loading...

ミライカレッジ×地方創生ビジネスNo.2

「ライフデザイン的視点」で、新しい未来を切り拓く!

2015/12/16

ツヴァイ×TURNS×電通の共同プロジェクト「ミライカレッジ」は、地域活性化や結婚支援などを通して地方創生をはじめとした社会課題解決に取り組んでいます。今回は東京・渋谷ヒカリエで開催された日本最大級の地方創生EXPO「まちてん」で11月28日に行ったトークセッションの模様をお届け。ツヴァイの高田康太さん、雑誌『TURNS』の堀口正裕さん、電通の廣瀬由美子さんの3人がプロジェクトについて語りました。

固定観念にとらわれない、「ライフデザイン的視点」とは?

司会(以下MC):まずはミライカレッジの概要について、―あらためてお聞かせいただけますでしょうか。

廣瀬:ミライカレッジは、結婚相手紹介サービス会社のツヴァイ、地方生活の魅力を伝える情報誌『TURNS』、そして電通の3者による共同プロジェクトです。「ライフデザイン的視点から多様な価値観や生き方を応援したい」という共通の思いの下、私たちは協業することになりました。3者それぞれの知見と実績、リソースを相乗的に活用できるのがこのプロジェクトの強みといえます。

私たちが最も重視しているのが、「ライフデザイン的視点」。一人一人の価値観で自らの人生を思い描くことを、私たちは「ライフデザイン」と呼んでいます。人生の最後から逆算して描くメソッドで、生きがい、仕事、人とのつながり、暮らす環境などを中長期的な視点で考えるためのプログラムをミライカレッジでは提供しているのです。

ライフデザインには3つのキーワードがあります。

一つは、「何をしたいのか?」。人生で本当にしたいこと何かを問います。二つ目が、「誰と?」。人は人とのつながりなしでは生きていけないですよね。そして最後に、「どこで?」というキーワードです。

MC:どこで、誰と、何をしたいのか。それを考えていくのがライフデザインということですね。
廣瀬:そうですね。ミライカレッジが提唱するライフデザインは、自由で柔軟に、自分の周りの環境をデザインしていこうというものです。

例えば、住みたいのは、生まれ育った所なのか、それとも新しい出会いを求めて別の場所にするのか、都市なのか、地方なのか…そういったことを、固定観念に縛られることなく自身の価値観に沿って考えていきます。

MC:どうしても固定観念にとらわれてしまいがちですからね。

廣瀬:そうですよね。そこを打破するのが、ミライカレッジの役目だと思っています。自分の頭の中だけで考えても、なかなか新しい発見を得ることは難しいですよね。その体験や機会を、私たちは提供しているのです。

MC:具体的にどんなプログラムが用意されているんでしょうか?

廣瀬:「ライフデザイン的視点」を組み込んだプログラムの一例として、私たちが提案する「移住体験プログラム」の流れをご紹介します。移住体験といっても、いきなり地方に行って現地の生活を体験するのではなく、まずは、「ライフデザイン講座」で、自分の未来を適切に描くための土台づくりをします。ここでは、男女問わず知っておくべき妊娠・出産などの医学的な知識も学び、まずは、正しい知識を身につけていただいた上で、それぞれの生き方を考える機会を提供するのです。

続いて、地域の生活や文化、産業をアピールする「地域PRイベント」を都市圏で開催し、そこで興味を持ってくださった方々を、現地での「交流ツアー&体験イベント」に誘引します。さらに「移住支援」では、参加者の目的に応じて、仕事マッチングや結婚マッチングを展開します。

MC:「移住体験プログラム」一つをとっても、多くのプロセスがあるのですね。丁寧に人に寄り添い、多様な価値観や生き方を応援しようとしていることが分かります。

地域のファンを増やすことで、ローカル価値を創造する

MC:どこに住んで、誰とどんな仕事をして生きるのかを考えていくと、「仕事」と「結婚」は外せない要素になっていきます。これから、『TURNS』の堀口さんには「仕事」、ツヴァイの高田さんには「結婚」を切り口に話していただきたいと思います。まずは堀口さん、雑誌『TURNS』について教えていただけますか?

