デジタル活用で成果を出すには #03

圧倒的な個人情報から的確なクロスデバイス広告を配信するFacebook

全世界での1日の利用者数は10億人以上。日本国内の月間アクティブユーザーは約2400万人といわれるFacebook。数多あるSNSの中でも強い存在感を見せつけており、広告配信においても重要度が増すばかりです。そこで今回は、Facebook広告の特徴や効果的な配信方法などについて、ネクステッジ電通の園田まりこさん、電通の波田野雄平さんに教えてもらいました。

※株式会社ネクステッジ電通は、2016年7月1日付で「株式会社電通デジタル」となりました。
園田まりこさん、波田野雄平さん
 

■「Facebook」が他のSNSと一線を画す理由とは

--数あるSNSの中で、なぜFacebookの重要度が高いのでしょうか。

波田野:まずはシンプルに、企業の広告担当者がFacebookをただの一出稿媒体として捉えた場合の話をしましょう。そうすると、規模は国内で2400万人のユーザーがいる媒体となります。Facebookの広告枠は、ニュースフィードに表示されるタイプと、パソコンの場合はサイトの右側に表示されるタイプがありますが、いずれにせよ掲載可能な広告枠数自体が少ない。結果的に入札競争が厳しくなり、CPMもCPCも比較的高額になる傾向が強いです。数字だけ見ると費用対効果が低いといわれるのは、Facebook広告でよく聞かれる問題です。

しかし、これはFacebookの特徴を捉えておらず、他のSNSやウェブ広告媒体と全く同じ指標のみで見ているからで、これらの基準で出稿停止してしまうと、機会損失になってしまいます。

もちろん、ユーザー目線ではSNSの一つと捉えていいでしょう。しかしFacebookには、他のSNSとは大きく異なる特徴があります。それは、他のSNSと比較して、個人をひも付けるデータ量が圧倒的に多い「コミュニケーションプラットフォーム」として活用できるということです。広告媒体として活用する際にも、この特徴を踏まえた運用をすることが必須となります。

園田:ご存じの通りFacebookは実名で登録することが前提になります。さらに、年齢や性別はもちろんのこと、居住地域や学歴、勤め先など、さまざまな情報が各個人のデータにひも付いている。この豊富な情報に基づいているからこそ、個人に落とし込んだターゲティングが可能なんです。

また、どんな投稿に「いいね!」をしているかなど、Facebook上の行動履歴や反応傾向も広告配信に利用されています。結果として、届けたい人に的確な情報を伝えられる。これは、訪問したサイト情報などから個人属性を判断するcookieベースのウェブサイトには決してまねできないことです。この点において、Facebookは数あるSNSや媒体とは一線を画す存在と言って良いでしょう。

Facebookは、届けたい人に的確な情報を伝えられる

波田野:他媒体とは異なる独特な接触態度も特徴です。そもそもFacebookは、友人とつながり、やりとりをする場で、ユーザーはFacebookというサイト自体を目的に積極的にアクセスしている。約2400万人の各ユーザーが月に平均約350分もアクセスしている「場」は、広告媒体としても巨大な可能性を秘めていると言えるでしょう。

 

■スマートフォンの普及で広告出稿の潮目が変化

--Facebookが他のSNSと一線を画すことは分かりました。では、Facebook広告にはどのような特徴があるのでしょう。

園田:まず、Facebook内で完結する広告とFacebook外にリンクさせる広告の二つに大別されます。

Facebook内で完結させる広告は、「いいね!」やFacebookページの投稿を広くリーチさせるもので、Facebook内でユーザーの行動が完結します。初期のFacebook広告では内部で完結させるものが主流で、「『いいね!』を獲得してなにをしたらいいの?」の明確な答えも見出すことが難しく、媒体としてのFacebookは広告出稿に向いていないと思われた時期もありました。

一方、Facebook外にリンクさせる広告は、2014年あたりから増えてきました。Facebook外のページにリンクさせて、ユーザーに具体的なアクションを起こしてもらう広告で、例えばアプリの場合はアプリストアにリンクさせてダウンロードしてもらう広告などがあります。クライアントのビジネスに直結するので、出稿の割合でいえば圧倒的に多くなってきています。

ネクステッジ電通 園田まりこさん

波田野:広告出稿の潮目が変わったタイミングとして、 スマホの普及もあると思います。スマホでFacebookを利用すると、広告がニュースフィードに流れてくるので、とにかく画面における占有面積が大き い。スマホ広告のなかでも最大級で、目に入ってきやすいんです。しかも、インタースティシャル広告(ページ遷移の間に表示させる広告)とは異なり、ニュー スフィードに表示されるものなので、興味がなければユーザーは簡単に飛ばすことができる。専有面積が大きくても、それほど不快に感じないのもメリットです。

