シンポジウム「池上彰と考える~気候変動と森林保全」

シンポジウム「池上彰と考える~気候変動と森林保全~」(主催=日経エコロジー、日経BP環境経営フォーラム  協力=JICA、森から世界を変えるREDD+プラットフォーム、国立研究開発法人森林総合研究所)が1月27日、東京・千代田区のイイノホール&カンファレンスセンターで開催された。

昨年12月、フランスで開かれたCOP21(気候変動枠組み条約第21回締約国会議)でパリ協定が採択され、世界で温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという大きな目標に向けて気候変動対策は新しいステージに入った。COP21やアマゾンのジャングルを取材したジャーナリストの池上彰氏をモデレーターに迎え、気候変動対策と森林保全対策について新しい視点でパネルディスカッションが行われた。

冒頭、池上氏が「気候変動問題を考える」と題した基調講演を行った。「気候変動」と「気候変化」の違いはそれぞれ人為なもの、自然的なものであると区別した上で、現在世界的な問題となっている「気候変動」について、自ら足を運んだCOP21やブラジル・アマゾンの現状について写真を紹介しながら語った。密林地帯では経済活動を目的とした樹木の違法伐採が急速に拡大しており、取材中に取り締まり現場を目撃した池上氏は、日本が開発した陸域観測技術衛星「だいち2号」による観測写真が訴追するための証拠として用いられている実態について触れながら、環境を守ることでビジネスが成立するシステムを構築することが必要だと述べた。

続いてパネルディスカッション第1部「気候変動と日本の今後を考える」が行われ、名古屋大学教授の高村ゆかり氏、JFEスチール技術企画部理事地球環境グループリーダー/経団連安全環境委員会国際環境戦略ワーキンググループ座長の手塚宏之氏、WWFジャパン気候変動・エネルギーグループリーダーの山岸尚之氏、日経エコロジーCOP21特派員の馬場未希氏がパネリストとして参加した。

それぞれの立場からパリ協定をどのように受け止めるか、また日本が温暖化防止について協力できることは何かを中心に、地球全体で放出される二酸化炭素の3割は森林消失によるものであること、森林保全は即効性やコストに優れるため気候変動対策に有効であることなどが語られた。

パネルディスカッション第2部は「森林保全について考える」がテーマ。パネリストに森林総合研究所 REDD研究開発センター長の松本光朗氏、住友林業資源環境本部 海外資源部の佐藤裕隆氏、CIジャパン代表の日比保史氏、JICA 地球環境審議役/次長兼森林・自然環境グループ長の宍戸健一氏が出席した。

途上国における森林減少や劣化の抑制、持続可能な森林経営を推進する取り組みである「REDD+」がパリ協定に盛り込まれていることが紹介された他、低炭素型の森林ビジネスモデルには政府によるバックアップが欠かせないこと、日本でも多くの企業や人々に取り組みの重要性を理解してもらうことが重要だなどの意見が聞かれた。

「もし森林が言葉を話したら何を言うか」というテーマで製作された映像作品の上映では、ナレーションを俳優ケヴィン・スペイシー氏が担当し、森林の大切さを理解していない人間に対する皮肉のこもったメッセージで会場の関心を集めた。

最後に池上氏は、「森林はただ大事にするだけではなく、それを有効に使ってこそ緑を残すことにつながる。それぞれの人の経済活動を担保することにより地球全体の環境を守っていくことが大切。日本がこれまでの経験を世界に広め、人々の共生と自然の共生、森林との共生を考えていく必要がある。それはチャレンジングでやりがいのあることだと思う」と締めくくった。

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