ACC賞が変わった! 〜その背景を探る〜

  • Takada hiroshi profile
    高田 坦史
    全日本シーエム放送連盟理事長/中小企業基盤整備機構理事長

今年、全日本シーエム放送連盟(ACC)は変革を宣言。55回目となるACC CM FESTIVALの枠組みを改めるなど、動きを見せている。背景にあるのは「新しい広告表現に向き合っているか?」という自問の姿勢。高田坦史理事長は、「遅過ぎるかどうかの瀬戸際だが、広告界をけん引する存在にならねば」と意気込む。

新しい表現に対して 開かれた場であるために

 

——なぜ今、自ら改革を打ち出されたのでしょうか?  

誤解を恐れずに言えば、私が理事長に 就任した2013年、ACCは危機的状況にありました。例えばACC賞のエントリー数は、1992年の4000本強をピークに減少し、近年はほぼ半数となることも。
その原因の一つは、日本経済が停滞している中で、広告界を取り巻く環境が大きく変わっていますが、その変化にACCがついていけていないということがあるのではないかと思いました。
私はトヨタ自動車で長くマーケティングに携わり、その時代ごとに広告宣伝のあるべき姿に向き合ってきました。90年代初頭から数年前までの日本経済は停滞を続け“失われた20年”といわれ、広告費や制作本数は間違いなく減っています。加えて、ウェブの発展を中心にメディアが多様化し競争が激しくなり、消費者が従来のマスメディアに接する時間は必然的に減ってきています。しかし、そうした変化に、ACCは全く追い付いていなかった。広告主、広告会社、制作会社、そして媒体社の皆さんに必要とされる、新しい表現に対して開かれた場であるために、改革は必須でした。

クリエーティビティーは 世の中を変える力

 

——今回のACC賞の手応えは。

まず、応募総数は昨年より331本増の2609本となりました。この増加には、これまでのテレビCM部門をフィルム部門と改め、内訳としてテレビCMとオンラインフィルムの二つのカテゴリーを設けたことが影響しています。オンラインフィルムカテゴリーでは、年々増える、ウェブでの公開を前提とする長尺の映像広告を募集しました。ここへ326本の応募があったので、現状に合わせた改編が奏功したと思っています。
入賞作品には、カンヌライオンズなど世界の広告賞でも評価されたものが多く、日本のクリエーティビティーが世界に通用することを実感しました。表現としてオンラインフィルムを選択し制作する、若い世代のクリエーターの活況を目の当たりにしたのもうれしいことでした。
テレビCMカテゴリーでは、戦後70年の節目ということもありますが、例年にはないような主張の強い作品(東海テレビ放送)がグランプリを獲得しました。特定の立場をとらず、敵をつくらないのが基本的なCMの考え方でしたが、今後はもう少し主張するCMが登場し、評価されてもよいのだろうと期待しています。

——今後の展望をお聞かせください。

今年、ラジオCM部門には20代を対象とする「アンダー29賞」を新設しました。若い人がもっとこの分野に増えるよう、今後もさまざまな活動を行います。
もともとメディアは、その向こう側にいるローカルの人たちへコミュニケーションを図ってきました。今もその視点は必要ですが、一方でウェブの存在やビジネスの国際化に伴い、経済同様に広告表現もグローバル化しています。それを支えるのもACCの役割です。
クリエーティビティーはイノベーションを起こし、世の中を変える原動力です。ACCは、今後も変革を進め、会員の皆さま、ひいては広告業界がより発展していくための活動に力を尽くしていきたいと考えておりますので、皆さまのご意見、ご提案をお寄せいただけたら幸いです。

プロフィール

  • Takada hiroshi profile
    高田 坦史
    全日本シーエム放送連盟理事長/中小企業基盤整備機構理事長

    トヨタ自動車で宣伝・マーケティングに携わる。トヨタマーケティングジャパン社長を経て、2012年に中小企業基盤整備機構理事長、13年5月からACC理事長。

関連記事

続きを見る
ページ先頭へ