ウェブ動画広告でブランディングをするには? #02

動画広告出稿時の理想的なKPI設定とは?

  • Tanakayouichi
    田中 洋一
    Teads Japan 株式会社 代表取締役
  • Profile
    村山 亮太
    株式会社電通 デジタル・ビジネス局

前編に続き、動画広告の活用について、Teads Japan代表の田中洋一さんと、電通デジタル・ビジネス局の村山亮太さんに話を聞きました。後編では、動画広告の種類とKPIの考え方、さらにキャンペーン事例から動画広告がもたらすメリットを探っていきます。

(左から)電通の村山亮太さん、Teads Japan代表の田中洋一さん

映像と音で訴えかけられるのが動画広告のメリット。しかし…

──スマートフォンで動画を見せるとなると、音の問題が出てきそうですね。

田中:海外では欧米でも香港でも、電車、レストラン…と、いろいろな場所で携帯電話を使って通話をしますから、音に関しては寛容です。Teadsの海外でのフォーマットは、15秒の動画広告のうち、始めの5秒は強制的に音が出る仕様も試しています。でも、これでは日本の文化に合いません。そこで日本では、デフォルトはOFFに、イヤホンをつけていたり音声ボタンを押したりしたときだけ、音が流れる仕様にしてもらいました。

村山:YouTubeみたいに、動画コンテンツ内で流れる動画広告を「インストリーム広告」と呼びますが、このインストリーム広告は、もともと動画を見るときに流れてくるものなので、動画+音声をユーザーに届けることができます。それ以外のアウトストリーム系広告は、動画に対してユーザーがアクションを起こすまでは、音は出ません。音声がないのは大きなマイナスポイントですが、そのマイナスを打ち消すため、昨今ではFacebookがリリースした機能のように、聴覚情報を字幕による視覚情報で補おうという試みが本格化しつつあります。

しかし、インストリーム広告にもデメリットはあります。視覚と聴覚に訴えかけられるのは大きなメリットではありますが、その分、刺激が強いためユーザーはストレスに感じやすいのです。音声がなければストレスがゼロというわけではありませんが低減にはつながります。インリード広告のような新しいフォーマットの場合、今までなかったところに動画広告が急に出てくるわけですから、トライアンドエラーを繰り返しながら、プラスとマイナスの効果を検証していく必要があるでしょう。

「開閉式」の動画プレーヤーで閲覧者の興味を引く

──フォーマットのお話が出てきたので、フォーマットについて教えていただけますか。

村山:電通PMPの「Premium Videoシリーズ」には、現状5種類の広告フォーマットとしてトップリッチ(サイト上部リッチ枠)、ビルボードビデオ(サイト上部大型枠)、インリード(記事文中枠)、オートプレー(自動再生動画広告)、インストリーム(動画コンテンツ内に流れる動画広告)があります。

トップリッチとインリードは、フォーマットは似ていますが、トップリッチの方が動画は大きく、なおかつページの一番上にあるもの。インリードは記事中もしくは記事下に出てきます。ビルボードは、横長のバナーに動画プレーヤーをつけたもので、YouTubeトップページにもあるフォーマットを他のサイトでも出せるようにしたものです。

田中:弊社のフォーマットでもあるトップリッチとインリードに関しては、開閉式の動画プレーヤーを採用しているのが特徴です。ただプレーヤーが埋め込まれているのに比べて、プレーヤーを開くという動作が加わった方が、ユーザーの興味・関心を引きます。これはABテストによる試験でも実証された結果です。

KPIは一つではなく、施策目的ごとに設定されるべき

──電通PMPで動画広告を出稿する場合、KPIはどのように設定したらいいのでしょうか。

村山:テレビCMと同じように認知を目的とすると、従来型の“刈り取り”のウェブ広告と同じ目標設定では効果的にプロモーションを展開することはできません。外資系の広告主では、コンバージョンのためのKPIと認知のためのKPIを別々に設定することが一般化しつつあります。このようにウェブ広告においてKPIは一つではなく、施策目的ごとに設定されるべきだと思います。

どれだけ認知に寄与したかや、その広告がどれだけ購買につながったかなどの評価スキームを設けるなど、その広告を閲覧したということに価値を持たせるような評価基準が、これからは必要になってきますね。

認知調査については、調査会社に依頼します。調査会社が抱えている数十万人のユーザーを対象に、パネル調査を実施しています。また、ツールを使った調査も行っています。例えば、動画を閲覧したユーザーがその場でクリックしなかったとしても、その後、購買につながったかどうかを追うことができます。

