DMCラボ・セレクション ~次を考える一冊~ #40

最強チームの仕事術『リーダーシップからフォロワーシップへ』

「リーダーシップ」が叫ばれて久しい昨今、皆さんは日々の仕事の中で「チーム」を意識する瞬間があったりしませんか?

はじめまして。電通関西支社営業の本田と申します。

近ごろ、広告会社の営業として「チーム」ということを意識する機会が多かったので、そんなときに大切にしたいと思える一冊を選びました。少し前の本ですが、元早稲田大学ラグビー蹴球部監督・中竹竜二著『リーダーシップからフォロワーシップへ』(CCCメディアハウス)です。

最強チームの仕事術『リーダーシップからフォロワーシップへ』

体育会系根性論の本と侮るなかれ。早稲田大卒業後、英国レスター大で学び、大手シンクタンクで勤務されていた著者の筆致は、現役サラリーマンのわれわれにもズバズバと刺さるもので、具体例や金言が満載です。

中竹氏を知ったのは2007年。テレビ番組「情熱大陸」でした。

当時、圧倒的カリスマリーダーであった清宮克幸前監督から、名門ラグビー部監督を引き継いだばかり。苦悩しながら新たなチームづくりを進める中竹氏は当時33歳。(なんと、今の自分とほぼ同年齢…!)

「フォロワーシップ」を掲げた独自のチームマネジメントで、07年、08年と2年連続で大学選手権優勝を達成しました。「日本一オーラのない監督」を自称する著者は一体どのように偉業を成し遂げたのでしょうか。

リーダーシップ or フォロワーシップ?

最初に断っておきたいと思いますが、本書の中で著者も述べているように、フォロワーシップとは単なるリーダーシップの対比語ではないし、どちらが正しいかを論じることは無意味であるということを大前提として念頭におくべきだということです。チームが変われば、やり方も変わるからです。

現に、著者の前任の清宮監督は圧倒的なカリスマ性を持った強力なリーダーシップで、トップダウン型のチーム体制を構築し次々に実績を挙げていったといいます。

本書ではリーダーシップについてもフォロワーシップについても語られていますが、ここでは、著者が実践したフォロワーシップを中心としたチーム論にスポットを当てたいと思います。

リーダーが必要とされなくなるのが理想

全員がリーダーと同じ気持ちでいること。与えられたり指示されたりするのを待つのではない。最終的に決断を下すのはリーダーだけれど、常にフォロワーもリーダーと同じように主体性を持って考える。(P.105)

そして、最終的にはフォロワーが自立し、各人がリーダーを超越し、最終的にはリーダーが必要とされなくなってしまうのが、フォロワーシップで構築するチームの目指す最終形だといいます。

確かに、カリスマリーダーが率いるチームは、もし明日リーダーが倒れてしまったら、すぐさま崩壊してしまいそうですが、一方で、チームの構成員全員が全員の役割やスタイルを理解しフォロワーシップで支え合っていれば、誰か一人がいなくなっても(たとえそれがリーダーでも)、動揺せずに突き進める強固なチームができそうです。

でも、これだけ読むと、なんだかキレイゴトくさくて、ずいぶんと実現の遠い理想論のように聞こえませんか?

ご安心ください。本書では、実際にどのような方法で達成していったのかが詳しく書かれています。

期待に応えない。他人に期待しない。

理想のチームを作り上げるために最も重要なことは、リーダー、フォロワーの全員が各人の「スタイル」を確立し、それを全員が共有することだと著者は説きます。そのために実践された具体的なスタイルが以下の5つです。

①日本一オーラのない監督
②期待に応えない
③他人に期待しない
④怒るより、謝る
⑤選手たちのスタイル確立を重視

詳細はぜひ本書を手に取っていただければと思いますが、一見ネガティブに聞こえる③「他人に期待しない」の詳述部分に、コミュニケーションをなりわいとして日々仕事をしている自分の腹に落ちる箇所がありました。

我々はコミュニケーションの誤解の連続の中で生きており、ときに相手から期待を超えた喜びをもらったり、ときに裏切られたような態度を受けながら過ごしている。
要するに、人に期待しないというのは、結局は、私自身に期待していないことである。そもそも完璧な人間ではないので、常に「所詮、私なんか」というスタンスでいる。別に卑下しているつもりもないし、悲観的になっているわけでもない。自分の能力や器は自分が一番理解しているので、このスタンスは実に心地が良い。(P.54)

確かに、自分が営業としてリーダー的な役割をしているいくつかのチームにおいても、自分にできない部分をさらけ出して素直に助けを求めることができるようになってから、とても肩の力が抜けて、助けてくれるチームメンバーのためにさらに頑張ろうという活力(=フォロワーシップ)が湧いてきて、チーム内が好循環になっているような気がします。

本質はひとつ「相手の気持ちになって考える」

本書にはこの他にも、個人面談やチームトークなど、著者が実際に選手たちと向き合ってきた具体的な場面の描写を通じて、さまざまなフォロワーシップの実践方法が紹介されていますので、リーダーであれフォロワーであれ、少なからずチームで仕事をされている方には、ぜひご自身のチームを思い浮かべながら読んでいただければ、きっと色々な発見があると思います。

自分自身もさまざまな発見があったのですが、久しぶりに読み返して強く思ったのは、結局、本質は一つなんじゃないかということです。

それは、(きっと皆さんも)幼い頃から両親や学校の先生にずっと言われてきた当たり前のこと。

チームメンバーと向き合うとき、クライアントと向き合うとき、そして何よりわれわれ広告会社の人間がコミュニケーションデザインを考えるとき、きっと本質は「相手の気持ちになって考える」ことなんじゃないかと思います。

みんながそれを考え抜いたとき、フォロワーシップにあふれた究極のチームになれるのかもしれません。

…さて、無事に原稿を書き終わったところで、「そんなエラそうなこと言うて、先週頼んだアレどないなってんのん!?」と愛のムチをいただけそうなクライアント様に、本稿掲載に先んじて、今から謝りに行ってきたいと思います。フォロワーシップの精神で頑張りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!!

プロフィール

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    本田 祐哉
    株式会社電通 関西支社 第4営業局

    広告会社を経て、2007年電通入社。以来、営業として、鉄道、旅行、電機メーカー、エネルギー、外資系製薬会社など多岐にわたるクライアントを担当。広告キャンペーンはもちろんのこと、CRMシステム構築支援からイベント会場の便所掃除まで割といろいろと経験させていただいています。特技は関西弁のなにわ系ドブ板営業。

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