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MWC2016 開催 スローガンは「Mobile is Everything」

2016/03/11

    oculus
    Credit: GSMA

    モバイル領域で世界最大の展示会「モバイル・ワールド・コングレス」(MWC)が、2月22日~25日、スペイン・バルセロナで開催された。過去最大規模となった今年は、9つの屋内展示会場と12の屋外会場に約2200社が出展。参加者は世界204の国と地域から10万人を超えた。

    イベントの中核をなすカンファレンスでは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO、バズフィードのジョナ・ペレッティCEO、フォードのマーク・フィールズCEO、WPPのマーティン・ソレルCEOなど、多岐にわたる領域の首脳陣ら総勢374人のスピーカーが登場。また、恒例のグローバル・モバイルアワードでは、ゲームチェンジを果たした40を超えるサービスやテクノロジーが表彰された。

    アドエージによると、広告関係者や大手広告主も多く参加。米インタラクティブ広告協議会(IAB)とデジタルマーケティングカンファレンスdmexcoはそれぞれ1日がかりのパネルディスカッションを実施するなど、随所でアドブロックやモバイル広告の可能性など、広告業界のホットトピックスについて活発な議論が繰り広げられた。アドテクの分野では、PubMatic、xAdなどのSSP(サプライサイド・プラットフォーム)やAOL、グーグルなど多数の企業が先端的なテクノロジーを披露した。ネスレのデジタルおよびソーシャル担当グローバルヘッドのピート・ブラックショー氏は「ポストクリック・エンゲージメント(クリックした後の関与)の飛躍的な向上の可能性が見えた」と語る。

    展示で紹介されたテクノロジーは、目新しさには欠けたものの実用化を視野に入れたものが多く、訪れた企業にとっては今すぐビジネスに取り入れることのできる技術を確認できる場となった。今やおなじみのIoTの領域では、顔認識技術で広告表示などをする「スマート自販機」や、衣服などに支払い機能チップを埋め込んだファッションと電子決済のコラボなどが紹介された。自動車業界ではフォードをはじめとする米国勢が、モビリティーとコネクティビティーの融合や自動運転技術をアピールした。

    MWCの主役ともいえるモバイルデバイスでは、サムスンやLG、ファーウェイ、ソニーなど各社がそれぞれ旗艦ブランドの最新機種を展開。LGがデバイスの一部を着脱でき、カメラやオーディオ機能などを拡張できる「モジュール式」の機種を発表するなど、スマートフォンの浸透が飽和状態に達しつつあることを踏まえた、周辺機器への注力が目立った。

    そして、今年一番の注目はやはり、VR(仮想現実)だった。誰でも簡単にVRコンテンツをつくることができるサムスンのGear VRや、ソニーのプレイステーション、HTCのViveなどが、企業と消費者の新しいつながり方を示唆した。基調講演で「動画の次はVRがソーシャルプラットフォームになる」と予測を述べたフェイスブックのザッカーバーグCEOは、サムスンのイベントで聴衆に交ってHDM(ヘッドマウントディスプレー)を装着して登場し、サムスンと同社のVR領域におけるパートナーシップをアピール。動画のライブ配信アプリ「Periscope」とフェイスブックがお互いの優位性を主張し合う場面もあった。

    また、目新しい技術ではないものの、盛り上がりを見せたのが、近距離通信(NFC)。ブラックショー氏は「目覚ましく進化しており、商品に触るだけで情報が出てくる世界がやっと現実になりつつある。企業にとって大きなチャンスだ」と期待を示した。

    2011年から現地を視察している電通マーケティング・ソリューション局の吉田健太郎氏は今年のMWCについて「今までで最も大きな変化を感じた。スマホなどのハンドセットのための通信から、広告業界含めてあらゆる業界が関わるIoTのための通信へと進化を求められる時代となった。4GやLTEからの高速化の文脈ではない。これまで新しい規格への投資に及び腰だった欧州の通信事業者が、新たな収益を生む成長領域として5Gを捉え、積極的に次世代への取り組みを始めていたことは特に印象的だった。全体としてIoT環境の最適化に向けて通信やクラウドに関係する各社がスタートしたことが明らかになり、これまでで最も熱量が高まっていたといっても過言ではないだろう」と語る。

    出典 Ad Age
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