「女性活躍と企業の経営戦略」
~女性活躍推進法本格施行に向けて~シンポジウム開催

日本経済新聞社は12月21日、「女性の活躍と企業の経営戦略シンポジウム~女性活躍推進法本格施行に向けて~」(共催:内閣府、厚生労働省)を東京・千代田区の日経ホールで開催した。

8月に成立した「女性活躍推進法」の来年4月施行に向け、同法に関する理解を深めるとともに、女性の活躍推進に先進的に取り組む企業の事例紹介やパネルディスカッションを通じ、今後の企業経営の在り方について探った。

企業の経営者や人事担当者、マスコミなど約600人が参加した。

厚生労働省大臣官房審議官の吉本明子氏が、「女性活躍推進法について」と題して基調講演を行った。同法では、企業は自社における女性の活躍状況を把握・課題分析し、行動計画の策定・届出と情報公表を行うことが義務付けられる法律(社員301人未満の企業は努力目標)。企業は自社の課題に即した具体的な数値目標を含めた行動計画の策定・公表を来年の4月1日に実施することが求められている。

制定の背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少があり、国民一人当たりのGDP減少の解決策の1つとして、女性の労働参加の推進を図るもの。

吉本審議官は「女性活躍の壁」として、4つのポイントについて説明した。「女性を採用していない」「女性を育てていない」「働き続けられない・続けたくない」「昇進したいと思えない」を説明。これらの根底には、長時間労働と性別役割分担意識(男は仕事/女は家庭)があると言及した。

厚労省は、一定の基準・評価を満たした企業には「認定マーク」を付与し、企業サイドが自社の取り組みをPRできる認定制度をスタートする。また、企業の取り組みの見える化のためにサイトを来春立ち上げ、就職活動する女性が検索・評価できるようなデータベースも構築する。

同審議官は、最後に企業へのメッセージとして、「女性の活躍推進は企業の経営戦略には不可欠。組織トップが方針と具体策の双方にコミットメントすることが大切だ。推進に積極的な企業は、市場価値を高め、優秀な求職者が集まる。積極的な行動計画と情報公表が求められる」と述べた。

続いて、女性活躍担当相の加藤勝信氏が「未来を拓く女性の活躍」と題し、基調講演を行った。第1子出産を機に約6割の女性が離職を余儀なくされている中、夫の家事・育児時間が長いほど第1子出産後の妻である女性の継続就業割合が高いというデータが出ていると述べ、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」を紹介。女性の活躍には、家庭でも企業でも、男性のコミットメントが不可欠と語った。

最後に、大久保壽一氏(千葉銀行 取締役専務執行役員)、河辺恵理氏(SCSK 執行役員 人事グループ副グループ長)、折井雅子氏(サントリーホールディングス 執行役員 人材開発本部長)、斉之平伸一氏(三州製菓代表取締役社長)、コーディネーターの矢島洋子氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主席研究員)が登壇。各社のダイバーシティーやワーク・ライフ・バランスの取り組みについて紹介した後、パネルディスカッションを行った。

千葉銀行では、女性を渉外に起用するなど女性の職域拡大や人材育成、環境整備の3つの視点で女性の活躍を推進。また、「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」を発足し、地銀全64行が参画。加盟行の行員が配偶者の転勤先にある別の地銀を紹介する「地銀人材バンク」の取り組みも進めている。1社だけではなく、業界に活動を広げた事例として説明した。

SCSKの取り組みの特徴は、働き方の改革。「スマートワークチャレンジ20」として、月平均残業時間20時間以下、有給休暇取得20日という目標を掲げた。2014年度残業時間は18時間、休暇は19.2日となっており、長時間労働の是正と共に増収増益を達成。結果、課題であった入社10年後の女性の離職率が大幅に低下した。

千葉銀行とSCSKの2社は「女性が輝く先進企業2015」の内閣総理大臣表彰を受けた。

サントリーグループは、ダイバーシティー経営として、女性が働きやすくかつ成果を上げている会社を目指している。働き方の革新としてフレックスタイムのコアタイムの廃止や10分単位のテレワークの取得など時間と場所のフレキシビリティーの最大化を図る。この制度は女性に限らず、半数の社員が利用しており、労働生産性の向上に寄与している。

三州製菓は、一人三役制度によって固定的役割分担意識の払拭を図る。また一人一研究制度を導入し、女性でも使いやすい機器の開発や揚げパスタなどのヒット商品も誕生しているという。性別、社員とパートタイムに関係なく、意欲のある社員にチャンスを与えるというトップの強いコミットメントにより、女性が活躍できるという会社として知名度が上がり、就職応募者も2人採用に約400人応募と飛躍的に増加している。

最後に、矢島氏が、数値目標だけに目を奪われるのではなく、多様な人材が生き生き働き公正な評価をするシステム構築が重要と語った。

 

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