堀口:『TURNS』という雑誌名には3つの意味が込められています。一つが、「Iターン、Uターン、Jターン」、最近は祖父母のもとに移住する「孫ターン」もありますが、そういう意味の「TURN」。二つ目が、人生の転機という意味の「TURN」。三つ目が、「It's Your Turn」(あなたの番ですよ)という意味です。読者層は20〜40代が全体の90%。まさに若い方々の移住を応援する雑誌なんです。メーンは仕事に関する情報、他には住まいやコミュニティーづくりなどの情報を発信しています。

MC:人生を考える上で、仕事は切り離せないトピックですよね。地域に移住すると、どんな働き方があるのか気になります。

堀口:地域によって課題が違うので一概には言えないのですが、地域にとって一番ありがたいのは起業、地域に新しい仕事を持ってきてくれることですよね。もちろん、起業する人だけが移住できるのではなくて、地域にある企業で働く就業、一次産業を中心とした伝統工芸などを継承する継業という選択肢もあります。それから、都会と地方で生活をする二地域居住、最近では三地域、四地域居住というケースもあります。

MC:四地域もですか!?

堀口:仕事のやり方次第で、四地域居住というライフスタイルも実現できる時代なんですよね。そういった多様な働き方の情報を私たちは発信しています。

MC:実際、都会から移住するのは簡単ではないと思いますし、そこは地方自治体の方々も悩んでいますよね。『TURNS』では、都市と地域をつなぐ新しい試みをされていると伺いました。

堀口:はい。岐阜県郡上市に、地元の方と移住者の方がプライドを持ってつくっている「里山の袋」という情報誌があります。近年、地方創生の大きな流れができつつありますが、いきなり移住を決断するのは難しい。だから、まずは都市部の人々にその地域のファンになってもらうという動きが非常に重要だと考えているんです。

そこで、「里山の袋」の号外という形で、『TURNS』の読者たちが2泊3日で郡上市を訪ねて自ら取材し、一冊の情報誌をつくるという企画を立てたんです。参加者はプロの編集者ではないのですが、郡上の歴史や伝統を知り、そこに住む人々と触れ合って肌で感じたことを、主観的な記事にまとめていただきました。

MC:取材した地域に愛着が湧きそうなプログラムですね。

堀口:本当にそうなんです。地元の人々が愛する情報誌の特別号を任されるわけですから、参加者も中途半端な気持ちでは取り組めません。責任を持って真剣に取材することで、決められた場所を巡るだけのツアーでは決して知り得ない地域の良さを体感できました。

廣瀬:地域の人と地域外の人がつながって、一つのモノをつくっていくところがいいですよね。この事例には、ポイントが3つあると思います。まずは、地元の人々を巻き込んでいくこと。次にローカル価値を再編集していくこと。そして、地域の魅力を効果的に発信する、ということ。

ミライカレッジでは、この3点を踏まえた「ローカル価値創造プログラム」や、地元の若者に地域の課題を解決するアイデアを考えてもらい、形にして発信するワークショップなどを展開しています。

婚活は単なる出会いの場ではなく、より良い未来を考える機会

高田:地域の人たちが課題解決に取り組むと、どんどん地元が盛り上がって、地域の魅力が増していきますよね。これは、移住結婚を促進する際にも有効なんです。

MC:なるほど。ミライカレッジの結婚支援もすでに全国で展開されているのですよね?

高田:今年度は8地域でプログラムを展開しています。すでに開催した壱岐ツアーでは男性19人、女性18人が参加し、誕生したカップルは14組でした。

MC:カップル誕生率がとても高いですね。何か秘訣があるんですか?

