BtoBビジネスにおける
企業の意思決定プロセスとは

  • 20160218 prof
    清水 哲
    株式会社電通 グローバル・ビジネス・センター

■世界11カ国・地域で「企業のIT購買プロセスに関する調査」を実施

電通は昨年、世界で4億人以上の登録メンバーを有するビジネス特化型SNS「LinkedIn」と共同で、受注競争の激しい「企業のITソリューション購買」について、世界11カ国・地域のビジネステクノロジー・ソリューション購買に関わった人を対象とした共同調査を行いました。

近年、日本を代表する企業によるBtoBへのビジネスモデルの転換などに伴い、BtoBコミュニケーションへの注目が高まっています。海外では専業エージェンシーが設立されるなど、BtoBならではの複雑な意思決定プロセスへの対応が進められています。

では、BtoBの意思決定プロセスは、BtoCコミュニケーションと何が違うのでしょうか? ポイントは、ビジネス購買では、さまざまな部門を横断して、多くのメンバーが関わる購買委員会が構成されること。そして、意思決定までのフェーズごとに必要とされる情報が異なり、非常に複雑な意思決定プロセスを経てビジネス購買がなされていることです。

複雑なビジネス購買の舞台裏を調査データと共にのぞいてみましょう。

■BtoBコミュニケーション ~IT購買の舞台裏~

ITを4つのタイプ-「エンドユーザー向けハードウエア」(パソコン、携帯電話、プリンターなど)、「エンドユーザー向けソフトウエア」(顧客管理、分析、マーケティング支援ツールなど)、「データセンター向けハードウエア」(ネットワーク、ストレージ、サーバーなど)、「データセンター向けソフトウエア」(セキュリティー、クラウド、仮想化など)に分類し、それぞれの購買プロセスの違いを検証しました。

IT企業にとって、新規顧客獲得のハードルは高く、長期的な取り組みが必要
 

図表1:新規のベンダーを検討すると回答した割合
図表1:新規ベンダーを検討すると回答した割合
 

企業のIT購買において、新規のITベンダーの導入を検討するという割合は19~36%と競争が激しいマーケットとなっています。最も競争が激しいITのタイプは、エンドユーザー向けハードウエア(パソコン、携帯、プリンターなど)。一方、エンドユーザー向けソフトウエア(顧客管理CRM、分析ソフト、マーケティング支援ツールなど)は比較的オープンな競争環境となっています。

図表2:購買プロセスの各段階に要する期間
図表2:購買ステージの各段階に要する期間


また、購買プロセスの各フェーズにおいて検討に要する時間は長く、ベンダー決定までは1年以上のプロセスが必要となることが一般的です。ビジネスの獲得までは長い道のりとなり、継続的な関係構築や情報発信が必要といえます。

IT購買の意思決定は、ビジネスのさまざまな部門が関わる
 

図表3:IT購買の意思決定に関わる部門
図表3:IT購買の意思決定に関わる部門


IT導入の意思決定プロセスは、かつては単一の担当者や特定の調達部門により単純なプロセスで行われていました。しかし、現在ではビジネスのさまざまな場面でITが活用されるため、IT関連部門のみではなく企業内の複数の部門から横断的に構成されるIT購買委員会(IT Committee)が意思決定を行っています。今回の調査では、営業部門、ファイナンス部門、マーケティング部門なども意思決定のプロセスに関わっていることが分かりました。コミュニケーションのターゲットを設定する際には、幅広いターゲットへのアプローチが求められます。

顧客導線の整備、情報(コンテンツ)の整備が必要
 

図表4:ターゲット(ITバイヤー)が、ITベンダーに接触する方法
図表4:ターゲット(ITバイヤー)が、ITベンダーに接触する方法


企業からITベンダーへのアプローチ方法ですが、購買プロセスの全ての段階において、「サポートに問い合わせ/Eメール」が高い傾向にあります。また、購買プロセスの各段階においては、2つ~4つの情報にコンタクトするという結果となりました。

新しいビジネス機会を得るためには、問い合わせ/サポートの導線整備と、ウェブサイト、コンテンツ(事例、ホワイトペーパー、アナリストレポートなど)の情報整備が必要です。

図表5:地域別に参照される情報源
図表5:地域別に参照される情報源


地域別に参照される情報源は、いずれもITベンダーのウェブサイトがトップでした。

メディア別では、北米、欧州ではテクノロジー専門メディアが情報源となる傾向がある一方、アジアパシフィック、南米ではソーシャルメディアが主要な情報源となっています。


【「企業のIT購買の意思決定が行われるプロセス調査」概要】
・調査対象者:世界11カ国において従業員数11人以上の企業で働き、過去3カ月間でビジネステクノロジーソリューションの購買/実装/運用を行った3828人(LinkedInメンバー)。
・対象エリア:世界11カ国・地域(アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、フランス、ドイツ、インド、オーストラリア、シンガポール、香港、ブラジル)
・調査機関:LinkedIn
・調査手法:インターネット調査
・調査・分析期間:2015年5~11月

 

 

プロフィール

  • 20160218 prof
    清水 哲
    株式会社電通 グローバル・ビジネス・センター

    1999年電通入社。新聞局13年(地方部、業推、デジタル領域)を経て、成長市場での仕事を夢見て、グローバル・ビジネス・センターに。国際メディア、デジタルプラットフォーム、中近東/アフリカのエリア担当を経て、現在はDentsu mediaネットワークのクライアント開発・ビジネス開発を担当。

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