プログラマティック新市場 #03

プログラマティック広告取引総整理 ~電通プライベート・マーケットプレイス(PMP)~

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    村山 亮太
    株式会社電通 デジタル・ビジネス局

第3回となる本稿は、プログラマティック領域の整理を行いたいと思う。RTB、プライベート・オークション、プログラマティック・ダイレクト。ウェブ広告は何かにつけて略語とカタカナのオンパレードであり、あいにくプログラマティック領域はその最たるものと言ってよい。電通PMPやプログラマティックについてお話させていただく機会も増えてきたが、この特殊な単語群に対して嫌悪に似た感情を抱かれるケースも決して少なくないだろう。

私ももう少し分かりやすい単語はないものだろうかとよく思うが、ただ用語の覚えづらさと概念の複雑さは必ずしも比例しない。プログラマティック領域においても、重要なのは専門用語の暗記ではなく、概念の理解であり、その概念自体は極めて容易に理解され得るものである。本稿においては、プログラマティックな広告取引の説明とその分類、また他商材と比較した場合のそれぞれのポジショニングなどについて具体的にまとめていきたい。

【0】プログラマティックとは(前提)

基本的にDSPという広告配信側のシステムとSSPという広告在庫供給側のシステムを使用してなされる広告取引のことを言う。詳細は#1にて。

【1】プログラマティックな広告取引の種類

①オークションで取引されるか、否か
ここにおける「オークション」とはRTB(Real Time Bidding)のことである。広告表示がなされるたびにオークションが行われる取引のことを“RTB”と言い、広告表示ごとにオークションが行われない取引のことを“Programmatic Direct”と呼ぶ。Directとは通常純広告のことを指すため、“Programmatic Direct”を“Programmaticな純広告”と解釈するとRTBとの相違についてもより明確になるだろう。

またRTBの場合はオークションが行われるため、1インプレッションごとのコストは変動する(CPM単価は変動=unfixed price)のに対し、Programmatic Directの場合オークションは行われないため1インプレッションごとのコストは変動しない(CPMは固定=fixed price)。

以上より、RTBとProgrammatic Directをまとめると下記のようになる。

②オークションには誰でも参加できるか、否か
RTBは、すべての人に開かれている“オープンなオークション”と、一部の限られた広告主にのみ開かれている“プライベートオークション”、という2つのカテゴリーに分類できる。Private Auctionの入札は、限られた入札者が、各媒体社の定める最低入札単価以上でオークションをする形式となっており(底値のみを設定し、CPM単価は変動)、このような入札形式はfloor priceと呼ばれている。

③在庫が保証されているか、否か
期間・インプレッション数が保証されているかどうか、でさらに2つのカテゴリに細分化。さらにProgrammatic DirectについてはCPMが固定であることが前提であることを加味すると、Programmatic GuaranteedはCPM・期間・総インプレッション(=予算)が純広告のようにすべて決まっている取引であるのに対し、Preferred DealはCPMだけが固定であるが期間・インプレッション数は担保されていない取引ということになる。

iabの資料では“Programmatic Direct”は“Programmatic(Automated) Guranteed”の一部となっているが、本稿ではeMarketerなどで使われている簡明なツリー(例えばこちらのスライド5ページ目)を参考にしている。

【2】Programmatic DirectとRTBの比較

①メディアマッピング

Programmatic Directの大きな特徴は、広告掲載“面”だけでなく広告掲載“枠”まですべてコントロールしながらプログラマティックな広告配信ができる点である。結果、広告主にとって価値が高い枠に対してターゲティングをかけながら広告を配信することが可能であり、RTBで懸念される広告配信の信頼性に関わる種々のリスクを低減することができる。

②広告の優先性

Programmatic Directは、RTBより優先的に広告を買い付けることができる。すなわち、ある広告枠の特定広告リクエストに対して、Programmatic Directで買い付けにいった場合はRTBでは広告を買えない、ということになる(アドサーバー・SSPの設定次第ではこの限りではない)。

また、RTBの中では、Private AuctionはOpen Auctionより優先的に広告を買い付けることができるので、Private Auctionで買い付けにいった場合は基本的にOpen Auctionでは広告を買うことはできない。

【3】電通PMPのスコープ

本稿では、プログラマティック領域のウェブ広告について詳述してきたが、PMPという言葉は実は一度も使っていない。PMPという単語は、その言葉を使用する人やベンダーによって大きく意味合いが異なることが多く、Private Auctionのことを指してPMPという人もいれば、Preferred Dealのことを指してPMPという人もいる。

“電通PMP”は、「電通が提供する、広告主に最適化されたプライベートなマーケットプレイス」という内容を意図しており、特定のプログラマティックな取引形態を指しているわけではない。取引形態自体は基本的にはProgrammatic Directを中心としているが、“電通PMP”とはこの取引形態のみを指している訳ではなく、この取引形態を十全に利用し広告主に最適な広告枠・オーディエンスデータを最適な形で提供する、というソリューション全体を指している。これを媒体社と協力しながらいかに作り上げるか、同時に長いスパンの継続的な取り組みになるように媒体社にいかに利益を還元できるか、という課題はしたがって“電通PMP”の最大のミッションということになるだろう。

 

毎稿掲載している下記ゴールを達成できるよう、大きな課題は多々あるけれども少しずつ前進していければと考えている。

プロフィール

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    村山 亮太
    株式会社電通 デジタル・ビジネス局

    2010年電通入社。ウェブの特にパフォーマンス領域においてクライアントコンサルティング業務に従事。2013年部内においてアドテクチームを立ち上げ、BIツール・自動入札ツール・PMDツールなどを導入。その後、“電通プライベート・マーケットプレイス”を提唱し、プロジェクトチームを立ち上げ。プログラマティック領域の全体戦略の立案から実際の提案業務まで包括的に従事している。

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