高田:はい、秘訣があります(笑)。まずお伝えしたいのは、交流ツアーだけを開催して、ツアー当日だけ盛り上がっても期待する効果は出ないということ。廣瀬さんのお話にもありましたように、ライフデザイン講座やワークショップなど、一連のプログラムを総合的に実施して成果を出していくのがミライカレッジの神髄です。

MC:丁寧に手順を踏むことを大切にされているんですね。

高田:婚活現場で起こっている問題は、結婚相手に対する条件のミスマッチや「結婚力」不足です。婚活を単なる出会いの場づくりと捉えるのではなく、結婚後のライフイベント、すなわち未来を考えて行動する機会だと捉えられるようになれば、多くの方がもっと苦労せずに婚活できると思います。結婚はゴールではなくスタートなのですから

MC:婚活がこれからの人生をより良くするための機会だと考えるのは、まさしく固定観念にとらわれないモノの見方だと思います。それが新しい未来につながり、カップルの誕生につながり、さらに移住へとつながっていくのですね。

廣瀬:結婚支援をしながら、同時にローカル価値も創造するという、一石二鳥なプログラムですよね。画期的な少子化対策であり、地域活性化をもたらす施策といえるでしょう。

「都市と地域の新しい関係性」をムーブメント化したい

MC:仕事や結婚をきっかけとした移住や、ファンになって都市部で地域を応援するなど、地域との関わり方はいろいろあるのですね。

廣瀬:そうなんです。ミライカレッジには、人それぞれの目的にそった「体験や気付きのプログラム」を用意してます。その体験を通して、自分なりの地域との関係性を見つけてアクションをしてほしいと考えています。

都市から地方へ移り住む人、自分の生まれ育った場所にとどまって地域と関わる人、都市に住みながら「第二の故郷」として地域と関わる人、観光リピーターやその地域のサポーターになる人など、本当に多様な関わり方があると思います。ミライカレッジでは、「都市と地域の新しい関係性」を生み出すサポートもしていきます。

MC:都市にいながら地方のまちづくりに関わりたいと思っている人もいますよね。例えば、今話題のふるさと納税やふるさとファンディング、もっと身近なところだと地域の物産を購入することも、地域との関わり方の一つといえますよね。

廣瀬:まさにそうだと思います。ただ、1回限りではなく継続的に関わっていくことが大事です。単発のものは関係性とは言いがたいですからね。

MC:はい。では最後に、3社のミライカレッジにおける役割と今後さらに力を入れたいポイントを教えていただけます。

高田:先ほど申し上げましたように、結婚はゴールではなくスタートです。なので、女性が移住後も地域で活躍するためのプラットフォームづくりを進める必要性を強く感じています。例えば、スキルやキャリアのある女性が移住先で就業や起業できる環境。また、地方PRの担い手として活躍できるような環境づくりです。すでに今年のプログラムでは、参加経験のある女性が企画側に回り、参加女性のサポーターになっていただく試みを行っています。

廣瀬:都市圏イベントに参加する20~30代の女性たちを見ていると、仕事も、結婚も、暮らす場所も、わりとフレキシブルに考えている方が多いように感じました。このような女性たちの活躍を応援して、一緒に日本や地域を元気にしていきたいですよね。

堀口:『TURNS』の思いは、「地域から日本を元気にしたい」「地域で豊かに生きる多くの若者を紹介し、“こうあらねばならぬ!”といった価値観から自由になる生き方を提案したい」ということ。私たちは取材やイベントなどを通して、実際の移住者や自治体の方などのリアルな声をたくさん聞いてきました。それをミライカレッジの活動に生かしていきたいと思います。

廣瀬:私たち電通は、ライフデザイン的な視点で多様な生き方に応えるべく、コミュニケーションを統合的にデザインしていきます。そして、さまざまなメディア、企業、国内外のパートナー、さらには国や自治体と連携しながら、「都市と地域の新しい関係性」のムーブメントを起こしていきたいと考えております。

MC:多様な「都市と地域の新しい関係性」が、これからもっともっと活発化することで、一人一人の人生も、味わいのある豊かなものになるような気がします。

廣瀬:はい。その手助けができるよう、ミライカレッジではツヴァイ、TURNS、電通3者のそれぞれの強みを生かして、「人との出会い」「地域との出会い」「未来を描く力」を創発していきます。そして、さまざまな気付きや体験の場を通じて、少子化対策や地域活性化などの社会課題解決に取り組み、たくさんの方々の人生を応援していきたいと思っています。

MC:どこで、誰と、何をしたいのかというライフデザイン的視点で、自由に自分の未来をデザインする。そうすると新しい自分にも出会えて、未来の可能性がどんどん広がっていきそうですよね。ミライカレッジのこれからに期待しています。本日はどうもありがとうございました。