■スマホで見てパソコンで買う

--Facebook利用者は、パソコンとスマホの両方からアクセスしていると思いますが、広告に関してデバイスごとの特徴はありますか。

波田野:Facebook広告の場合スマホでの出稿が基本となりますが、デバイスごとの特徴以上に重要なことがあります。それは、パソコンとスマホのどちらでもユーザーはログインしてサービスを利用するため、デバイスをまたいで個人を追えることです。クロスデバイストラッキングの基礎となる、同一ユーザーと判定する「名寄せ」ができるようなサービスは意外に少ないのではないでしょうか。

園田:個人を追えることでどんなことができるかといえば、とあるファッションブランドがFacebookに広告を出したときの事例が顕著です。

そのファッションブランドのEコマースサイトで購入行動まで至ったユーザーのデバイスを分析したところ、パソコンが6割、スマホが4割という結果になりました。この数字だけ見ると、「もっとパソコンに力を入れていこう」という意見が出たりするのですが、Facebookは、購入まで至ったユーザーがパソコンとスマホをどのように使い分けたか、まで追うことができるんです。

その結果、広告が見られている割合はパソコンが3割でスマホが7割だということが判明しました。結局、スマホで広告を見て、買い物はパソコンで行うという消費行動だったんですね。もし、コンバージョンだけを見てパソコンに注力して、スマホの出稿を減らしていたら、間違いを犯すところでした。

もちろん、全く逆のケースもあって、98%のコンバージョンはスマホからだったということもあります。この場合は、思い切ってパソコンの出稿を切ってしまう決断をしました。さらに、Facebook以外の他のメディアに関しても、パソコンの出稿を取りやめました。Facebookで得た情報を横展開できるのも、出稿するメリットのひとつですね。

Facebookは、購入まで至ったユーザーがパソコンとスマホをどのように使い分けたか、まで追うことができる
 

■あるクライアントは、この1年で月間広告予算が50万円から3000万円にアップ

--Facebook広告に向いている商材などはありますか。

園田:今現在では、成果が見えやすいということで、購入や契約、申し込みなどをネット上で完結できる商材が向いていると思います。

波田野:具体的な事例として、ある女性向けの商材を扱うクライアントは、この1年で月間広告予算が50万円から3000万円にアップしました。以前は数ある媒体の中のひとつとして運用していたのですが、Facebookの特性を理解した上で回し始めたらCPAが劇的に改善したんですね。

今後は、自動車や家電、消費財などウェブだけでは成果を示しづらかったクライアントの、Facebookを活用したマーケティング事例が増えてくると思います。位置情報を基にしたディーラーや店舗への来訪行動計測や、小売店での実購買データと、Facebookプラットフォーム上での行動とを連携させれば大変な価値が証明できるはずです。既に多くのクライアントから問い合わせをいただき、このような活用方針を説明したり、ご相談を受けたりしています。

電通 波田野雄平さん
 

■ユーザーに否定的な感情を抱かせない個人に寄り添う広告

--では、実際に広告出稿を行う際のクリエーティブについてお伺いします。Facebook広告ならではの気を付けるべきポイントなどはありますか。

園田:Facebook広告に使用する画像の中に文字を入れる場合、文字を画像面積の20%以内に収めるというルールがあります。あとは、Facebookの理念として、ニュースフィードに流れたとき、ユーザーに不快な思いを絶対にさせないということは徹底していますね。

もし、ユーザーが広告を「非表示にする」などの否定的なフィードバックがあれば、関連度スコアに大きなマイナス影響があります。関連度スコアはクリエーティブに対する反響も加味され、付与されます。スコアが高いほど入札や配信で優位になるのでとても重要な指標です。とにかく、ユーザーに否定的な印象を抱かせず、個人に寄り添うことがキモですね。

波田野:Instagramほどではないにせよ、広告色が前面に出ているようなものはユーザーから敬遠される傾向があります。例えば、「今キャンペーンやっています」という直球な広告よりも、もっとインサイトに寄ったものや、シーズナリティーを意識したクリエーティブの方が反応が良いですね。

#4へ続きます)

プロフィール

  • Sonoda
    園田 まりこ
    株式会社電通デジタル

    インターネット専業広告代理店のアカウントプランナーとして、主に大手デベロッパーの基幹プロジェクトのプロモーションやブランド会員集客、CRM業務などに従事。運用型広告から純広告、アフィリエイト広告、ウェブサイト制作など多数経験。
    2014年ネクステッジ電通入社。デジタルマーケティング全体のストラテジストとして、クライアントのマーケティング課題の抽出、手段を問わないデジタルマーケティング戦略の立案、実行段階におけるプロジェクトマネジメントに従事。

  • Yuheihatano prof 2
    波田野 雄平
    株式会社電通デジタル

    2008年電通入社。新聞局地方部・中央部を経て、2012年より現局。
    「デジタルプラットフォーム活用による、クライアントマーケティング全体における費用対効果の可視化・最大化」をテーマに、戦略設計からWEB広告の運用コンサルティングまでを一気通貫して行う。
    マス広告・デジタル双方の知見を武器に、EC・金融・美容といった短期ROI志向の強いクライアントのみでなく、自動車・トイレタリーなど大型クライアントのマーケティング活動にも従事。

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