電通グループが見たCES #01

米国の経営に触れる、CESの歩き方。

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    森 直樹
    株式会社電通 CDC 部長 事業開発ディレクター、クリエーティブ・ディレクター

世界の電通グループのメンバーの視点からCESを紹介します。1回目は、長年にわたってCESを訪れてきた電通CDCの森直樹氏が、多くの米経営者と向き合うという「CESの歩き方」を語ります。


毎年1月、テクノロジーの世界トレンド、米国大企業や有力ベンチャーの潮流に触れるその年最初のチャンスが訪れる。米国ラスベガスで毎年1月早々に開催されるCESだ。今年から、主催団体の名称もCEA(Consumer Electronics Association、全米家電協会)からCTA(Consumer Technology Association、全米民生技術協会)へと変更され、よりいっそうテクノロジー色を強めた。

このレポートでは、テクノロジーや商品トレンドではなく、CESで接することができる米国企業経営者に焦点を当てたいと思う。米国企業のテクノロジーとの向き合いに触れる、私なりの「CESの歩き方」を紹介する。

CESは米国経営者からの示唆に触れる絶好のチャンス

CESといえば家電ショー、最近では、モバイル、自動車(コネクテッドカー)、スマートホーム、3Dプリンター、ドローン、VR…最新のテクノロジーによる様々なガジェットたちに出合うことができるトレードショーが主役だ。国内のニュース記事のほとんども、CESで新しく発信される最新のプロダクトに注目が集まっていると思うし、日本からの多くの参加者も、それらを目的としている方が大半だろう。筆者も、7年くらい前にCESに参加し始めたころは、「最新のプロダクトに出合う!」が主目的だったように思う。

しかし、CESにはそれとは別の貴重なチャンスがあった。基調講演もそうなのだが、普段話を聞くことが難しい大企業からスタートアップに至るまで、経営層による大小多彩なセッションがあるのだ。私の場合、CESでは新しいガジェットに出合うのではなく、とにかく多くの経営者やビジョナリストの話を聴くように歩き回っている。これほど幅広いジャンルの経営層の言葉に触れる機会は他にないからだ。

米国企業は何を見ているか?

セッションを通じて、米国の経営層がイノベーションを起こすために、何を大切にしているか、何を注目しているのかに触れることができる。

まず、組織の規模や業種、官民の別を問わず、共通してIoT化の流れに関わり、自らのデジタルトランスフォーメションの必要性を強く認識している。さらにその方法論として、APIを活用したビジネスのエコシステムの構築、異業種とのコラボレーション、スタートアップとの連携や投資、それらを行うスピードが重要であるとの考えで一致しているように思う。 

また、彼らはUberやAirbnb、テスラなどを例に挙げてDisrupt(破壊的革新)や、Disrupter(破壊的革新者)が今後も市場に大きく影響を与えるとし、自らがDisrupterとならなければならないと発言している。

CES
IntelのBrian M. Krzanich CEOは、IoT向けのCPUであるCurieが10ドルで提供され、あらゆるモノに組み込み可能で、どのような業種・業界でも活用できることを強調
CES
AT&T Mobility & BusinessのRalph de la Vega CEO(左)とフォードのChief Technical OfficerのRaj Nair氏(右)は、両社が戦略的提携を行い、今後フォードが提供する全ての車をコネクテッドカーにすることで、2020年までに北米地域だけで1000万台の コネクテッドカーを供給すると発表した
CES
The Walt Disney Company CIOのSusan O’Day氏は、ディスニーが今後も魔法を人々に提供するためにはテクノロジーとデータの活用が重要で、それらをリアルでフィジカルな体験と融合させながら、新しい質の高いエンターテインメントを提供する必要があると強調
CES
Master Card Lab Chief Commercial OfficerのBetty DeVita氏。小売業の無人化、3D プリンティング、スマートロボット、自動運転、ドローン、新しいチャネルなど、一見ペイメント企業とは無関係な技術的イノベーションと自らのビジネスの関係性を考えなくてはならないと語った。サムスンの冷蔵庫には21インチの画面があり、食品Eコマースと連携。MasterCardは決済システムの提供で新しい消費者とのチャネルを構築しているなど、最新の取り組みを例に挙げた
CES
米国のカーシェア大手Zipcarの共同創業者、Robin Chase氏の発言は、強い影響力を持つことで世界中からの関心を集める。シェアリングエコノミーの本質について、世界中の過剰(例えば空室、使っていない自動車など)は全てシェアリングビジネスの在庫だとの考えを示した

多くの米国経営者から見た、米国企業のテクノロジーに対する考えやトレンドについては、アドタイ掲載のCES 2016 REPORTでも触れています。

広告主の方々がもし、CESへ足を運ばれるなら、魅力的なデジタルガジェットや最新のコネクティビティー家電・自動車などに触れる以外に、生の経営者からの発信にも耳を傾けることをオススメしたい。

プロフィール

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    森 直樹
    株式会社電通 CDC 部長 事業開発ディレクター、クリエーティブ・ディレクター

    光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。デジタル&テクノロジーを活用したソリューション開発に従事し、AR(拡張現実)アプリ「SCAN IT!」、イベントとデジタルを融合する「Social_Box」、「SOCIAL_ MARATHON」をプロデュース。さらにデジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。最近は、経営や事業戦略に基づくUI・UXデザインや、ネット事業モデルによる事業革新の支援プロジェクトに取り組む。
    日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の幹事(モバイル委員長)。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST (INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia (PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo 公式スピーカー他、講演多数。

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