを駆使してファン層を拡張。ツイキャスなどの映像配信も巧みに駆使して、若いファンとのエンゲージメントを築いている。自らのブランドプロデュースやソーシャルな課題についてモデルを集めたトークイベントを実施するなど、新世代的な活動を行っている。

  • Web
    能勢 哲司
    株式会社電通 ビジネス・クリエーション・センター 事業開発室

    中国上海市出身。電通で上海万博プロジェクト、自動車メーカー担当営業を経てクリエーティブブティックへ出向。その後、現在の事業開発領域ビジネスに従事。デジタルファブリケーション分野のビジネス開発からスタートアップ企業との協業、異業種とのネットワーキングに注力している。

  • 14580463 1225228107497344 1248304897 n
    天野 彬
    株式会社電通 電通総研 メディアイノベーション研究部 研究員

    1986年生まれ。東京都出身。東京大学大学院・学際情報学府修士課程修了。
    2012年電通入社後、マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、2014年から現職。
    スマートフォンのユーザーリサーチを中心に、現在のメディア環境やオーディエンスインサイトを分析している。
    著書に『二十年先の未来はいま作られている』(2012年、日本経済新聞出版社、共著)、『情報メディア白書2016』(2016年、ダイヤモンド社、共著)。その他レポート執筆やセミナー講師など経験多数。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