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地域活性化へローカル放送局が挑戦(5)
「What's hot in Japan」札幌テレビ

2016/02/03

    地域活性化へローカル放送局が挑戦(5)

    地方創生が叫ばれる中、地元媒体社が地域密着の強みを発揮し、多彩な施策でエリアの活性化に貢献している。この連載では、ローカル放送局の取り組み に フォーカス。地元企業と連携し住民一人一人に寄り添った取り組みや、系列局を超えた新機軸の企画、地元の人々と共に県産品の魅力を再発見する試みなど、ア プローチはさまざまだ。ローカル局保有の映像をウェブで配信したり、海外局へコンテンツを供給するなど、地域の魅力を発信する動きも加速している。6回にわたり、その一端をリポートする。

    札幌テレビが同系列テレビ局の番組まとめ海外へ発信

    「富士山の番組はないのか」「北海道以外の旅番組を放送したい」ー2014年、北海道の旅番組を海外の放送局などに販売していた札幌テレビ(STV)東京支社事業部マネージャーの菅村峰洋氏は、これらの要望に応えようと、ある企画を立てた。それは、日本テレビ系のローカル局の番組を同局が取りまとめて、海外局や航空会社の機内上映に向けて販売するというもの。番組シリーズ名は「What’s hot in Japan」。海外への販売は、ルートの確保や権利処理など参入のハードルが高い。同局は海外との経験から得たノウハウや知見を生かしたマニュアルを制作し、参加局を募った。

    字幕を付けたお国自慢の映像

    番組形式は統一し、既存の番組を各局が30分番組(CMは6分)に再編集、テーマは「旅」「祭り」「食べ物」「温泉」などあえてローカルなもの、BGMは海外使用が可能なものに差し替えるなど、ローカル局にとっては経費が少なく、リスクは小さいシステムだ。26局が参加し、131番組が完成、販売先は台湾、タイ、インドネシアなど13カ国・地域に及ぶ(2015年11月末現在)。

    菅村氏は「全国的に有名な俳優やタレントではなく、地元の素朴な雰囲気のごく普通の人が親しみやすく紹介する番組が好感を呼んでいる。ローカル局の収入源になるだけでなく、海外販売のノウハウも共有できる。観光客誘致という地域貢献にもつながればと夢は広がる。さらに多くの国々に販路を広げたい」と意気込みを語った。