コンテンツマーケティングの現場から #18

コンテンツの企画で大事な3つのこと

突然ですが、「企画」ってなんでしょう? どう考えていったらよいのでしょう?

今やコンテンツの企画制作は、一部の部署だけの仕事ではありません。記事の制作からSNSやブログの投稿、時には動画の企画制作にいたるまで、誰もがある日突然やらなければならなくなるかもしれない時代が来ています。また企画はしないまでも、判断をしなければならない場面が出てくることも考えられます。

それでは実際にコンテンツの企画や判断をしていく際に、何に気をつけていくとよいのか。ヒントになりそうなことを3つほどピックアップしてみました。

①what to say に価値はあるか

広告クリエーティブの世界には、昔から「what to say」(何を伝えるか)、「how to say」(どう伝えるか)、というキーフレーズがありました。「what to say」は、「メッセージは何か」あるいは、その企画を通して「何を残すのか」「何を持ち帰ってもらうのか」というふうに言い換えられることもあります。「how to say」(どう伝えるか)は、ストーリー、デザインやビジュアルのトーンなどメッセージを効果的に伝える演出のこと。

コンテンツマーケティングではユーザーのペインポイント、つまり「問題となっているポイントを見つけよう」ということがよく言われます。その見つけたペインポイントに対して提示する「価値ある情報」がコンテンツと呼ばれるわけですが、これはまさに企画作業における「what to say」の部分といえます。

ウェブは、誰もが素早く欲しい情報にたどりつきたいと思っており、情報の取捨選択のスピードも非常に速い場所です。そのため、「how to say」の部分においては演出をしすぎるとユーザーのスピードを妨げるものにもなりかねません。そういうウェブ特有のコミュニケーションの中では、企画は「what to sayに価値があるかどうか」がより問われていくことになるでしょう。

アイデアや企画と言ってしまうと、ついどんな物語なのか、誰が出てくるのか、どんなデザインなのか、どんな音楽なのかなど「how to say」の部分に目がいってしまいがちですが、ここに気をとられて「what to say」が置き去りにならないように気をつけなければなりません。広告と比べて表現が少し地味だったり、専門的だったり、無味乾燥に見えたとしても、「what to say」に引き付ける力があれば、届けようとした相手にきちんと届くということは、既にさまざまな事例が証明してくれています。

②広がるアイデアか

突拍子もないことを思いつく人を、よく「アイデアマン」と呼びますが、ひらめいたばかりのアイデアはあくまでも「着想」で、企画の入り口です。保険の話をしているのにティラミスの話が出てくるといった、一見脈絡の無いように見える話が、みんなで議論してもなお脈絡のないまま存在する場合、結局それは「思いつき」にすぎないのだという判断が必要になってきます。

良いアイデアは広がります。だったら、こういうのはどう?こういうこともできない?と芋づる式に広がっていきます。
企画はひらめきから始まったとしても、最後はロジックで組み立てられます。例えば、なぜこの企画であるべきなのか、なぜ場所は公園なのか、なぜそこで赤いセーターを着るのか。などなど全てがきちんと、分かりやすい理由を持ってつながって初めて、その企画は受け取った人にすとんと腹落ちし、そして強く残ります。

③「目的」と「とっかかり」はあるか

「アイデアを自由に考えてほしい」という依頼は、一見条件が無いのでいろいろ出てきそうに感じますが、実際やってみるとあまり実効的な企画が出てこないことがよくあります。企画を考えるには「とっかかり」と「目的」が必要で、これが無いと企画する人たちは、依頼した人間の意図や事情を飛び越えてどこまでも遠くへ行ってしまいがちなためです。

特にデジタル領域のコンテンツは、広告と違って反応が見えるものなので「誰に届けたいのか」「そのコンテンツによってどういう行動を促したいか」といった先まで考えられていない、ふわっとした企画では、世の中にリリースしてもあまり反応が得られないといったことも起こってきます。そういう事態にならないよう、まずはコミュニケーションの目的を明確にしてから、企画を始める必要があります。

また企画を始める前に、例えばブランドの現在の課題であったり、これから変えていきたい部分であったり、送り手としてやってみたいことなど、最初のとっかかり部分をチーム全体で共有しておくことは非常に重要です。企画は、作る側と決める側が指針を共有していないと「どんな企画が出てきてもなんだかピンとこない」という、出口のない迷路にはまってしまいます。多種多様なコンテンツ作りと迅速なコンテンツ更新が求められるコンテンツマーケティングにおいては、企画のクオリティーだけでなく企画作業そのものの進め方も気をつけていかなければならないポイントです。

 

これまで企画作業は、分かる人、やったことある人たちだけでじっくり進めるのが普通でした。そのため、考え方、決め方、進め方どれをとっても暗黙知の部分が多く残っています。けれどコンテンツマーケティングにおいてはこれから、いろいろなバックボーンを持った人が関わり、しかもスピーディーに企画、判断していくことが求められていきます。そういうときにどういう進め方が効率的なのか。この領域に関わるみんなで共有していくことも、これから重要なポイントになっていくと思います。

プロフィール

  • Gunji akiko pr
    郡司 晶子
    株式会社電通デジタル 執行役員

    1992年電通入社。クリエーティブ局で、広告・キャンペーンの企画作業に従事した後、コンテンツマーケティングの領域に携わる。現在は、日用品・ファッション・自動車・レジャー・住宅などの業種で、ブランドエンゲージメント、CRM・ロイヤルティ向上の支援、コンテンツを起点とした顧客獲得支援などを目的に、コンテンツ戦略・企画・制作・運用のディレクションを行っている。
    2014年「コンテンツマーケティング27の極意」(翔泳社)、「エピック・コンテンツマーケティング」(日本経済新聞出版社)の2冊を共訳。講演歴は、2013年、2014年のWOMマーケティングサミット、Outbrainパブリッシャーズセミナー、Web&モバイルマーケティングExpo2014秋、2015 ad tech TOKYO internasionalなど。

バックナンバー

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