インサイトメモ #07

音声メディアの

「イメージ・マルチプル効果」

  • メディアイノベーション・ラボ
    株式会社電通

〈 掲載日:2010.11.08 〉

今回は、ラジオに代表される「音声メディア」の持つ独特の価値を検証することを目的に、宇都宮大学大学院の春日正男教授、長谷川光司准教授、佐藤美恵准教授らと行った共同研究の結果をご紹介します。

■ 研究目的

音声メディアの持つ独特の効果について実証実験を通して究明する。また、それが消費者の心理に与える影響についても考察する。

■ 実験概要

① 音声と映像を含むCM素材を複数用意して、二つのグループに提示。
 ⅰ)映像をカットして、音声のみを受聴させるグループ(音声のみ提示)
 ⅱ)映像と音声の両方を、そのまま普通に視聴させるグループ(音声+映像提示)

② 両グループとも、CM接触後に3分間の時間を与え、想起されたさまざまな事象、イメージについて、短い言葉で自由に記述してもらう。記述されたワードは、次の3カテゴリーに分けて分析を実施。
 (a)CM内容に、もともと含まれる内容を記述したもの
 (b)CM内容には含まれないもので、新たに連想・想起されたもの
 (c)その他(CM自体への感想などを書いてしまったものなど)

③ さらにCM接触後に、広告商品・サービスに対する心理的な距離感がどのくらい変化したかについて、複合的な質問※をした。

※「利用イメージ」「過去の経験との重なり」「親近感」「特別感」「アットホーム感」「好意度」「購入利用意向度」 などで構成

 

■ 実験結果

音声メディアからの情報は、受聴者に自由な連想の拡大を促進する効果がある
  被験者がCM接触後に自由記述したワード数を、(a)CM内容にもともと含まれるもの、(b)CM内容には含まれないもの、(c)その他 の3カテゴリーで、それぞれを平均値化して、一覧にしたものが(表1)です。黒色バー("含まれる"の語数)に注目すると、「音声のみ提示」の場合より も、「音声+映像提示」の場合が大きな値となりました。一方、灰色バー("含まれない"の語数、)に注目すると、「音声のみ提示の場合の値が音声+映像提 示の場合の値より全て大きくなっており、音声メディアからの情報は受聴者に自由な連想の拡大を促進する効果があることが証明されました。
電通総研+宇都宮大学共同研究チームでは、この自由な連想を拡大させる効果を「イメージ・マルチプル効果」と命名しました。

「連想の拡大」と「心の距離短縮」の間には関係性が見られる
  この実験で使用した、CMに含まれない語の数と心の距離変化量の関係性を表したものが、下記の箱ヒゲ図です。横軸は、CM接触後に商品・サービスとの心理 的な距離感がどのくらい近づいたかを表しています。右方向ほど「心の距離」の短縮が大きかった被験者を意味します。 また縦軸は、心の距離の短縮度に基づく、グループごとに“含まれない”語をどのくらい記述していたかという分布を示しています。
結果として、CM接触後に心の距離が大きく短縮された人ほど、多くの連想語を記述していたことになり、「連想の拡大」と「心の距離短縮」の間に関係性のあることが分かりました。
さらに、「音声のみ提示」したグループ(灰色ボックス)の方が、「音声+映像提示」のグループ(白色ボックス)よりも右上がりの傾向が顕著で、音声メディアにおいて、このような関係性が強いという可能性が判明しました。

(注) 実験結果は、CM素材のクリエーティブ(表現)方針によっても大きく影響を受けます。

※ 本研究についてのより詳細な説明に関しては、電通総研メディアイノベーション研究部までお問い合わせください。
(E-mail : mediainnovation@dentsu.co.jp

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