ワカモンのすべて #52

ナカムラケンタ×筧奈々海:前編「採用における『若者の気持ちに寄り添った表現の仕方』とは?」

  • Ogp nakamura prof
    ナカムラ ケンタ
    株式会社シゴトヒト 代表
  •           pr
    筧 奈々海
    株式会社電通 人事局

今回のゲストは、読者目線で仕事の「あるがまま」を紹介する求人サイト「日本仕事百貨」や、さまざまな生き方・働き方に出合う場「しごとバー」を展開する、株式会社シゴトヒトのナカムラケンタさん。若者の仕事に対する価値観が変化する中で、企業ができることは何なのか? 電通ワカモン研究部員である筧奈々海さんが話を聞きました。

(左より)筧氏、ナカムラ氏

 

働く風景を想像し、働き方について思いを巡らせる求人サイト

筧:「日本仕事百貨」では職場の日常の様子や場所の写真をたくさん載せているのがとても印象的でした。内容も読者の目線に寄り添っていて、「2、3年働いたらこんな風景が見えるんだろうな」と想像できる記事になっていますよね。

ナカムラ:そうですね。その職場で数年たったときにどんな風景が見えるかは、記事を書く上で大切にしているポイントです。実際の風景もそうですし、感覚的に得られるものもそうです。求人サイトの多くが条件面や会社の良いところを一方的に主張するだけで、読者側の視点に立っていないと思ったんです。

筧:フォーマットに情報を当てはめるだけのものが多いですよね。

ナカムラ:はい。僕らはそうではなくて、働いている人の思いや物語、場所などから立ち上がってくる風景を描くことで、その職場で自分が働く姿を想像したり、自分の仕事について考えを巡らせたりできるような、そんな記事を心掛けています。

筧:紹介している企業のストーリーに感情移入できるので、単純に読み物としても面白いです。読者は転職を考えている人が多いのですか?

ナカムラ:ふらっと訪れる人も多いので、転職を考えている人に限りません。そもそも転職するつもりはなかったけれど、読んでいるうちにビビッとくる仕事に出合ってしまって、その会社に転職したという方もいます。

筧:読者の年齢層はどのくらいですか?

ナカムラ:半数が20代ですね。30代が3割ぐらい、10代や40〜50代の方もいます。いちばん多いのは20代後半だと思います。

筧:20代後半の読者が多いのはどうしてだと思います?

ナカムラ:やっぱり働いてみると、仕事ってどんなものか分かるじゃないですか。一見、華やかに見える仕事でも、実は大変なことがたくさんありますよね。

例えば、僕は中学生のときにスラムダンクに憧れてバスケを始めたんですけど、強豪と次々に対戦して勝って…みたいなのは漫画の世界の話で、現実は90%以上が地道な練習の繰り返しですよね。仕事も同じです。その現実は頭では理解できても、実際に経験しないと実感するのは難しいじゃないですか。
働いてみて仕事の大変さを実感したとき、それでもやりたいことって何だろうとあらためて考えるのが20代後半なのかなって思います。

筧:企業名や給料などの表層的な部分で就職先を選んでしまって、理想と現実とのギャップに挫折する人もいますよね。そういう人たちにとってはなおさら、働くことを深く掘り下げる「日本仕事百貨」は大きな刺激になるのかもしれません。

 

「生きるように働けるんだ」という気付きを与える

筧:ワカモンの調査では、今の20代は仕事が全てではなくて、人生の一部だと考える人が多いことが分かっています。「企業戦士」が良しとされていた時代から、仕事に対する価値観も変わりつつあると思います。

ナカムラ:仕事は仕事として割り切れる人もいますけど、自分のすべての時間を大切にしたいと思う人も増えてきて、仕事に対する考え方が多様化している気がします。仕事に限らず食べ物や飲み物もそうですけど、必ずしも世間体によらないというか、自分にとって本当に良いものをじっくりと考えられる人が増えています。

筧:ワカモンの考察でも、今の若者は複数の視点から物事を選択する傾向にあると考えています。世の中的にはAが正解だけど、自分はあえてBを選択するみたいな。

単純にやりたいことをやるのではなく、社会と自分と、もう少し狭い社会=内輪の3層の視点からバランスを考えて、自分はどうするのかを決めている。それは仕事選びにおいても同じことが言えるかもしれません。「日本仕事百貨」を利用した人からは、どんな感想を聞きますか?

ナカムラ:一概には言えないのですが、漠然と「仕事は仕事として割り切らなければならない」という諦観を持っていた人が、諦めなくていいんだ、自分らしく、生きるように働けるんだと気付いて、就職したり、転職したり、あるいは今の仕事をあらためて頑張れるようになったと。前向きになれたという話はよく聞きます。

筧:最近ワカモンが実施した調査でも、「なぜ働くのか?」という問いに対して、現在は「安定した収入のため」に働いているが、一方で理想は「生きがいを得るため」に働きたいというマインドが明らかになって、本当は自分の思うような仕事をしたいという気持ちがあるんですよね。

ナカムラ:ひと昔前は情報が少ないから、諦め以前に仕事とはそんなものだと考えられていたと思うんです。でもインターネットなどを通して、いろんな働き方があることが何となく分かるにようなってきた。

筧:視界の端っこの方に見えてくる情報ですよね。でも、どこにあるのか分からない。

ナカムラ:だからこそ、漠然ともっと良い働き方があるんじゃないかとモヤモヤしている人にとって、「日本仕事百貨」は新しい選択肢や可能性に気づくきっかけになるのだと思います。

後編につづく

 

【ワカモンプロフィール】
電通若者研究部(通称:ワカモン)は、高校生・大学生を中心にした若者のリアルな実態・マインドと 向き合い、彼らの“今”から、半歩先の未来を明るく活性化するヒントを探るプランニングチームです。彼らのインサイトからこれからの未来を予見し、若者と 社会がよりよい関係を築けるような新ビジネスを実現しています。現在プロジェクトメンバーは、東京本社・関西支社・中部支社に計18名所属しています。ワカモンFacebookページでも情報発信中(https://www.facebook.com/wakamon.dentsu)。

 

プロフィール

  • Ogp nakamura prof
    ナカムラ ケンタ
    株式会社シゴトヒト 代表

    1979年東京都生まれ。
    明治大学大学院理工学研究科建築学専攻を卒業後、不動産会社ザイマックスに就職。大型複合商業施設の開発・ 運営などを経験後、2007年28歳のときに退職。
    08年8月、生きるように働く人のための求人サイト「東京仕事百貨」(現「日本仕事百貨」)をオープン。「自分ごと」「隣人を大切にする」「贈り物」な仕事を、全国各地で取材し紹介している。
    09年10月1日株式会社シゴトヒト設立。現在は東京に町をつくる「リトルトーキョー」など各種プロジェクトやメディアのプランナー、キャリア教育などに関わり、グッドデザイン賞審査委員も務めている。

  •           pr
    筧 奈々海
    株式会社電通 人事局

    2011年電通入社。10〜20代の若者を対象にしたインサイトラボ「若者研究部(電通ワカモン)」の研究員として、コミュニケーション戦略立案から、PR施策、ウェブ制作、イベント実施まで担当。
    また、働く女性のソリューションチーム「ワタシゴトプロジェクト」を新たに立ち上げる。現在は、人事局にて「若者」「女性」の「働き方」を専門領域として、プランニングをおこなう。

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