コンテンツマーケティングの現場から #25

買った後、行った後、やった後

マス広告時代の癖なのか、ついつい人間の思考がそう働いてしまうのか。いざ企画を考えようとすると、商品を買うまでに企業からどんな情報を出すべきか、と考えてしまうケースがよく見られるように思います。

でも、実際の生活の中で私たちはどう行動しているのでしょう。

「買ってよかった」の気持ちを何度も確かめられるコンテンツが重要

先日のマーケティングモデル「DECAX」の対談でも「X=エクスペリエンス」の話になったとき、現場では「あるある話」でかなり盛り上がりました。

例えば最近、冷凍した果物を入れると簡単にシャーベットを作れるマシンを買ったある家族の話。買った後にストロベリーシャーベットが5日間も続いてみんな飽きてしまったため、奥さまはネットで、マシンの使い方をいろいろ調べたのだそうです。そうすると、トマトやアボカドでも使えるとか、そういう情報をユーザーや公式サイトが上げていることが分かりました。結果、シャーベットだけでなく、いろいろな使い方が分かってきて、彼女は「ストロベリーに飽きちゃって、たった5日間でお役御免で失敗だと思ったけれど、そんなことなかった。買ってよかった」と安心したそうです。それだけでなく、ああ使えばいい、こう使えばいいと、逆に友達に勧めるようになったのだとか。

買ってよかったなと思う気持ちを何度も確かめられるコンテンツをどれだけ提供できるかが重要なのだということを、この話は教えてくれました。

同じようなことは、旅行や映画、イベントなどの後にもあるのではないでしょうか。

実際に見に行った名所のことをもっと詳しく知りたくなったり、現地で通った道や行った場所をあらためて地図で確かめたくなったり、現地で入ったお店をあらためてググったり。映画やイベントも感動の体験をした後は、情報感度がぐっと高まり、エピソードやメーキング、さらには公式情報には無いような裏話まで知りたくなります。

さまざまな「後」に生まれるコンテンツニーズ。ここに大きな可能性が!

何かをやってみた後にもそうでしょう。初めてやったウインドサーフィンがうまくできなくて、どうやったらいいのか調べたくなったり、毎週フットサルをやっているうちに欲しくなったシューズをググってみたり。

デジタルの時代になって、アプリやゲーム内課金などが出てきて、買った後の楽しみ方が多様化したり、買った後にもっと買わせる仕組みが普通になった今。このような、さまざまな「後」にコンテンツニーズがあるということは、ここに大きな可能性が秘められているということだと思います。

「後」のコンテンツはレビューやクチコミだけではありません。もっと楽しい、これまでと違う「後」を充実させれば、ブランドをもっと好きになってくれるかもしれない。また買ってくれるかもしれない。別の商品を買ってくれるかもしれない。

あるいは、「後」のコンテンツは企画次第で、「そんなにいろいろ楽しめるのなら」とか「みんながそこまで褒めるのなら」といったように新しいユーザーの気持ちを促すことができるかもしれない。そんな可能性があると思います。

「買った後が大事だよね」「クチコミは大事だよね」。私たちはそう言いながら、いざ実際にコミュニケーションを考え始めるとつい、新しいユーザーを大量に得ようとしがちです。そのためコンテンツを企画するときは、つい「買わせる」「好きになってもらう」「来てもらう」というゴールばかり考えて、「後のこと」が後回しになります。

けれど、これからは少子高齢化の時代。デジタルネイティブの時代。人口が減れば、新規よりリピートの顧客の方が重要になりますし、デジタルネイティブが人口の過半数を占めるようになれば、まずは「後」の情報を集めてから買う、といったことがもっともっと当たり前になってくるでしょう。

「後」から先に考える。ここに、次のコンテンツのヒントがあると思います。

プロフィール

  • Gunji akiko pr
    郡司 晶子
    株式会社電通デジタル 執行役員

    1992年電通入社。クリエーティブ局で、広告・キャンペーンの企画作業に従事した後、コンテンツマーケティングの領域に携わる。現在は、日用品・ファッション・自動車・レジャー・住宅などの業種で、ブランドエンゲージメント、CRM・ロイヤルティ向上の支援、コンテンツを起点とした顧客獲得支援などを目的に、コンテンツ戦略・企画・制作・運用のディレクションを行っている。
    2014年「コンテンツマーケティング27の極意」(翔泳社)、「エピック・コンテンツマーケティング」(日本経済新聞出版社)の2冊を共訳。講演歴は、2013年、2014年のWOMマーケティングサミット、Outbrainパブリッシャーズセミナー、Web&モバイルマーケティングExpo2014秋、2015 ad tech TOKYO internasionalなど。

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