電通PMPでは、調査会社を使った有料調査の他に、無料の調査パッケージも用意していますので、調査に関しては、目的と予算にあった形をご提供させていただきます。

(左から)電通の村山亮太さん、Teads Japan代表の田中洋一さん

バナー広告とは桁違いの結果を出したNew Balance Japanのキャンペーン

──動画広告を使った事例について教えてください。

田中:それでは、スポーツシューズブランドの「New Balance」の事例をお話ししましょう。サイトトラフィックの約60%から70%をスマートフォンが占めるNew Balance Japanで、スマートフォンキャンペーンを実施しました。ターゲットは、20~40代の女性。New Balanceのメーセージを込めた15秒のアウトストリーム型動画広告を、女性向けコンテンツなど、6サイトほど媒体指定して出稿しました。

すると、弊社サービスの課金ポイントである15秒間まで見た方と、最後まで見た方で数字を取ったところ、15秒間見た方のうち、13.9%の方が「最後まで見た」という結果が現れました。この数字が多いか少ないかという議論はありますが、バナークリックだと0.1%あればいい方ですから、意味のある数字だと考えられます。

また、15秒以上動画を見た方に後日、メールでアンケートを実施したところ、全体の認知率はおよそ30%でした。他のインストリーム動画媒体では5%台だといわれていますから、もともと動画がない場所に動画を流した方が、ユーザーの意識がいき、動画広告が記憶に残るのではないかと考えられます。まだ事例が多くないため、あくまでも仮説ですが。

Teads Japan代表の田中洋一さん

ブランディング広告に資する動画広告市場を確立したい!

──最後に動画広告の今後、電通PMPの展開などを教えてください。

村山:動画広告は、今後ますます重要性を増してくるものですから、電通PMPを中心にその市場をしっかりと作っていくことが大切だと考えています。その市場が持続的に成立していくように、媒体社、Google、Teads、また他代理店の方々と一緒に作っていけたら幸いかなと。その際には、広告主にどうやってメリットを還元するかを考えて、広告主が求めている環境を構築していくことが重要でしょう。媒体社のメリットも考えながら市場形成していければと思っています。

動画のフォーマットについては、ユーザーにどれだけ認知されるかという軸と、ユーザーにストレスを与え過ぎないという、2つの軸でベストな形を探っていくことがポイントになるでしょう。ユーザーストレスのマネジメントやケアですね。事例を重ねるだけでなく、実証実験なども含めて、どんどんチャレンジしていきます。

田中:受動的にテレビを見ているときって、自分が興味のないCMでも見ますよね。一人でも家族とでも、CMを一つのコンテンツとして見ると思うんです。でも、パソコンやスマートフォンで記事を見るのは能動的です。そこに興味がない広告が出たときのストレスは、テレビの世界にはないものだと思います。

ここをしっかりとフォーマットとして、“ノンストレスビデオフォーマット”みたいなものを電通には推奨していただきたいですね。それが実現すれば、非常に有効だと思います。追っかけるような動画広告が増えていくと、ユーザーが動画広告をほとんどスキップしてしまう現象が起こるでしょう。電通には、ユーザーに受け入れられる、コンテンツに近い動画広告のマーケットを作っていただきたいですね。

村山:ユーザーストレスは、動画広告の大きな課題となっていくでしょう。ストレスをゼロにすることはできませんが、ゼロに近づけていく努力はしていかなくてはいけません。これからトライアンドエラーを繰り返しながら、いいフォーマットや配信手法を探っていく必要があるでしょう。もし、ストレスを大幅に低減できる方法論などがありましたら、ぜひぜひ、どなたでもお話しさせていただきたいです(笑)。

プロフィール

  • Tanakayouichi
    田中 洋一
    Teads Japan 株式会社 代表取締役

    1999年からダブルクリック、オムニチュア、オーディエンスサイエンスなどデジタルマーケティング企業の日本ビジネス立ち上げに携わり2015年1月から現職。

  • Profile
    村山 亮太
    株式会社電通 デジタル・ビジネス局

    2010年電通入社。ウェブの特にパフォーマンス領域においてクライアントコンサルティング業務に従事。2013年部内においてアドテクチームを立ち上げ、BIツール・自動入札ツール・PMDツールなどを導入。その後、“電通プライベート・マーケットプレイス”を提唱し、プロジェクトチームを立ち上げ。プログラマティック領域の全体戦略の立案から実際の提案業務まで包括的に従事している。

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